『アメコミデザイン』コラム原稿
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2005年、翔泳社から出版されたデザインアイデアチップス集『アメコミデザイン』のために書いたもの。
本そのものは、アメコミっぽいデザインを作るためのデザイン集なんですが、読者の方に「そもそもアメコミってどんなもの?」ということを知ってもらうために、私にコラムを書くよう依頼がきたというわけです。
コラムは、「アメコミとは?」、「アメコミの歴史」、「アメコミっぽい絵って?」、「最新アメコミ事情」、「アメコミの楽しみ方」の5パート。
ちょっと長いし、いくつか古くなっちゃった情報もあるけど、全部読めば、アメコミの基礎知識はだいたいわかるようになってるはずです。
まあ、そういうことに詳しくなることより、アメコミそのものを楽しむことが一番大事だしおもしろいことだと思うので、どっちかというと、「アメコミを楽しむためのお助け情報」だと思って読んでいただければ。
ちなみに、この本は今でもamazonなどで購入可能なので、デザイン集として使いたい人はぜひ、以下のリンクから!
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4798108855/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4798108855&linkCode=as2&tag=fiawol-22
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●TOPIC-01
「アメコミとは?」
1.毎回32ページ読み切りの月刊誌
アメリカン・コミックス、通称アメコミは、その名の通り、アメリカのマンガのこと。アメリカは、毎月数百タイトルのマンガ雑誌が発売されている、日本に次ぐマンガ大国です。
ですが、アメリカのコミックスと日本のマンガのあいだには、いろいろと違う点もたくさんあります。中でも一番違うのが、その出版形態でしょう。
たくさんの作品が載っている日本のマンガ雑誌と違って、アメコミは1作品ごとに別々の雑誌として販売されているのです。洋書屋さんなどで見かける薄っぺらいコミック雑誌がそれです。アメコミの基本は1冊32ページの月刊誌なのです。
そして、日本のマンガの場合、雑誌連載をあとで単行本にまとめるのが普通ですが、アメコミの場合はよほど人気のある作品以外は単行本化されません。だから、前のお話を読むには、古雑誌を専門店で買わないといけません。アメコミはマンガよりもマニアックな趣味なのです。
2.分業制の執筆体制
もう一つ、アメコミが日本のマンガと大きく違うところは、執筆が完全に分業化されているところでしょう。アメコミにおいては、仕事の内容に合わせて、ライター、ペンシラー、インカー、カラーリスト、レタラーという職種の人々が、それぞれ別個に存在しているのです。
ライターは毎回のストーリーを書く人。マンガの原作者と違って、キャラクターの権利はこの人ではなく出版社が持っています。立場としては、映画等の脚本家に近いでしょう。
ペンシラーは、一番大事な最初の描線を鉛筆(ペンシル)で描く人のこと。通常、アメコミの世界でアーティストとして名前が出るのはこの人です。
インカーは、このペンシラーが描いた描線にインクでペン入れをする人。ペンシラーとインカーが別の人なのが、マンガと違うアメコミ独自の特徴です。
さらに、その絵に色を塗るカラーリスト、吹き出しのセリフを書き込むレタラーと、総勢5人のプロによって1本の作品が生み出されるのです。
3.著作権は原則会社持ち
アメコミの世界では、スーパーマンやスパイダーマンといった同じキャラクターが活躍するシリーズが50年以上にわたって延々と描き継がれ続けています。
これは、前記のように、ほとんどの場合、キャラクターの権利を出版社が持っており、分業制によって、いろんなアーティストたちが一つの作品を交代で描いているからです。
また、キャラの権利を実作者ではなく出版社が持っていることにより、同じ出版社内であれば、違う作品のキャラたちが自在に共演できるようになっているというのも、アメコミの特徴です。
たとえば、マーヴェル・コミックスの世界では、スパイダーマンやハルク、X-メンたちといったヒーローたちが、それぞれ互いのシリーズに頻繁にゲスト出演しあっています。同じ出版社から出ているコミックスはほとんどの場合、「すべての作品の舞台が地続き」となっているのです。
4.ほとんどがスーパーヒーローもの
