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[豆知識] 日本語国際公開にFI、Fタームが付与されるのはいつ?
こんにちは! 特許調査の仕事をしてます、酒井と申します。今日は「日本語国際公開にFI、Fタームが付与されるのはいつ?」という話題を書きます。(なおデータからの推測によるものです & 特許庁の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。)
はじめに結論
最近の日本語国際公開データ、約14500件を分析してみた結果
「国内移行から3~4ヶ月程度で
FI記号・Fタームの分類付与される」という印象でした。
背景
日本語国際公開→FI記号、Fタームの付与タイミングは、
講習会でも質問を頂く事が多かったのですが、なかなかきちんと調べられず、感覚でお答えしていました(すみません!)。ということで、ちょっと時間ができたので調べてみた、というものです。
以下、背景説明が続きますので、
すでに日本語国際公開についての知識をお持ちの方は
下記目次から「調査結果」にショートカットどうぞ!
そもそも「日本語国際公開」とは?
日本語で出願されたPCT出願が公開された公報です。
このような公報です → WO2022045033(PDF)
下記のように
・日本語で記載されている
・特許分類は「IPCのみ」が掲載されている という特徴があります
![](https://assets.st-note.com/img/1694064777741-NNUJn2CamO.png?width=1200)
なぜIPCのみが記載されている?
一般的な日本国内の公開公報には
IPC、FI記号、Fターム と最大3種類の分類情報が記載されます
(※Fタームは公報記載されない場合もあります)
(※下図ではテーマコード=Fタームです)
![](https://assets.st-note.com/img/1694064946336-O1xmjNu6sC.png?width=1200)
このうち、FI記号とFタームは日本国内のみで運用されている分類です
国際公開公報は「WIPOの国際事務局」が発行する公報であり(下図)
日本語国際公開は「日本語で書かれているが、外国公報扱い」になっているため、公報記載される分類はIPCのみ、となっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1694065024069-5PA01h4OdL.png?width=1200)
外国語国際公開の場合
外国語で国際公開されたPCT出願が日本に国内移行した場合は
「公表特許公報」が発行されます。公表特許公報は日本の国内公報なので、IPC、FI記号、Fタームが掲載されます。
これは一般的な公開公報と同じ感覚ですね!
![](https://assets.st-note.com/img/1694065300624-fAHqxzOBWL.png?width=1200)
日本語国際公開の場合は・・・
ご存知の方も多いと思いますが、日本語国際公開が国内移行しても
公表特許公報にあたるものは発行されません。
関連記事(特許庁)
また、アズテックさまも下記で記事にされているのですが
3.1 登録されないと国内で公報が発行されない
再公表特許が廃止されたことにより、日本語国際出願は国内移行後に審査を経て特許権が設定登録されないと国内で公報が発行されなくなりました。
日本語国際出願は、登録されないと国内公報が発行されない
・・・という状況になっていたりもします。
ちょっぴりこわい😅気もしてきますが、検索上の注意点なども説明されていますので、よかったらアズテックさまの記事を合わせてお読みください。
ということで、
「公開/公表公報にあたる公報発行がないとすると、
FI記号、Fタームはいつ付与されるのだろう?」というのが
冒頭の背景となっています。
調査結果
![](https://assets.st-note.com/img/1694066178894-P3BChyubjv.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1694066209729-PrCI3uCkZv.png)
2020年以降 × 日本語国際公開 × IPC=Aセクション を対象に
・国際公開件数
・国内移行済件数
・FIデータ有
の件数を調べたものが上記グラフです
順番にグラフを見ていきます
まず、グラフ中央部で、オレンジの縦棒に大きな段差ができているのは
国内移行期限を迎えた/期限前 の境界、と考えられます
![](https://assets.st-note.com/img/1694066418650-0cZez5Ba7g.png?width=1200)
次にグラフ左側を拡大すると
国内審査に係属(オレンジ)とFIデータ有(灰)はほぼ一致しています
従って「国内移行した出願にはFIデータが付与される」と考えてよいかと思います。
(※ここではFIに着目していますが、Fタームも同様と推定します)
![](https://assets.st-note.com/img/1694066531604-fyZYf0khGS.png)
続いてグラフ中ほど。こちらがポイントです。
国内移行した直後(右下矢印)は、移行済み件数に対してFI付与済み件数が少なく
4ヶ月ほど経過すると(左上矢印)、一挙にFI付与済みの件数が増えます
![](https://assets.st-note.com/img/1694066722411-Jo59W8atcV.png)
・・・ということで
「国内移行から3~4ヶ月程度の間にFI記号・Fタームが付与される」
のだろうな、と推測しました。
補足:J-Platpatだと「外国公報」です
前出の「特許庁からのお知らせ」にも記載されているんですが
6.国内移行出願に係る発明を検索したい場合
対応する日本語PCT出願の国際公開又は(特許権が設定登録された場合)特許公報で検索可能です。なお、国際公開の文献種別は「外国文献」なので、検索範囲に「外国文献」(特に「WIPO(WO)」)を追加指定しないと、検索漏れが生じるおそれがあります。
FI、Fタームのデータが追加されていたとしても
日本語国際公開は「外国公報」の扱いになっています。
ということで
J-Platpatで検索したい場合は
![](https://assets.st-note.com/img/1694067138802-dAyDpUJ9rx.png?width=1200)
「外国文献」(特にWO)にチェックを入れましょう!
商用データベースの場合は
ほとんどが国内公報+日本語国際公開を一緒に扱えるようになっているので
そこまで気にしなくても大丈夫です
それでは!