AIに学ぶかもしれない、検索の将来
こんにちは!特許調査の仕事をしてます、酒井といいます。
この記事は「何かと話題のAI」と調査(特許調査)について書きます。
雑談的な内容で、特に結論もないので
「読み物」として眺めて頂けたらうれしいです。
ここ2、3年くらいの傾向でしょうか。
「AI × サーチャーについてどう思われますか?」「AI × 発明創出はどうですか?」不思議と AI関連のいろんな質問を頂くようになりました。
こちら、今週(2023-12-06)掲載して頂いた記事です。
※全文閲覧は会員限定です。
AI × 特許庁、といえば (EPOのCPC分類提示AI)
最近「CPC text categoriser」というのが
EPO(欧州特許庁)のサイトで公開されたんです
「何か文章を入れると、最も関連性が高そうなCPCを幾つか提示する」
というものです。英語・ドイツ語・フランス語に対応してます。
どれどれ?と適当にIPS細胞に関連した論文を見つけてきて
Abstractをコピーし
「これどうかな?」とカテゴライザーに投入
メイングループで聞くと
「C12N5 ヒト,動物または植物の未分化細胞」なんだけど
サブグループで聞いてみたら
「A61K 35/545 胚性幹細胞;多能性幹細胞;人工多能性幹細胞すなわちiPS細胞;特徴づけられていない幹細胞」なんですって!
メイングループ/サブグループの指定で
答える分類が変わるの、ちょっと不思議ではありますが
でも、どちらもIPS細胞に合ってますよね!
日本の特許庁も「AI技術の活用に向けた取り組み」を続けていて
特許分類付与も先行技術調査も、それぞれ技術実証段階から導入へと
進んでいく段階にあるそうなのですが
EPOの「テキストカテゴライザー」を見てて思ったんです。
分類付与も、先行技術調査も「調べたい文章を入力して」「最も相応しいと考えられる結果を返す」のは一緒、というか、かなり近い技術だろうし
先行技術調査用のAIだって、実用段階に近づいているよね、と。
ところで、ちょっと話は変わりますが
AIを使いこなすの大変そうよ?(プロンプトエンジニアリングとかの話)
最近ですね
「プロンプト」なるものを使うようになったら
「あー!もう!プロンプト考えるのしんどい!面倒」ってなってます。
プロンプトって、若い人たちは自然にバリバリ書けてるのかな・・・?
自分が”おばあちゃん”の域に入り始めたせいで
柔軟性がなくなってきて書けないんだ、とは認めたくないけど
やっぱり思考の柔軟性のせいかもしれない。
プロンプトに送り込む「ナイスな指示」が、なかなか作れてません
(むー!くやしいぞ自分!)
「プロンプト」とは、
AIチャットボット(例:ChatGPTなど)に
自分が望むような答えを出させるための「呪文」「コマンド」的なものです
最近は解説書も増えてきています
(下記はKindle Unlimitedに入ってると無料で読めるやつです)
プロンプト、具体的な「見た目」はこんな感じ↓なのですが・・・
ChatGPTに向かってプロンプトを打ち込むたびに
「制約条件とか、入力文とか考えるのめんどい・・・」
「いやいやいや!ここで諦めたら試合終了だから!」と
食いついて(?)いる今日このごろです。
さて
先ほど登場した「EPOのCPCカテゴライザー」の話題に戻ります
EPOの分類カテゴライザーはAIツール、ということで
勿論、生成AIではないのだろうけど
プロンプトを受け付けるのかな? と出来心で試してみたところ(←!?
さすがにプロンプトを貼っても反応はしませんでした
(やっぱりね・・・)
そうなのですが、簡単な「設定項目」が画面右下にありました。
こんな感じです
プロンプトは受け付けないけれど、
分類カテゴライザーにだって
簡単な設定画面はあるのね、と、ちょっぴり新鮮に思えました。
設定画面を見てて、次に思ったのが
AI × 特許検索 に対する入力方法の将来像
・・・ってどんな感じになるのかな?ということです。
多分、CPCカテゴライザーのように
文章を入力して、類似特許を出力させるんじゃないかな?
簡単な設定画面くらいは付くのかしらん?
何となくだけど、プロンプト方式にはならなそうな気がする・・・
という感じに想像してるんですが
・文章で入力→類似特許を出力 のタイプだと
簡単に使えるけど、ある意味 答えの方向性が画一的になりそうだし
・プロンプトで欲しい答えを引きずり出すタイプの方が
自由度が高そうに感じるけど、そっちだと
プロンプトを編集する技術が大変な事になりそう・・・(震え
なんて事も妄想します。
どんな結果を狙っているから どんな情報が欲しいのか
これは検索の話ではないのですが・・・
最近読んで「ぐええ」となったTogetter記事がありました
これを特許調査に置き換えるならば
入門レベルで理解すべき事が「特許分類の選び方」や「キーワード、同義語・類義語の選び方」「要約・請求項か?全文検索か?」ではなくなって
「あなたは何の目的で、何を調べたいのか」を初手から考える時代
が来るのかも・・・?と考えてみると、どうでしょう?
自分は、あまり違和感がない気がしました。
そうしたら、多分次にやってくるのが
どうしたらAIから検索を学べるのかな
というテーマなのかも?と最近思っていて
将棋はとっくにAIから学ぶのが当たり前になり
最近は絵にもその流れがきているようです
将来、特許調査のAIがもっと普及・発展したら
うちの業界にも
「AIの検索結果を見て自分の思考を修正する」的な流れが来るのかな?
絵や将棋のように、直接見えるわけではないので
難しいかもしれないのですが・・・
そんな時代が来たら、思考の枠が広がりそうで楽しそう!
来年、そんな年にならないかな?まだ難しいかな?
そんな事を妄想する年の瀬でした
少し早いですけど、メリークリスマス!
みなさま、よい年末を
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