サム・ペキンパー作品全解題・映画編1

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 サム・ペキンパーといえば、クリント・イーストウッド同様、かの職人監督ドン・シーゲルの弟子にあたる人で、1960~70年代において、一部で絶大な人気を博した監督です。
 失敗作と見られているものも含めて、ペキンパーの全作品は私も大好きなのですが、今の若者にはどんな受け止められ方をしてるんでしょう?
 というか、まだペキンパー作品を観たことがない人は、これから存分に楽しめるんだから、すごい幸せな気も。

 というわけで本稿は、今はもう絶版になってしまった、角川から出ていた『サム・ペキンパーDVDボックス』の付録として作られたブックレットに書いたもの。
 映画だけでなく、テレビドラマについても言及しているところが、わりと珍しいかも。

 ただし、実際にボックスにDVDが収録された『荒野のガンマン』、『わらの犬』、『ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦』の三作品の解説だけは、石上三登志、柳下毅一郎両氏に依頼したので、本稿には入っていません。
 ちなみに、このブックレット、さらに全体論を久保田明氏に、イラストエッセイを青井邦夫氏に依頼したという(私の好みを存分に発揮することができた)、付録にしておくのはもったいないくらいの全36ページの超豪華本なのでした。特に、ずっと憧れだった石上さんに原稿依頼ができたのは、本当に嬉しかったのを、今でも覚えています。

 でもって、データつきでかなり長い原稿なので、映画編1、映画編2、テレビ編の3回に分けてアップします。今日は映画編1!

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『荒野のガンマン』
THE DEADLY COMPANIONS
1961年 米
カルーセル/パテ・アメリカン製作
配給 ワーナー映画
カラー(パテカラー)
パナヴィジョン
93分
製作 チャールズ・B・フィッツシモンズ
脚本 A・S・フライシュマン
原作 A・S・フライシュマン
撮影監督 ウィリアム・H・クローシア
音楽 ピーター・ツィンナー(主題歌)
   マーリン・スカイルス
編集 スタンリー・E・ラブジョン
出演
キット:モーリン・オハラ
イエローレッグ:ブライアン・キース
ビリー:スティーヴ・コクラン
ターク:チル・ウィルス
パーソン:ストローザー・マーティン
医者:ウィル・ライト
キャル:ジム・オハラ

ストーリー
 南北戦争中、残虐な南軍兵士タークに頭の皮をはがれかかった元北軍兵士のイエローレッグは、戦争終結後も一人復讐のため、タークを探して西部をさまよっていた。
 ようやくタークを探し当てたイエローエッグは、素性を隠してタークの仲間となるが、他のならず者たちとの銃撃戦のさなか、流れ弾で幼い少年を殺してしまう。
 悲嘆にくれる少年の母キットは、アパッチの住む危険地帯を通って亡き夫の墓に息子を埋葬しようと旅に出る。
 イエローレッグは償いのため、タークたちと別れ、キットを護衛しようと彼女のあとを追う。
 アパッチの襲撃をかわし、ようやく墓にたどり着いたキットとイエローレッグだったが、その前に、町で銀行強盗を働いたタークたちが姿を現す。
 ついに、イエローレッグはタークとの対決を決意するのだが……。

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『昼下りの決斗』
RIDE THE HIGH COUNTRY
別題:GUNS IN THE AFTERNOON 
1962年 米
MGM製作
配給 MGM
カラー(メトロカラー)
シネマスコープ
94分
製作 リチャード・E・ライオンズ
脚本 N・B・ストーン・Jr
   サム・ペキンパー
撮影監督 ルシアン・バラード
音楽 ジョージ・バスマン
編集 フランク・サンティロ
出演 
ジル・ウエストラム:ランドルフ・スコット
スティーヴ・ジャド:ジョエル・マクリー
エルザ:マリエット・ハートレイ
ヘック・ロングツリー:ロナルド・スター
トリヴァー判事:エドガー・ブキャナン
ジョシュア:R・G・アームストロング
ヘンリー・ハモンド:ウォーレン・オーツ
エルダー・ハモンド:ジョン・アンダーソン
ビリー・ハモンド:ジェームズ・ドルーリー
シルヴァス・ハモンド:L・Q・ジョーンズ
ジミー・ハモンド:ジョン・デイヴィス・チャンドラー

