よりよい日本へ。~成長のための令和5年度予算~
3/28に令和5年度当初予算が参議院で可決・成立しました。「過去最大を更新」などの表現でメディアでも取り上げられました。
■過去最大とはいえ・・・
今年度から防衛力の抜本強化も始まりますし、増加幅を圧縮する工夫は毎年行っていますが、それでも社会保障費も37兆円弱と、過去最大の額を計上しています。社会保障費が1/3を占めるなか、他の費用を見ても公務員関係の人件費や役所機能を確保するための通信費・光熱費、それに家賃など固定費の割合も高く、実は裁量的経費は15.7兆円と少なくなっています。
しかし、物価高騰や安全保障をはじめ課題が山積するなか、政策予算を圧縮するのは今まで以上に国民生活に負担をかけることにつながり、経済へも悪影響を及ぼしかねないのが実情です。
税収見込みが約70兆円のところ、35兆円の国債を発行するという形が毎年続いており、財政健全化のためには歳出カットが必要という認識がありますが、実際はなかなか難しいものがあります。
■行政の行動文化
これはあくまで私自身が感じていることですが、行政の仕事をする発想の中に「予算がすべて」という考え方が染み込んでおり、「予算がなければ求められる結果が出せない、必要なサービスが届かなくても仕方ない(だから、予算を付けないことが悪い)」という考え方が根底にあることが、歳出カットが思うように進まない一つの原因かと思われます。
民間は何かをやるときに資金が足りなくても結果を出さねばなりません。そのために考え、工夫をします。イベントに出店して焼きそばを売ったり、協賛金をお願いして回って資金調達をしたり、ボランティアで協力してくれる人を探して経費を削減するなど、工夫して結果につなげようとします。しかし行政の中では「予算がないのでできません」で終わり。
また、民間企業では同じ事を何年も続けていれば、ノウハウも蓄積され、経験値からムダな動きや部分を削り、結果、経費も削減できると考えます。そうやって収益を増やそうとするのが当たり前ですが、行政にはその感覚はありません。財政健全化のために費用を圧縮しようというインセンティブは働かず、昨年、一昨年と同じ予算が付かなければ同じ事はできない、という発想がまかり通っています。
そうなると、例えば、予算が90%になれば、減った分、無駄を省き、効率化をはかり、同じサービスを提供しようという工夫をするよりは、今まで100カ所で行っていたサービスを90カ所にし、残り10カ所のサービスは打ち切りとなるだろうということです。
つまり、現状の発想で予算を減らすということは、まさしくその分だけサービスの総量が減ることに直結するということで、経済社会の調子がいいときはともかく、現状ではかなり影響が出てしまうことも恐れるわけです。
この「行政の行動文化」は実は大きな問題だと思います。しかしこの文化の現状を踏まえて対応しなければならないので、私が所属する政調会でも経済を活性化し、成長させるしかないという議論がなされています。
■成長のための3つの課題
整理してみると、解決すべき点は大きく3つだと私は考えています。
① 理系の人材不足
国の経済を成長させるには国際競争力を持つ技術が必要です。そこを生み出し、商品化していくためには、まさしく企業に「人」が必要ですが、日本では理系に進む学生が文系に比べ半分程度という状況です。学生が少なければ研究者も少なくなります。
②戦略の欠如
産業化、商品化まで見据えたものが必要で、しかも人が育ち、技術が競争力を持つようになるまで長い期間継続されるものでなくてはなりません。
「JAXAが十数年前に世界で初めて実験に成功した」などという成果がいくつもあるにもかかわらず、まったく日本では活かされていない技術があると関係者から聞いたことがあります。
③資金的支援の不足
人材と技術の育成のための支援が他国と比較しても一桁、二桁違うと言われる分野もあります。またそれらが、各省バラバラで、ただでさえ少ない資源が積み重なっていないのです。
安全保障の分野でも通信技術に関して、先日初めて、総務省と防衛省が情報共有したとのこと。内閣府の宇宙開発戦略推進事務局が旗振り役ということですが、十分に機能しているとは言えないと思います。
■基金の活用
実は今回の予算は昨年度の補正予算と合わせ、これらの対策を進めることをかなり意識したものになっていると思われます。大学の理系学部新設なども支援します。
そして今回は基金という手法をかなり取り入れていると感じます。
基金のメリットは年度をまたいで複数年にわたり継続的に支援することを「計画的に」行うことができることにあります。民間企業なども、次年度に補助金が付くかどうかわからない事業に大きく投資などできません。
一方、財務省は基金という手法を嫌います。一度基金として積んでしまうと、所管官庁に任せざるを得ず、財政当局のチェックが働かなくなるからです。
例えば今回、Beyond 5Gという5Gの次、6Gと呼ばれる、今まさに開発されている情報通信技術への基金が常設化され、この分野で国際競争力を持つことを目指します。また、大学への研究費補助やカーボンニュートラル分野の研究費補助にも基金の手法を活用します。
同時に、これらに合わせ、調整・牽引役をはっきりさせ、権限を集約すると同時に、きっちりした、しかも産業化まで見据えた戦略を持つように、自民党政調会ではいくつもの提言を政府に行っています。
また、今回、地方への資金となる「地方創生臨時交付金」1.2兆円を含む2.2兆円を、物価高対策として予備費から支出することも決めました。エネルギー代支援や低所得世帯支援、その他農畜産農家への支援などが含まれます。
よりよい日本へ。全力で対応していきたいと思っています。
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