抜海駅
OSC2023北海道(札幌) への道(2日目)。稚内から札幌に向かう道中に、その駅はあります。宗谷本線抜海駅。最北端の無人駅として知られています。
JR北海道によると、H30~R4の五か年平均で、1日あたりの乗降者は1~3人。幾度か廃止の候補に挙がったものの生きながらえてきましたが、25年3月での廃駅がいよいよ決まったとの報道も目にします。
維持にかかる費用(必ず誰かが負担しています)と利用料金として徴収できる額とのバランスが著しく崩れた場合、それが歪みとなるのは当然のことです。
資料によると、抜海駅維持のために稚内駅が税金から年あたり100万円を投入しているとのことです。100万円で駅を維持できるものなら、
1日辺り平均2人の利用者、360日間、で試算すると、
1,500円 x 360日 x 2人 = 108万円、ということで、
駅1回の利用ごとに 1,500円を払うことにすれば維持できることになります。
実際には駅の利用料なんてものはなくて、数百円の乗車券のみで利用できているので、その不足部分は他の誰かが負担している、そのことは事実として議論の根底に置くことを忘れてはならないと思います。
(費用の話で言えば、市の負担がなくなるよう有志が維持費を市に寄付するという話があったのに、市が受取を拒否したという報道も見ましたが、これは費用だけではない、報道されていない負担があるからなのか、それ以外の理由なのか、いささか不可解には感じました)
もちろん公共交通というのは必ずしも受益者負担のみではなく、全体として負担を均すことで成り立つ面が大きいですが、この手の廃止/存続に関する報道を見ると、「自分たちのために他の人が負担するのは当然」という論調も目にしてしまうことになり、辟易することもあります。それ、当然じゃないですから。
・・・なんてことを、これを書くに当たって考えたりもしましたが、実際にに訪問してみるとのどかな空間であり、この線路をずっと行くと最北端の稚内、反対側にずっと行くと札幌のほうまで行けるのだなと想像すると、雄大な気持ちになったりしました。 この雰囲気、結構好きです。
そんな駅が廃止されてしまうということになれば、それはそれで、やはり寂しいものです。
もっと観光資源として上手に企画をすれば活きてくるとは思うのですが、そういうものに染まっていないからこそ味があるという部分もあり、あっちを立てればこちらが立たず、です。