ストーリー
 かつての名保安官スティーヴは、シエラ山中の金鉱から掘り出された金塊の輸送を依頼され、旧友のジルを誘う。ジルが推薦した若者ヘックを仲間に加え、3人は金塊輸送の旅に出る。
 金鉱のある山へと向かう途中、3人は小さな牧場で若い娘エルザと出会う。信心深い父親に家に縛りつけられていたエルザは、3人のあとについてきてしまう。山に住むハモンド兄弟の一人ビリーに恋しており、3人と一緒に山に登りたいというのだ。
 一行はエルザをハモンド兄弟のもとに送り届けるが、兄弟たちはエルザを全員で共有しようとしていた。
 それを知ったスティーヴらはエルザを救出、金鉱で金塊を受け取り山を下りようとするが、最初から金塊奪取を狙っていたジルが裏切ろうとし、さらにはハモンド兄弟が襲いかかってくる……。

解説
 20世紀間近の西部を舞台に、初老のガンマン二人を主人公にして、古き良き時代への挽歌を歌いあげた傑作。
 ペキンパーはその暴力描写にばかり目を奪われがちだが、このセンチメンタリズム溢れる過去への郷愁こそ、本作以降もくり返し提示される、ペキンパー西部劇のもう一つの重要なモチーフだ。
 悪天候に見舞われるなどのアクシデントにあいながらも、撮影自体はスムーズに進んだ本作だったが、製作中にMGMの制作部門の帳であるソル・シーゲルと親会社であるロウズ社の総帥ジョゼフ・ヴォーゲルの関係が悪化、そのあおりを食ってペキンパーまでスタジオに出入り禁止となってしまい、あげくに満足な宣伝もされないまま二本立て上映の添え物にされてしまった。
 このためか、アメリカ国内よりも海外での評価が高く、ブリュッセル映画祭映画批評家協会グランプリや、メキシコ国際映画祭最優秀外国映画銀賞などを受賞している。

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『ダンディー少佐』
MAJOR DUNDEE
1964年 米
ジェリー・ブレスラー・プロ製作
配給 コロンビア映画
カラー(イーストマンカラー)
パナヴィジョン
124分
製作 ジェリー・ブレスラー
脚本 ハリー・ジュリアン・フィンク 
   サム・ペキンパー 
   オスカー・ソウル
原作 ハリー・ジュリアン・フィンク
撮影監督 サム・リーヴィット
音楽 ダニエル・アンフィシアトロフ
編集 ウィリアム・A・リヨン
出演 
エイモス・チャールズ・ダンディー少佐:チャールトン・ヘストン
ベンジャミン・タイリーン大尉:リチャード・ハリス
サミュエル・ポッツ:ジェームズ・コバーン
O・W・ハドリー:ウォーレン・オーツ
グレアム中尉:ジム・ハットン
テレサ・サンティアゴ:センタ・バーガー
チラム軍曹:ベン・ジョンソン
ダルストロム師:R・G・アームストロング

ストーリー
 南北戦争末期のニューメキシコでは、チャリバ酋長率いるアパッチ族が略奪と殺戮をくり返していた。チャリバ討伐に向かった合衆国第5騎兵隊(北軍)も、逆に待ち伏せにあい、ほぼ全滅してしまう。
 復讐に燃える指揮官のダンディー少佐は、南軍捕虜や脱走兵たちを釈放、玉石混淆の追撃隊を組織する。その中には、士官学校時代の同期で、南軍に身を投じたライバルのタイリーン大尉もいた。
 互いに憎みあい、ぶつかり合いながらもアパッチ族を追撃するダンディーとタイリーンは、途中、メキシコ内乱に介入していたフランス軍と一戦交えたりしながらも、ついにリオ・ブラボー近くの谷でチャリバを討ち果たすのだった。
 任務を終えたからには旧怨をはらそうと、1対1で決闘を始めるダンディーとタイリーンだったが、そこへフランス軍が攻撃を仕掛けてくる……。

解説
 当時の大スターであるチャールトン・ヘストンを主役に迎え、潤沢な予算と充分なスケジュールで、ほとんどをロケ撮影したペキンパー初の大作映画。
 だが、実際の現場は、シナリオが完成しないまま撮影に入ったこともあって混乱が続き、予算もスケジュールも大幅に超過、ペキンパーはスタジオから解雇される寸前までいった(ペキンパーの才能を買っていた主演のヘストンがあいだに入って事なきを得た)。
 さらに、ペキンパーによるラフ編集では4時間半あったフィルムは、スタジオ側から「長すぎる」とクレームを受け、何度も編集し直した結果、ペキンパーの手によって2時間半にまで縮められた。だがスタジオ側はペキンパーから最終編集権を奪い、さらに大幅なカットをおこなってから公開したのだった。
 このため、カットのつながりが悪く、ペキンパー自身は「これは私の映画ではない」と激怒していたが、個々のシーンにはまさにペキンパーらしい迫力と美しさが溢れている。

