[検索メモ] CPC分類 改訂後の注意点
こんにちは! 特許調査の仕事をしてます、酒井と申します。
今日は「CPC(共通特許分類)が改訂された後の注意点」について書きます。
CPC(Cooperative Patent Classification)は欧州/米国が共同で運用している特許分類です。IPC(国際特許分類)から派生しており、随時改訂される点は日本で運用されている「FI記号」と似ています。
ただ「分類の成り立ちはFI記号と似ている」だけで、
分類改訂された後の扱いには大きな違いがあります。
最初に結論を書きますと
FI記号の改訂後
・旧分類も検索に利用できる
・J-Platpat等で旧分類表を参照する事もできる
(かなり古い分類は見れませんが・・・)
CPCの改訂後
・旧分類は「あっ!」という間に検索できなくなる(特にEspacenet)
・Espacenetの旧分類表も過去データを見ることはできない
・・・という違いがありまして・・・
まとめると「古いCPC情報はすぐ見れなくなってしまう」という状況です
2023年7月現在、知財塾・先行技術調査ゼミのファシリテーターをしていまして、このゼミでは「課題以外の質問もOK(大歓迎!)」にしています。
先日ゼミのSlackで
というSOSが寄せられました。
実際に検索してみると、下記のような状態になります。
(2023.7時点の例です)
商用データベースでは450件ほどヒットするのですが
Espacenetでは容赦なく「ゼロ件です」と表示され、
うっかり「H01L27/3241/low」(下位階層を含んだ検索)を指定すると
エラーメッセージで「そのような分類はありません」と
拒否されてしまいます。
「せめて・・・せめて分類表だけでも見れないかな?」と思っても
Espacenetの分類表からは跡形もなく説明文が消えている状況でした。
過去の分類定義を知りたい & どこに移行したのか知りたい
私のおすすめは
USPTOの CPC Notices of Changes (NoCs) です。
CPCの公式サイトにも同じような情報(Notice of Changes)がありますが
USPTOには簡単な検索機能がついているので、情報を探しやすいと思います
NoCsのページで H01L を検索し
H01Lの改訂について書かれたPDFを新しい方から順に開けていきます
(改訂時期がわかっていたら、その年月のあたりを探しましょう)
「当たり」のファイルを開けると
まず先頭付近に、容赦なく 「分類削除 (Symbols Deleted)」とあって
一瞬「削除か・・・」とひるみそうになりますが
ファイル内を目的の分類コードで検索してみてくださいね!
分類定義や移行先情報が見れます。
CPC削除の背景ーIPCの新設
割と近年まであったCPCが跡形もなく削除されるなんて
「過去に公報記載された分類情報は、分類改訂された以降も検索できる」方式の日本特許とは随分違いますよね。
この記事の例では
CPC=H01L 27 付近が H10K59付近へと、根こそぎ大移動していますが
こちら、IPCの新設に伴う改訂と考えられます。
[2023.01]と記載されているのは 2023年1月に新設された分類を表します。
IPCが改訂されると、同時期にCPCも改訂されるケースが多いです。
またその際、前述のように旧CPCデータは、少なくともEspacenetでは検索と分類表、両方が使えなくなります。(移行期間的なものもほとんどなく、改訂直後に使えなくなるので、ある意味清々しいくらいです😅)
不運にも「以前使っていたCPCが消えてしまった!」という場合は
USPTOやCPC公式の改訂履歴、使ってみてくださいね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?