【質問&回答公開】「AYA世代のがん患者への支援」を区に求めました!
みなさん、こんにちは。江東区議会議員の酒井なつみです。
6月10日に9ヶ月ぶりに本会議にて質問の機会を得ました。
今回最も力を注いだ政策が
\ AYA世代(思春期・若年成人)のがん患者への支援 /
についてです。
どんなことを聞いたのか?
簡単にまとめたものが以下の画像です。
質問全文を公開
本日は、がん対策のうち、AYA世代のがん患者の経済的負担軽減に焦点を当て質問致します。
AYA世代とは、我が国では15歳から39歳と暫定的に定義されています。
一般的に貯蓄は少なく、また医療保険・がん保険の未加入者も少なくありません。思いがけずがんに罹患すると、経済的に困窮するリスクが高くなっています。
区として支援の必要性をどのように認識しているでしょうか。
患者数は2017年全国がん登録によると、がん患者全体の2.2%と少数ですが、年間約2万人の方が新たにがんと診断されています。 (2007~2011年の)がんの罹患率から 本区では年間92名と推計されます。
東京都では平成30年に「AYA世代のがん患者に関する実態調査」を行っており、患者調査ではがん治療が難しくなった場合に過ごしたい場所は、「自宅」が54.7%と最も多くなっています。
また、在宅での治療・療養の課題は、「家族への影響が気がかり」が最も高く、次いで、「訪問介護サービス等の利用のための費用の負担が難しい」、「どこに相談すれば良いか分からない」という結果でした。
本区は、第二次がん対策推進計画で「がんになっても安心して暮らせる体制づくり」を計画の柱として定めています。
療養上の課題は、40歳未満であるAYA世代は介護保険制度を利用できません。
特に20~39歳は制度のはざま世代と呼ばれています。
健康保険、医療費の高額療養費制度等、限られた制度しか利用できないため、ターミナル期に介護サービスを利用したい場合、全ての費用を負担することになります。
健康推進課の行う、在宅医療連携推進事業では、AYA世代をどのように支援し、会議で議論されているか伺います。
本区でも若年でがんで亡くなる人は存在しています。
直近3年間のデータでは、20~39歳の全死亡のうち1位は自殺、2位はがんです。22.9%の方ががんで亡くなり、その数は平成29年に8名、30年に11名、31年に6名となっております。
このような背景から、平成27年よりAYA世代のがんターミナル期の方へ在宅療養に必要な福祉用具や訪問介護の利用料を助成する自治体が出始め、その数は徐々に増えています。
この事業は、対象者が少数であるが故に財政を圧迫するレベルではありません。
先進自治体の令和元年度の利用者数・決算額を調べたところ、横浜市では9名で61万円、神戸市は12名で45万5000円、鹿児島県は13名で19万9000円、和歌山県は4名で88万1000円でした。
更に、ターミナル期に対応できる訪問診療・看護・介護ステーション等との連携や支援(特に介護事業所との橋渡し役となること)も必要です。
また、在宅療養を希望する方が相談可能な窓口(医師会のみ)の拡充や在宅療養ガイドブックの情報の充実も必要と考えますが、見解を伺います。
これらの取り組みと合わせ、AYA世代がんターミナル期における在宅療養費の助成制度が必要です。
がんになっても安心して暮らせる江東区を目指し、最期を自宅で過ごしたいという希望に寄り添う制度を創設すべきです。見解を伺います。
経済的負担を理由に在宅療養を諦めなくて済むような環境が整うことを期待しています。
また前述した東京都の調査で、医療費以外の経済的負担に関してはアピアランス(外見)ケアにかかる費用に対する負担が大きいとの結果が出ています。
これまでもウィッグや補正下着の購入費の助成を求めてまいりました。2年前導入自治体は都内1区のみだった本事業は、5区1市に拡大してきました。本区の検討状況を伺います。
次に若年がん患者生殖機能温存治療費助成事業についてです。
厚生労働省及び東京都はがん治療により生殖機能が低下する、または失う恐れがある若年がん患者に対して、卵子や精子等の凍結や、がん治療後の不妊治療に要する経費を助成することを決めました。
今年度事業開始予定となっており、本区でも対応医療機関を把握し、区民からの相談に対応できるよう備える必要があると考えますが見解を伺います。
また、本区ホームページでも都の該当ページのリンクを掲載するなど、情報提供につとめるべきと考え、今後の取り組みを伺います。