不思議なことにアメコミはそのほとんどがスーパーヒーローが活躍する、いわゆるヒーローものばかりです。
実は、アメコミの世界には「スーパーヒーローもの以外はヒットしない」というジンクスがあって、どの出版社もヒーローもの以外のコミックスを出そうとはなかなかしないのです。
この傾向は当然ながら読者層にも反映されていて、アメリカにおけるコミックス読者のほとんどは10代から20代の男性だということです。
こうした状況を打開するには、違うジャンルのコミックスを増やすべきなのですが、それを支持する読者層が存在しないために失敗してしまい……と、「ニワトリが先か、タマゴが先か」ではないですが、悪循環が続いてしまっているのでした。
ところが近年、日本からマンガが輸入されて、この状況にも変化が見えているのですが、それについてはまたあとで。
5.大手2社が市場を独占
アメコミを出している出版社は、いくつかの例外を除くと、アメコミしか出していないコミックス専門の出版社です。これらアメコミ専門の出版社は数十社あるのですが、実際にはそのうちの2社が、アメコミ全体の売り上げのほとんどを占めていて、独占状態となっています。
そのトップを走っているのが、スーパーマンやバットマンといった、もっとも古いヒーローものコミックスを誕生させ、アメコミの歴史と共に歩んできた老舗のDCコミックスです。
そのDCの永遠のライバルが、X-メンやスパイダーマンの映画化が大ヒットしているマーヴェル・コミックスです。
もちろん、これら2社に比べると規模はずいぶん小さいですが、『ヘルボーイ』や『エイリアンVSプレデター』の映画化などで、注目を集めているダークホース・コミックスを初め、その他の出版社も、小回りの良さを逆に生かして問題作や意欲作を出しているところがいくつもあります。
6.買うのは専門店で
アメコミの世界では、出版社だけではなく、コミックスを流通させている業者も一般の書籍とは別の専門の会社です。
おかげで、アメリカでは普通の書店に行ってもアメコミの雑誌を買うことはほとんどできません(単行本は売っていますが、品揃えは悪いのが普通です)。最新号を確実に買うにはアメコミ専門の書店に行かないといけないのです。
また、前にも書いたように、ほとんどのアメコミは単行本化されませんから、前の話を読むには古い雑誌を買わなければいけませんが、そのためにもアメコミ専門店に行く必要があります。アメコミ専門店は、新刊書店と古書店の両方の役割を持っているのです。
ただし、古雑誌には古書価がついているので、古いものや人気アーティストが描いたものは、定価の何倍もの値段がついている(本当に古いものには天文学的な値段がついています)ので、注意が必要です。熱烈なアメコミのマニアになるということは、古書コレクターになるということだったりするのです。
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●TOPIC-02
「アメコミの歴史」
1.ゴールデン・エイジ
アメリカでマンガというか新聞に初めて風刺画が載ったのは1895年、連載マンガが載るようになったのは翌96年のことです。
そして、初めてコミック雑誌が創刊されたのが1933年。といっても、これは新聞連載マンガを再録したものでしたが、それ以降、さまざまな出版社がコミック雑誌を発行するようになっていきます。
そして、1938年6月、〈アクション・コミックス〉という雑誌が創刊され、そこに「スーパーマン」の第1話が掲載されたときから、ゴールデン・エイジと呼ばれるアメコミの第1成長期が始まりました。
派手なコスチュームに身を包んだ無敵の超人が大活躍する「スーパーマン」は、その新規さと痛快さが大いに受けて大ヒットし、他の出版社もそれに負けじといろんなスーパーヒーローを生みだしては、人気を競うようになったのです。このブームは、折からの第二次世界大戦に合わせるように拡大していきました。スーパーヒーローたちが敵であるドイツ軍や日本軍を叩きのめす痛快なストーリーが、アメリカ人の心を捉えたのです。
2.バッシングの嵐
順調に成長していたアメコミ出版は、第二次世界大戦が終わった1945年頃から、ヒーローもの以外のさまざまなジャンルを開拓していきました。
中でも、EC社という出版社が出すようになった〈クリプト・オブ・テラー〉や〈ウイアード・サイエンス〉を始めとする、ホラーや犯罪実話、もしくはSFやファンタジイを扱ったコミック雑誌が人気を博しました。