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『ワイルドバンチ』
THE WILD BUNCH
1969年 米
フィル・フェルドマン・プロ製作
配給 ワーナー映画
カラー(テクニカラー)
パナヴィジョン
137分
製作 フィル・フェルドマン
脚本 サム・ペキンパー 
   ウォロン・グリーン
原作 ウォロン・グリーン 
   ロイ・N・シックナー
撮影監督 ルシアン・バラード
音楽 ソニー・バーク
   ジェリー・フィールディング
出演 
パイク・ビショップ:ウィリアム・ホールデン 
ダッチ・エングストロム:アーネスト・ボーグナイン 
ディーク・ソーントン:ロバート・ライアン 
ライル・ゴーチ:ウォーレン・オーツ 
テクター・ゴーチ:ベン・ジョンソン 
サイクス:エドモンド・オブライエン 
コファー:ストローザー・マーティン 
パット・ハリガン:アルバート・デッカー 
マパッチ:エミリオ・フェルナンデス 
クレイジー・リー:ボー・ホプキンス

ストーリー
 無法の世界だった西部にも、法と秩序が広がりつつある今世紀初頭、テキサス州にある国境の町にパイクをリーダーとするならず者たち(ワイルドバンチ)が現れた。
 彼らは町で強盗を働こうとするが、そこにはすでに賞金稼ぎの一団が彼らは待ちかまえていた。この男たちは、パイクたちを捕らえるため、恩赦を条件に監獄からかり出された囚人たちで、その中にはパイクたちのかつての仲間であるディークもいた。
 賞金稼ぎたちとの激しい銃撃戦の末、パイクたちはなんとか逃げ出し、さらに田舎の小さな町に落ちのびる。
 そこでパイクたちは、野党の首領マパッチ将軍と出会い、大仕事を持ちかけられる。なんと、列車で輸送中のアメリカ軍の武器弾薬を強奪しようというのである。
 壮絶な戦闘の末、強奪に成功したパイクたちだったが、マパッチに裏切られてしまう。復讐に燃えるパイクたちは、何百という敵にたった4人で立ち向かっていく……。

解説
 プロデューサーたちとの衝突をくり返し、とうとうハリウッドの仕事を干されていたペキンパーが4年ぶりにカムバックを果たし、その名を一躍世界に知らしめることとなった記念すべき大傑作。
 超スローモーションを含むさまざまな速度による撮影、当時の映画の最多記録となった3500を超すカット数、5台のカメラを11日間回し続けて撮影されたというクライマックスの大殺戮シーン等々、今やペキンパーの代名詞ともなった数々のテクニックが次々に登場、圧倒的な迫力で血みどろのアクションを展開する。
 だが、その一方で本作は、時代に取り残された男たちの末路を描いた情感溢れる哀切な物語でもあり、ペキンパーが単なるアクション至上主義者ではないロマンチストであることも示している。

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『砂漠の流れ者』
(別題:ケーブル・ホーグのバラード)
THE BALLAD OF CABLE HOGUE
1970年 米
フィル・フェルドマン・プロ製作
配給 ワーナー映画(初公開時) 日本ヘラルド映画(再公開時)
カラー(テクニカラー)
122分
製作 サム・ペキンパー
脚本 ジョン・クロフォード 
   エドマン・ペニー
撮影監督 ルシアン・バラード
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
編集 フランク・サンティロ
   ルー・ロンバルド
出演 
ケーブル・ホーグ:ジェイソン・ロバーズ 
ヒルディ:ステラ・スティーヴンス 
ジョシュア:デヴィッド・ワーナー 
ボーエン:ストローザー・マーティン 
ベン:スリム・ピケンズ 
タガート:L・Q・ジョーンズ 
キットナー:R・G・アームストロング

