HHKBの呪い

　家でも職場でもHHKBを愛用していて、もはや手放せなくなっています。
キーを押したときの気持ちの良さと、キーカスタマイズの豊富さが魅力なのです。高価な買い物ですが、それだけの価値のあるものであると信じて使っています。

HHKBに「はまる」まで

　そもそもキーボードが好きなのです。ノートパソコンはノートパソコンとして使うけれど、デスクトップでパソコンを使うときには，ノートであってもキーボードを追加したがります。
　最初は安くていろいろと機能がついているものとか、折りたたみで持ち運べるものとか、ギミック重視で考えていましたが、次第に打ち心地にこだわるようになりました。

　まずはThinkPadのキーボードを独立させたトラックポイントキーボード。トラックポイントもおもしろかったし，１枚の板のような質感が好きでした。このあたりで１万円超えをします。

　カチャカチャした感じがほしくていくつかゲーミングキーボードを試した後、マウスと合わせる感じで手にしたのがロジクールのMX KEYS。これも気持ちよくて、大きいのと小さいのと２種類使っていました。

　メインＰＣがMacに変わったので、Magic keyboard。何となく頼りなくて、あまりにも平べったくてもうひとつ好きになれませんでした。
　実は最初に買ったMacBook Air が初期不良っぽくてキーボードを打つとちょっとぐらぐらしたのです。それで、MacBookのキーボードに良い印象がなかったのかもしれません。だから単体のキーボードを買ったのに、もうキータッチそのものに悪印象がついてしまったのかもしれません。

　一方、気に入ったのは、Controlキーの場所。日本悟キーボードの場合は、Caps Lockの場所にある。これはすごく良かったです。
　ただし、WindowからMacに来ると、Commandキーと、Controlキーの扱いの違いになかなか慣れませんでした。WindowsのControlキーがMacのCommandキーである、と言われるのですが、+Hとか+Fとか、例外が幾つもあって、それがつらいのです。

　HHKBは、設計思想みたいなものが気に入ってしまって、どうしても体験したくなって悩んで悩んで、色がとてもすてきなType-S「雪」を清水の舞台から飛び降りる気持ちで買いました。
　本当は英語キーボードに憧れていたのですが、前述したControlキーの場所と、矢印キーの存在（不在）が気になって日本語にしました。
　これは、本当にいいキーボードでした。打つこと自体が快感になるというのはまさにそのとおりでした。値段が値段だし、もう一生これでいこうと思いました。

　その後、職場でも使いたくなり、Studioが発売されたのがきっかけで、追加購入することになります。「トラックポイント、好きだった」と言い訳をしながら。（でも、トラックポイントは思ったより使っていません）
　使ってみてのマイナス面は「墨」の見にくさがしんどかったこと。ある程度ブラインドが出来るので大丈夫だと思っていたのですが駄目ですね。修行不足で、一時憧れた無刻印に手を出さなくて良かった。結局後日発売されたキートップを追加購入しました。
　逆にとっても良かったのは、キーの割り当ての自由さ。前述したMacとWindowsの違いをこれで吸収して、職場でWindowsを使うときにも、Macと同じショートカットが使えるように細工をしています（Fn3を使った擬似的なものですが）。

　今は、家でHHKB Type-S、職場でHHKB Studioを使って、幸せに過ごしています。めでたし、めでたし（どれだけお金を使ったのだろう）、

　が、しかし、なのです。

MacBookの逆襲

　自宅ではMacBook Airに大きな4Kディスプレイを接続して、それをメインに使っています。目が悪いので画面の大きさのわりには解像度は抑えてはいるのですが。それ１枚で終われば良いのですが、貧乏性なのでサブとして横にMacBookを置いています。
　でも、逆にメイン画面が大きすぎて、横にあるサブディスプレイ（MacBookの内蔵ディしプレイ）を使いこなせていないのです。貧乏性なのでもったいなくてしょうがないのです。

　いろいろ考えて色々調べて、どうやらディスプレイを横ではなく縦に並べれば良いと思いつきました。
　大きすぎるディスプレイは余り高くなると首が疲れるので、手元に普通にMacBookを置いてメイン画面として使い、外部ディスプレイにはいつも開いているLINEやMusicやSafariを置いておけばいいのではないか、と考えるようになったわけです。
　そもそも、出先ではMacBookを単独で使っているし、そのために画面の大きなものに買い換えたのですから。

　で、ここで困ったのがキーボードです。もちろん、HHKBを使いたい。で、お馴染みの「尊師スタイル」です。
　なんだか偉くなったような気がして使っていたのですが、せっかくMacを開いて使っているのだったら、Touch IDを使いたくなるじゃないですか。そのたびにHHLBをどかして、さらにキーボードブリッジをどかしていたのですが、そのうち戻すのが面倒になりMacのキーボードを使うわけです。
　するとあら不思議、かつては好きになれなかったMacBook本体のキーボードが思ったよりも打ちやすい。えっ、と思いました。

HHKBの呪い

　今、横にHHKBを置いて、MacBookのキーボードでこの文章を書いています。案外気持ちよく打てます。Touch IDも便利だし、Controlキーも良い場所にあるし、指がさっと届くところにトラックパッドもあります。外付けトラップパッドがいらなくなりました。余分なものを片付けたら机の上が広くなるでしょう。コード１本外せば、同じ手元環境のまま別の部屋に行けます。快適です。

　でも、横に置いてあるHHKBが恨めしい声を出すのです。「いいの？本当に？」。HHKBの呪いです。癖になるほど快適な使い勝手なだけに、投資額が大きいだけに、しまいこむことが出来ない。押し入れの中からは、MX KEYSの声も微かに聞こえるというのに。

　「尊師スタイル」といったりきたりしそうな今日この頃。でもきっと楽な方へ流れるのでしょうね。目の前のディスプレイからは、ReALFORCE RC1の白い顔が、「ファンクションキーありまっせ」と呼びかけてきます。