ところが、そんなコミック界に突如逆風が吹いてしまいます。1948年、ニューヨークに住むワーサム博士という心理学者が、「コミック雑誌は道徳心を低下させ、暴力を賛美し、性的な欲求を異常な方向へとたかめ」少年たちの犯罪を誘発すると主張して、反コミック雑誌の大キャンペーンを始めたのです。世論もワーサム博士に同調し、その結果、コミックス・コード局という検閲組織が設置されることとなり、ほとんどのコミック雑誌は休刊や廃刊となって、アメコミ出版は壊滅的なダメージを受けてしまったのでした。
3.シルバー・エイジ
アメコミ第2の成長期、俗にシルバー・エイジと呼ばれる期間は、1956年に始まり69年まで続いたと言われています。
ゴールデン・エイジが、スーパーマンやバットマンといった第一世代のスーパーヒーローたちが誕生した時代であるように、このシルバー・エイジは、第二世代の新たなヒーローたちが続々と誕生した時代なのでした。
まずDCコミックスが、アメコミ・バッシングもおさまった56年、フラッシュやグリーン・ランタンといった昔のヒーローたちの設定を一新し、場合によってはコスチュームや超能力まで変えて、二代目として甦らせていきました。
一方、後発のマーヴェル・コミックスでは、スタン・リーという編集者兼ライターが61年から、ファンタスティック・フォー、ハルク、スパイダーマン、X-メン、デアデビル等々、次々に新しいタイプのヒーローたちを生みだし、一気にマーヴェルをDCのライバル会社へと成長させました。
こうして、DCとマーヴェルの2大出版社時代が始まり、いまだに続いているのです。
4.モダン・エイジ
80年代以降現在までを、アメコミの世界ではモダン・エイジと呼んでいます。
80年代から90年代にかけては、新しい才能が次々に登場し、アメコミの古い決まり事を破壊していった時代でした。なかでも、「バットマン ダークナイト・リターンズ」という長篇でバットマン最後の戦いを描いたフランク・ミラーや、「ウォッチメン」のアラン・ムーア、「サンドマン」のニール・ゲイマンといったライターたちは、大人の鑑賞に堪えるストーリーをアメコミに持ち込みました。一方、絵に関しても、ジム・リーを始めとする新世代のアーティストたちが、日本のマンガの影響を強く受けており、それまでのアメコミにはなかった自由なデフォルメやコマ運びを取り入れ、アメコミの絵柄を一新していきました。
また、特撮技術の進歩に伴い、今まで以上にリアルなアメコミの実写映像化が可能となり、大きな収益を生むビジネスとなってきました。今やアメコミ産業は、出版を核としつつも、映像化を含めたキャラクターの商品展開を大々的に行うマルチメディア産業なのです。
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●TOPIC-03
「アメコミっぽい絵って?」
1.フルカラーである
アメコミの絵の基本は、なんといってもフルカラーであることが前提で描かれているということです。
たとえば、カラーリストが彩色する前、つまりペンシラーとインカーが線を入れただけのアメコミのページを見てみると、なんとなく物足りない感じがすることが多いはずです。
なぜなら、フルカラーであることを前提としているアメコミの絵は、色による効果が加わらないと完成していないからなのです。
別の言い方をすると、白黒であることが前提の日本のマンガにおいて、効果線やスクリーントーンが果たしているいろんな効果を、アメコミの場合はカラーをつけることで表現していると言ってもいいでしょう。というより正確には、成立過程としては逆で、アメコミがフルカラーで表現している効果を、日本のマンガは白黒の2色で表現しようとして、特殊な進化を遂げたと言った方がいいかもしれません。
つまり、アメコミらしい絵にするには、常に彩色された状態を完成像として考えるべきなのです。
2.静止画である
アメコミの絵のもう一つの大きな特徴は、一個一個のコマの中の絵を、一つの静止画として完成させようとしていることが多い点です。日本のマンガのように、動きの途中を描いた、それだけでは意味をなさないコマはほとんどありませんし、また、コマの中でも動きを表現するための効果線のようなものはほぼ描かれていません。
映画の一コマや写真のように、アメコミの一コマも、ある瞬間の映像を切り取ったかのような、一枚の絵として完成されたものなのです。
これは、もともとコミックというものが絵本や絵物語から進化したものだからでもあります。日本のマンガの場合、カラー化しない分、たくさんのページ数とコマ数を使い、マンガ独特の多用な表現を開拓していったのと違って、アメコミはあくまでも絵本の延長線上に、個々のコマの中の絵の完成度を求めていったのです。
3.表情はデフォルメしない