ストーリー
 一旗あげようと西部にやってきたケーブル・ホーグは、仲間のボーエンとタガートに銃、ロバ、食糧を奪われ、身一つで砂漠の真ん中に放り出されてしまう。
 ケーブルは何日も砂漠をさまよって半死半生になりながらも、水がしみ出している場所を見つけ、穴を掘って泉を掘り出す。その場所が駅馬車の通り道に近いことを知ったケーブルは、泉のそばに小屋を建てて給水場を始める。インチキ説教師のジョシュアや気のいい娼婦のヒルディといった奇妙な友人たちもでき、ケーブルの生活は安定していく。だが、結局ヒルディは大金持ちとの結婚を夢見てサンフランシスコへと去り、ボーエンたちへの復讐を誓うケーブルはその場に残ったのだった。
 そして、ついにある日、仇であるボーエンとタガートを乗せた駅馬車がやってくる。過去を水に流すふりをして二人に近づき、隙をうかがうケーブルだったが……。

解説
 砂漠の真ん中に泉を見つけて住みつき、数奇な人生を辿ることとなった一人の男の物語。ペキンパー自身、もっとも好きな作品だと語ったこともある優しさと侘びしさに満ちた愛すべき作品である。
 常に暴力を鮮烈に描きながらも、実は暴力そのものに対しては否定的であり、過去への強い郷愁とセンチメンタリズムを指向するペキンパーの世界観がもっともストレートに出た作品と言ってもいいだろう。
 この特徴はさらに『ジュニア・ボナー』へと受け継がれるが、どちらの作品も公開当時、観客からは無視に近い扱いを受け、興行的には成功とは言い難い結果となった。いずれも、その前に監督した作品(『ワイルドバンチ』と『わらの犬』)が良きにしろ悪しきにしろ大いに話題となったことと考えあわせると、アクション映画監督としての評価があまりにも高くなりすぎてしまったことが、ペキンパーにとっての不幸だったのかもしれない。

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『わらの犬』
STRAW DOGS
1971年 英
ABCピクチャーズ/タレント製作
配給 シネラマ社(日本配給 20世紀フォックス)
カラー(イーストマンカラー)
115分
製作 ダニエル・メルニック
脚本 サム・ペキンパー 
   デヴィッド・Z・グッドマン
原作 ゴードン・M・ウィリアムズ
撮影監督 ジョン・コキロン
音楽 ジェリー・フィールディング
編集 ポール・デイヴィース
   ロジャー・スポティスウッド
   トニー・ローソン
出演 
デヴィッド・サムナー:ダスティン・ホフマン 
エイミー・サムナー:スーザン・ジョージ 
トム・ヘッドン:ピーター・ヴォーン 
ジョン・ナイルズ:ピーター・アーン 
スコット少佐:T・P・マッケンナ 
ヘンリー・ナイルズ:デヴィッド・ワーナー

ストーリー
 平和主義を信奉する科学者のデヴィッドは、暴力が横行するアメリカを離れ、静かな生活を求めて妻のエイミーと共にイギリスの田舎町に移住してきた。
 だが、そこも実際には平和な楽園ではありえなかった。デヴィッドは田舎の生活にとけ込むことができない。しかも、妻のエイミーは地元の職人たちにレイプされてしまう。
 さらに、デヴィッドは、精神薄弱の若者ヘンリーを車ではねてしまい、手当てしようと家に連れて帰ったのだが、ヘンリーは誤って村の娘を殺してしまい、逃げていたところだったのだ。
 娘の父であるヘッドンは、ヘンリーの居場所を知り、デヴィッドに引き渡しを要求してくる。だがデヴィッドは、私刑はいけないとそれを拒否してしまう。怒ったヘッドンは身内の者たちとデヴィッドの家に押しかけ、力ずくでヘンリーを連れ出そうとする。
 純粋な暴力にさらされたデヴィッドは、平和主義の信条を破り、自衛のために自らも暴力で対抗しようとするのだが……。

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『ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦』
JUNIOR BONNER
1972年 米 
ジョー・ワイザン/ブース・ガードナー・プロ製作(ABCピクチャーズ提供)
配給 シネラマ社(日本配給 20世紀フォックス)
カラー(ムービーラブカラー)
トッドAO-35
103分
製作 ジョー・ワイザン
脚本 ジェブ・ローズブルック
撮影監督 ルシアン・バラード
音楽 ジェリー・フィールディング
編集 ロバート・ウルフ
出演 
ジュニア・ボナー:スティーヴ・マックィーン 
エース・ボナー:ロバート・プレストン 
エルヴァイラ・ボナー:アイダ・ルピノ 
バック・ローン:ベン・ジョンソン 
チャーマン:バーバラ・リー 
カーリー・ボナー:ジョー・ドン・ベイカー 
ルース・ボナー:メアリー・マーフィ

