12年目の思い
「ゆいっこ横浜言いだしっぺ支部」のスタッフNです。
3.11を目前に控えた3月4、5日で大槌を訪問してきました。
今回の訪問はゆいっこツアーではなく、ごく個人的な願いを叶えるためのものでした。
気ままに大槌を歩き、出会った方とお話をさせて頂きました。
ツアーでもお世話になっている「居酒屋ミカどん」は大槌駅前に移転しましたが、変わらぬ笑顔と「おかえり」の言葉で迎えてくれたみかちゃんとみっちゃん。
震災を機に大槌に戻り、地域の虎舞を継承されている方。
仮設住宅でおばちゃんたちの集いの場のために始めた手仕事を、今では様々なイベントを行い私たちも含め全国にまで仲間を広げた「おおつち おばちゃんくらぶ」。
岩手県で一番古い老舗ジャズ喫茶「クイン」を再開された方。
みなさん共通しているのは大槌に希望を持ち復興している、ということでした。
そして口を揃えておっしゃるのは、「あんな思いは誰にもして欲しくない」という一言でした。あんな思いはしたくない、ではなく「して欲しくない」。自身に向けられた言葉ではなく、他者に向けられた優しい言葉でした。
また今回の訪問で、会ったこともないけれど大槌に思いを寄せている仲間がたくさんいるということも改めて感じました。
おばちゃんくらぶに届いたデコ鮭は5日の時点で500匹近くあり、私たちゆいっこ同様、毎年必ず参加してくださる方が沢山いらっしゃるそうです。
「デコ鮭を見て、どの方の作品か分かるものもあるのよ」と、ディスプレイの作業中にデコ鮭を手に取りながら、嬉しそうにお話ししてくれました。
ジャズ喫茶では、「いつか店を再開するためにと、会ったこともない方からたくさんのレコードを寄付して頂いた」「そのことが店を再開する後押しになった」とおっしゃっていました。そしてその後、その送り主にもお会いできたそうです。
全国のたくさんの仲間がいる、大槌を思ってくれている人がたくさんいる。このことが復興への大きな原動力になっているようです。
駆け足で巡った2日間でしたが、語り合うひと時はゆったりと有意義なものでした。
名前も連絡先も聞かなかったけれど、大槌のあの店に、あの場所に行ったら、また会える気がする。そう思い大槌を後にしました。
あの日、恐ろしい顔を見せた海が2日間は穏やかでとても美しかったことが印象的でした。