よく、アメコミの絵に出てくる人の身体は、デッサンがしっかりしていてウソがないと言われたりしますが、実際のところはそうでもありません。よく考えてみれば大半のヒーローたちは人間離れした筋肉のつきかたをしていますし、ヒロインたちのウエストは内蔵が入っていないかと思うくらい細かったりもします。また衣装の描き方もウソがあって、スーパーマンのマントは、たいてい現実にはありえないようなたなびき方をしています。
また、有名なアーティストほど、実は強烈な誇張、つまりデフォルメを加えていたりするものです。たとえば最近だと『ヘルボーイ』の原作者兼アーティストであるマイク・ミニョーラの描くキャラクターたちの肉体は、極端なデフォルメが施されています。
それでも、アメコミのキャラが日本のマンガよりもリアルな印象をなんとなく受けてしまうのは、キャラクターの表情については、極端なデフォルメしないからです。怒ったり笑ったり驚いたりという感情の表現を、いわゆるマンガ的にやらないのが、アメコミ的なのです。
4.原色の派手なコスチューム
アメコミといえば、なんといっても目につくのは色鮮やかなヒーローたちのコスチュームでしょう。
ボディラインをはっきり見せる、身体にピッタリとフィットしたカラフルなコスチュームこそ、アメコミらしいキャラクターの典型的な姿です。逆に言うと装飾的なデザインは限られてしまいますので、どこかにアクセントとしてマークを入れたり、全体を何色かで塗り分けたりするという、彩色によってかっこいいデザインを模索することが大事でしょう。
ちなみに、アメコミに登場するスーパーヒーローや悪漢たちがこうした派手なコスチュームを着ているのには、デザイン以外の理由があります。
前にも書いたとおり、アメコミはいろんなアーティストが同じキャラクターを描き継いでいくので、アーティストが変われば当然絵柄ががらりと変わります。でも、特定のコスチュームを決めておけば、少なくとも変身して戦っている場面では、誰が描こうとどれだけ絵柄が変わろうと、読者は必ずヒーローと悪漢を識別できるというわけなのです。
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●TOPIC-04
「最新アメコミ事情」
1.キャラクタービジネス化
元々アメコミはテレビ化や映画化、オモチャ化などが盛んにおこなわれていましたが、そういう今の日本で言うところのマルチメディア商法が、膨大な利益を生む巨大ビジネスになったのは、70年代末、ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』を作り、そのキャラクター商品の販売を展開するようになってからのことです。
DCコミックスは『スター・ウォーズ』が生みだした大作特撮映画ブームにいち早く乗り、80年代はスーパーマン、90年代はバットマンの映画シリーズ化に成功しました。
ライバルであるマーヴェル・コミックスも、近年になってようやくスパイダーマンやX-メンの映画シリーズ化をヒットさせ、さらに続々と映画化を進めています。
こうしたキャラクタービジネスの利点は、極端な話、出版社はキャラの版権管理だけをしていれば、他人が二次商品を作って販売した利益を受け取れるところにあります。
実際、最近のマーヴェルは映画はヒットしていますが、コミックスの売り上げの方はDCにずいぶんと差をつけられていたりして。
2.デジタル化
90年代以降のアメコミにおける最大の変化は、ほとんどすべてのコミック雑誌が、彩色にコンピュータを導入するようになったことでしょう。
昔のアメコミは、カラーリストが自らの手で色を塗ったものを、4色刷で印刷していたので、色数や濃淡に限りがありましたし、塗りむらや塗り間違いなど愉快な間違いも多かったものです。ところが80年代になって、マーヴェル・コミックスは、大友克洋の「アキラ」を英訳出版する際、数万色を用い、特殊効果をかけることもできるコンピュータによるCG彩色を初めて導入したのでした。
それが今ではどの出版社でも導入されるようになり、アメコミの色使いは昔とは比べものにならないくらい鮮やかになりました。
とはいえ、昔のアメコミの持っていた素朴な味わいがなくなったことも事実ですし、CG印刷に対応するには紙の質を良くする必要があるため、コストがかかってコミック雑誌の定価が上がってしまったというような問題も出ています。
3.マンガの影響
80年代以降のアメコミにおいて、特に目立つのが日本のマンガの影響です。