ストーリー
 父親ゆずりのロデオの名手ジュニア・ボナーは、年に一度開催されるロデオ大会に出場するため、故郷の町アリゾナ州プレスコットへと帰ってきた。
 だが、久しぶりに帰った故郷で彼を待っていたのは、ブルドーザーで取り壊されるかつての生家の姿だった。兄のカーリーが父の牧場を売り、宅地造成で儲けようとして家を解体していたのだ。
 一方、父のエースは、土地を売った金で銀の採掘に挑んだが失敗、それでもなおオーストラリアでの金鉱開拓を夢見ていた。
 やがてロデオ大会が開かれ、ジュニアは父と牛の乳搾り競走に出たり、兄と酒場で乱闘を引き起こしたりしつつ、肉親との絆を取り戻していく。
 そして、ついに大会のハイライトである荒牛乗りが始まった。ジュニアは新記録をうち立てるべく、牧場主バックが所有する荒牛サンシャイン号に挑戦する……。

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『ゲッタウェイ』
THE GETAWAY
1972年 米
ソーラー・プロ/ファースト・アーチスツ・プロ製作
配給 シネラマ社(日本配給 東和)
カラー(テクニカラー)
トッドAO
123分
製作 デヴィッド・フォスター 
   ミッチェル・ブロウアー
脚本 ウォルター・ヒル
原作 ジム・トンプソン
撮影監督 ルシアン・バラード
音楽 クインシー・ジョーンズ
編集 ロバート・ウルフ
出演 
ドク・マッコイ:スティーヴ・マックィーン 
キャロル・マッケイ:アリ・マッグロー 
ジャック・ベニヨン:ベン・ジョンソン 
ルディ・バトラー:アル・レッティエリ 
フラン・クリントン:サリー・ストラザース 
カウボーイ:スリム・ピケンズ 
フランク・ジャクソン:ボー・ホプキンス 
詐欺師:リチャード・ブライト 
ハロルド・クリントン:ジャック・ドッドソン 
ラフリン:ダブ・テイラー 
カリー:ロイ・ジェンソン 
会計士:ジョン・ブリソン

ストーリー
 銀行強盗で服役中のドク・マッコイは、刑期半ばで突然仮釈放となる。
 妻のキャロルを通じて、地方政界のボスであるジャックに取引を持ちかけたのだ。ジャックは交換条件として、ある田舎の銀行を襲う仕事をドクに持ちかける。ドクは、妻のキャロル、ジャックが紹介したルディとフランクの4人で銀行を襲撃、首尾良く現金を手に入れるが、金を独り占めしようとしたルディがフランクを殺し、ドクたちにも襲いかかる。
 ルディを振り切ったドクとキャロルは、ジャックの差し金とにらんでジャックのもとへ行くが、キャロルを寝取ったと言いだしたジャックをキャロルが射殺してしまう。
 ちぐはぐな関係のままメキシコへと逃げ落ちようとするドクとキャロルを、ジャックの敵を討とうとするジャックの仲間たち、あくまでも金を狙うルディ、さらには警察も追ってくる。そしてついに、国境の町エル・パソを舞台に、敵味方入り乱れての激しい銃撃戦の火ぶたが切って落とされる……。

解説
 前作『ジュニア・ボナー』で組んだマックィーンを再び主役に迎え、ミステリ作家ジム・トンプスンの犯罪小説を原作にして作られた、まさに「ハードボイルド」という形容がぴったりのアクション映画。
 のちに『ストリート・オブ・ファイヤー』や『48時間』といったアクション映画を監督するウォルター・ヒルが、原作を大幅に改変した脚本を執筆しているところも注目点だ。
 アクションスターとして脂ののりきっていたマックィーンは、作品の内容を巡っていつものごとく注文を出しまくり、ペキンパーとの関係は必ずしも良好とは言えなかったようだが、スクリーン上でのマックィーンは、妻との関係に悩みつつも、冷静に犯罪を遂行していくプロの強盗をクールに演じており、その存在感は素晴らしいの一語に尽きる。
 ちなみに本作は、93年にロジャー・ドナルドスン監督、アレック・ボールドウィン、キム・ベイシンガー主演でリメイクされている。

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