特に知って欲しい課題
ご覧頂くとAYA世代のがん患者への経済的負担軽減策が必要なことは分かって頂けるのではないかと思います。
私自身、28歳でがんに罹患し、経済的負担や仕事との両立、相談できる人がいない等、多くの困難に直面しました。
江東区議会では、今まで質問されたことのない問題でした。
課題やニーズがまだまだ知られていない領域であると言えます。
ターミナル期(末期がん)と診断された方のうち、最後を自宅で過ごしたいという方への支援として、在宅療養費を助成する制度の創設が必要と訴えています。
区の回答
それでは区からの回答を公開します。
まず、支援の必要性と本区の取り組みについてです。
AYA世代のがん患者は、就学、就労、婚姻等の状況が異なり、心理社会的状況も様々である一方、患者視点での情報・相談体制等が十分でないことから、個々の患者の状況に応じた多様なニーズに対応できるような支援が必要であると認識しております。
また、本区の在宅医療連携推進事業では、在宅での緩和ケアをテーマにグループワークを行い、患者だけでなく家族への支援の必要性や、急変時の後方支援病院との連携の重要性等について、多職種間で認識を共有するとともに、多職種連携シートを作成し、関係者間で活用するなど、医療と介護の有機的な連携体制の構築を進めております。
次に、在宅療養を希望する方への支援と地域との連携についてですが、がんの拠点病院等では、がん相談支援センターを設置し、MSWが地域の在宅医療機関や訪問看護ステーションとの連携により、がん患者に対して適切な支援を行っております。
また、必要に応じて、訪問看護師等が介護事業所と連携し、在宅療養の環境整備が行われております。
区といたしましても、保健所・保健相談所において、相談内容に応じて関係機関等の情報提供を行っているところです。
また、区が作成している在宅療養ガイドブックにつきましては、住み慣れた地域や自宅で安心して療養生活を送ることができるように、地域における療養関連の情報や相談の仕方など必要な情報をまとめています。
更に、病気に関する情報の探し方やがん治療や生活に関する相談窓口を掲載したがん患者と家族のための療養ガイドを作成し、区内の病院や長寿サポートセンターに配布するとともに、ホームページにも掲載しているところです。
引き続き、AYA世代を含めたがん患者の在宅療養に必要な情報の充実を図ってまいります。
次に、患者の経済的負担の軽減についての内、AYA世代のがんターミナル期の在宅療養費の助成についてですが、区として助成制度を創設することにつきましては、がん以外の疾患で末期と診断された若年期の患者との整合等多くの課題があるため、今後の研究課題として、他自治体の事例の評価や課題を確認してまいります。
また、ウイッグや補正下着の購入費の助成についてですが、がん治療による外見の変化が、治療や就労への意欲の低下につながること等から、アピアランスケアの支援策については、他自治体の取り組みを参考に、具体的な支援について現在検討を進めているところです。
次に生殖機能温存治療費助成事業についてですが、区のホームページに、都が今年度から開始する事業の案内や医療機関情報を掲載するなど、患者や家族が生殖機能温存治療やがん治療への影響等について正しく理解し、適切な判断ができるための情報の提供に努めてまいります。
最後に
在宅療養費助成については、がん以外の疾患のターミナル期の方への支援の整合性など、区は研究が必要と回答しています。
(業界用語ですが「研究」というのは、やらないという意味で捉えることが多いです)
既にこの事業を行う他自治体の取組などを私自身も調べていますが、そのようなニーズは把握していないようです。
がんに限らず、該当する方がいれば救えるように設計すればいいと考えていますが、区として実態を把握することも必要です。
私も、区民の20~39歳の死因を調査し、どのような支援が必要かニーズを確認し、制度の創設に向け今後も粘り強く取り組んでまいります!
生殖機能温存治療費助成(がん患者への不妊治療費の助成について)は、政府及び東京都が助成を決めたことは大変嬉しいことと感じています。
江東区としても、必要な方への支援につなげ、制度の周知を積極的に行うべきと考えており、今回前向きな回答を得ることができました。
区のホームページ掲載や相談等の動向を確認し、寄り添って支援して頂くことを求めて参ります!
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