元々絵本からの影響の強いアメコミは、ずいぶん長い間コマ割りはすべて長方形に統一されていました。それが80年代以降、日本のマンガを見習って、自在にコマの大きさや形を変化させるアーティストが増えてきたのです。
さらに、90年代に入ると、絵柄の点でも日本のマンガの影響を受け、目が大きくかわいらしい顔立ちのキャラクターを書くアーティストたちも増えてきました。また、昔のアメコミはメカニックや背景の書き込みがずいぶんといい加減だったのが、これもマンガの影響でどんどん緻密になりつつあります。
同じキャラクターたちが活躍しているので、パッと見ではわかりにくいかもしれませんが、今のアメコミと70年代以前のものとを注意深く見比べると、こうしてコマ割りと絵柄の両面が変化したことによって、ずいぶんとスタイルが変わってきていることがわかるでしょう。
4.マンガの流入
日本のマンガについては、近年はその影響と言うより、マンガそのものの流入が定着しつつあります。
まず、日本人マンガ家がアメコミのアーティストとして起用されるようになってきました。代表例は、マーヴェルでX-メンを描いた麻宮騎亜でしょう。
次に、日本のアニメがアメリカでコミック化されて人気を博しています。今、人気のアメコミといえばガッチャマンとトランスフォーマーのアメリカ版コミックなのです。
そして、日本のマンガが大量に翻訳されてアメリカに流れ込んでいます。これには、マンガの内容のおもしろさはもちろんですが、ヒーローもの一辺倒のアメコミにはない豊富なジャンル性や、アメコミと違って単行本を中心に一般書店で流通していて、普通の子供の手に入りやすいといった、アメコミと条件が違う部分も作用しているようです。
特に今年からは、少女マンガが本格的にアメリカに上陸を開始するらしく、今まで女性読者がほとんどいなかったアメリカのコミック業界にどんな影響が出るのか、興味津々です。
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●TOPIC-05
「アメコミの楽しみ方」
1.グッズさまざま
前にも繰り返し書きましたが、今のアメコミは巨大なキャラクタービジネスです。というわけで、コミックやその実写化、アニメ化はもちろん、さまざまな形で商品展開がはかられていて、それこそハンカチや文具といったものから、オモチャ、ゲーム、衣類、食品、果ては家電製品まで、多数のグッズが存在しています。
こうしたグッズがおもしろいのは、あるときはコミックの絵よりも精緻でリアルな方向に、またあるときは極端に抽象化したりデフォルメしたりする方向にと、媒体に合わせてキャラクターのデザインも変化しているということでしょう。
特におもしろいのは、コミックのキャラデザインとアニメのキャラデザインが大きく異なることが多いことです。日本の場合、マンガをアニメ化するときは、できるだけ原作に絵柄を似せることを重視しますが、アメコミの場合、一気にデザインを抽象化して、アニメとして動かしやすいものにしてしまうことが多いのです。
これも、いろんなアーティストが交代で同じキャラを描くため、元々絵柄が一定ではないアメコミならではの発想でしょう。
2.日本で買い物をするには?
日本でアメコミやそのグッズを買うにはどうしたらいいでしょうか?
グッズはオモチャ屋さんに、アメコミは洋書屋さんに行くという方法もありますが、もし首都圏に住んでおられるのならば、アメコミ関連商品を専門に取り扱っているお店に行くのが、品揃えも豊富で一番いいでしょう。
有名なところでは、渋谷のまんがの森THE COMIX店、同じく渋谷のブリスター、新宿のトライソフトといったところがあります。
もう一つの方法は、アメリカのコミック専門店から通信販売で買い物をすること。コミック雑誌に広告を載せている大きなお店にカタログ請求の手紙を送れば、毎月の新刊や新商品を載せたカタログを送り返してくれます。ちょっとだけ英語でやりとりしなければいけませんが、がんばってみる価値はあります。
もしくは、パソコンを持っているなら、インターネットでこうした専門店のサイトにアクセスして注文するという方法もあります。これなら、日本全国どこに住んでいても大丈夫ですね。
【後記】一番時代遅れになってしまった情報は、やはり最後の項に名前を上げた、アメコミを扱っている日本のお店がすっかり様変わりしてしまったことでしょう。ここで挙げているお店で残っているのはブリスターだけ(店舗が秋葉原に移転しています)になってしまいました。でも、新しいお店もできているので、ぜひネットなどで調べてみてください。
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