「骨太の方針」に記される意味 ~ さかい学が関わった提言 ~
今年の「骨太の方針」は6月16日に、経済財政諮問会議での答申を経て閣議決定されました。今年の骨太の方針の正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義 ~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」と言います。
■ 「骨太の方針」の歴史
2001年に小泉政権下でスタートしました。毎年6月頃に閣議決定されるもので、政権の重要課題や政策の基本的方向性を示すものです。当時は、不良債権の抜本的処理や国債の年間発行額30兆円以下というような目標でしたが、安倍政権下ではアベノミクス「三本の矢」や今後10年の平均成長率目標などがこの中で示されてきました。現在は表題に入っているように新しい資本主義、人への投資、賃上げなどが目玉になっています。
■ 「骨太」に書き込まれる意味
私たち与党の国会議員は、この骨太の方針の中に自分たちが実現させたい政策を何とか押し込みたいと、4、5月には議員同士で集まり、提言を政府や官邸に持ち込み、アピールします。
書き込まれるということは、現在の政府の方向性と同じことの証明となり、役所側も対応していくことになるからです。そしてそこに記述があることを一つの根拠に、検討会、審議会などを政府内にセットすることができ、法改正にもつながっていきます。ですので自民党では様々な分野の課題に対して、各省庁それぞれの政策の取りまとめを、役所も交えて行い、提言づくりをしていくのです。
■ 私が関わった提言
今回の骨太の方針にどのように記載されているか、いくつかご紹介したいと思います。
<GREEN EXPO2027国際園芸博覧会(花博)>
わずかに名前が入っているだけですが、これが大切なのです。「大規模国際大会等」ではなく、単独で名前が出ているということが力の入れ具合を示すわけです。
<休眠預金の活用>
私が議員連盟の事務局長として奔走し、先の国会でやっと閉会日に改正案が成立したのですが、今年は骨太に「休眠預金」と記述された箇所が2か所ありました。
一つはインパクト投資の分野です。社会的起業家(インパクトスタートアップ)への支援を強化し、社会的起業家のエコシステムの整備を図るとし、その具体的な方法の一つとして
とあります。
もう一カ所はソーシャルセクターの発展に関する部分です。
実は、今回の休眠預金の法改正に際し、内容を後退させてこの金額を他の用途に使うべきという考えの議員が出てくることも想定して、政府の方針だということを明確にすることで対抗しようと、何年か前から骨太に記載をお願いしていたのでした。今は、一つの手法としてかなり期待されるようになったと実感しています。
<情報通信インフラ>
座長として岸田総理にも直接提言を手渡し、昨今の重要性も反映して、かなり書き込んでもらったものと思います。
総理が進める「デジタル田園都市国家」を実現するにも、これら情報通信インフラが整備され機能することが前提となっています。項目名しか上がっていませんが、その奥ではとてつもない予算や人が動いているのです。
<身寄りのない一人暮らし>
また、先月の小紙にも取り上げた「支援をお願いできる方がいない一人暮らしの方」に関する課題については、共生・共助社会づくりの中で以下のように記述されました。
包括的社会実現の取り組みの中の項目として、そのものズバリの書き方ではありませんが、この記述で今後役所の中で検討会や勉強会を立ち上げる根拠には十分なりうる、という現場の課長の認識を確認し、今回は了解しました。
質問自体が5/24で直前だったこと、調査会や特命委員会などの政策審議会を通った提言ではなく、私個人の質問と総理答弁が根拠だということなどもあり、今回は強く訂正は求めませんでした。しかし、厚労省ではきちっと検討を進めてもらいたいと思います。
<防衛力の財源>
当初より党の検討特命委員会の提言を待ってそれを最大限反映させたものです。
まだ財源として明確にいくら出せるという費目は出てきていないのが現実ですが、意気込みと方向性を示すものとなったとは思います。しかし、この作業はやはり国民に理解をいただくためにも、根を詰めてやる必要があると思いますし、必要に応じて説明できるようにもしておかねばならないと思います。
■ 政策実現のために奔走する議員
政府に提言する前には、必ず自民党政策審議会を通さなくてはならず、私自身政審の役員として、会議毎に複数の提言案を扱って来ました。提案する議員も、政策実現のために必死に活動をします。
「骨太の方針って、よく耳にするけれど、政治の中でどういう位置づけなのかよくわからない」と言われることがあります。中々、皆さんにお伝えすることがない分野なのでこの機会にご紹介させていただきました。
※トップの画像は休眠預金活用法改正にあたり、委員会での説明
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