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落ち目のバイオベンチャー?(2024-10-16)
こんにちは!特許調査の仕事をしてます、酒井といいます。
この記事は「モデルナの特許出願」についてのコラムです。
モデルナ、といえばコロナワクチン。
ワクチン接種のとき、ファイザーとモデルナで「選べる」とか「選べない」とか、どちらの副反応が大変なのか?と、ご家族や職場、身近な方と
情報交換した記憶がある方、結構多かったんじゃないかな?と思います。
先週と今週、2週続けて 岐阜大学で講義をする機会がありました
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伺った先は
岐阜大学のCOMIT 創薬シーズ開発・育成研究教育拠点。
医学、獣医学、薬学、工学等の研究者が一緒に研究をされている機関で
本年度初めて、
One Medicineリサーチマネジメント実践学(応用/知財管理実践)の
1回目、2回目の講義を担当しました。
https://comit.gifu-u.ac.jp/resource/basiccourse2024/#ouyou
こちらは日程表。
3週目からは武田薬品工業、塩野義製薬、サントリー・・・と、
社会人も聴講したくなる講師陣です。
受講は学生さんと東海大学機構の関係者に限られるのが残念なほど・・・!
でも、それぞれの先生方「学生さんだから」と話してくださる内容も
きっとありそうな気がするんですよね!
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・・・という講義なので、
私としては「3回目以降の豪華なお話が、少しでも多く伝わるように」
地ならし担当のつもり、で講義をしました。
知財にあまり触れたことがない学生さんにも
「創薬と知財」の基本的な関係を知ってもらう、とか
開発と知財の関係を「面白いな」と思ってもらえたらいいな、
といった狙いです。
となれば、やっぱり有名な企業の事例を入れたいな!と
半年以上前から 色々探しまくっていた中で
目に留まった記事のひとつがこちら。
ハーバードビジネスレビュー、2022年のものです
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モデルナって、コロナワクチンが世界中で売れる前は
「落ち目のバイオベンチャー」呼ばわりされていたようなんです😅
2018年にナスダック上場したけれど
なかなか製品が上市できず、
収入源はアストラゼネカ等の提携先に頼る日々・・・・・・
それは「落ち目」呼ばわりされるかもですね
以下、講義で使ったスライドからです。
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でも、コロナワクチンが世界中で売れて
業績も急改善した、とされるモデルナ社。
累積損失を解消して、ついで?に創業当時から目指していた
心血管系の疾患や癌治療への応用も、
実用化できたらハッピーだろうと思うのですが・・・
特許出願件数やその内容で見ると、ナスダック上場前が一番勢いがあって
最近は正直、あまり良いところがないように見えました。
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2021、22に多少特許出願してはいますが、下記のように
最近は「コロナワクチンの改良」の出願ばかりなんです
心血管系の疾患や癌治療の研究、うまくいってないのかなぁ・・・
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ワクチンで得た利益を研究開発に回せるか が
今後のモデルナを左右しそうな気がする・・・ と思っていたのですが
ちょうど講義資料作成の追い込みをしていた9月に、こんな報道が。
研究開発費、11億ドル削減ですってよ!
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ええと・・・なんというか・・・よろしくない傾向では?
再び「落ち目」呼ばわりされる日が 来てしまうのでしょうか・・・(汗)
・・・というような内容で
最近の事例をいくつか使って 講義を行いました。
塩野義製薬がパテントクリフを回避するかも!という話題や
本庶佑先生と小野薬品の「オプジーボ」
外資系新薬メーカーを中心に、大量の後続研究が追いかけてきてるー!
という話題などです。
オプジーボ(PD-1抗体)の出願件数推移は
きっと見たら「うっ・・・」となる、典型的?なグラフなので
また別記事で紹介できたら、と思っています😅 (⇩書きました!)
以上「岐阜大学で講義してきました」でした。