休眠預金活用法の見直し ~ 言いだしっぺが見た、法律の「その先」 ~
通常国会がスタートし、連日衆議院予算委員会での予算審議が進んでいます。政府与党としての責任は果たしつつ、私個人としての今年のテーマに『休眠預金活用法』の法改正があります。
■ 休眠預金活用法とは
議員立法で平成28年12月に成立したもので、平成30年1月1日施行されている法律です。私は平成25年1月に菅官房長官(当時)より休眠預金の案件を託されて以来、つまり当初よりこの議員立法に関わっており、自民党内で議連立ち上げを仕掛けた最初の一人であり、言いだしっぺとして作り上げてきた制度でもあります。
■ 休眠預金とは
10年間出し入れがない口座にあるお金のことであり、この法律ができるまでは払い戻しの申請が行われれば出金することを条件に、その金融機関の収入になっていました。
今までの実績でいうと、大体年間1200億円の休眠預金が発生し、そのうちの600億円ほどは払い戻し用に積み立てておき、600億円ほどが活用できる額として毎年計上されています。しかし実際は、毎年立てられる活用計画に基づいて必要な金額だけを預金保険機構から、休眠預金に関する事務を扱う日本民間公益活動連携機構(ジャンピア)に分配することになっています 。
■ 世界でも例を見ない活用法
この法律の附則の第九条に「施行後5年を目途として」勘案、検討して必要な措置を講ぜられるもの、つまり法改正を検討せよ、ということが入っています。
社会課題を解決する民間の活動を支援するために休眠預金を活用しているところは、世界を見渡してもありません。イギリス、韓国での休眠預金の活用形態とは違う形となっています。
つまり世界で初めての試みなので、その状況を早い段階で検証するのが必要だということで5年という時機としました。その5年が来年到来する中で、今年からそのための準備を行っていきます。
■ さまざまな活用事例
議連組織も今までの会長が議員を引退され、加藤勝信議員が新会長に就任しました。それに合わせ私が事務局長となりましたので、引き続きこの法改正の責を負う立場をいただきました。
早速、昨年末より議連で、実際に休眠預金事案に関わっている団体の視察やヒアリングをスタートさせました。コロナ禍によって起きた課題に緊急対応するための枠も別立てで作り、それが活用されてもいて、皆さんの奮闘ぶりがよくわかります。
自宅に居づらい10代の居場所提供、コロナ禍で在宅療養者への訪問診療体制ネットワークづくり、難病を抱える子どもとその家族のためのホスピスや法定障がい者雇用を達成するための企業のチームづくりなど、本当に多様な取り組みに活用されているということがわかりました。
法制定の折に、行政が取り扱いきれない、民間団体ならではの活動にこそ、このお金を活用してほしいとの思いがありました。その考え方に近い形で活用されているのを確認させてもらうこともできて、正直嬉しかったです。
■ 法見直しへの新たな「視点」
しかしそれと同時に課題も見えてきました。
多くの団体は補助金、助成金そして寄附などを原資として活動していますが、日本の寄附文化が米欧諸国と比べると充分でない、単刀直入に言えば、寄附額の規模が小さいということが指摘されています。そのためこういう分野そのものが日本ではまだ脆弱だと聞きます。つまり、人材も不足しているということです。
今回いろいろな方にお話を伺う中で、この法律を作る際にそういう視点がなかったとに気づかされました。そして多くの方が現在の活動支援と同時に、この分野の育成に休眠預金を活用してもらいたいと希望していることもわかりました。
確かに日々の生活に心配や不安がない程度の収入がなければ、優秀な人も入って来づらい。人材がいなければ活動もままならず、世間からの認知も評価もついてこず、充分な資金の流入も期待できない。こうした循環を休眠預金を活用して断ち切り、逆のスパイラルを築いていきたいということだと私は受け取りました。
私個人としては、今回の法改正においてこの「育成」という観点もぜひ法律の目的として位置づけたいと思いました。議連の役員の皆さんとも議論を積み上げ、形にしていきたいと思います。
そして、この休眠預金が公のために、社会のために、日本のためにより一層有意義に活用される制度になることを目指し、法改正作業を進めていきます。
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