元地球人 夢日記2024.5.11
どこかの惑星。
元地球人の我々、十数名を乗せた宇宙船は、事故でこの星に不時着したのだった。たまたま着いた惑星が地球に似た環境で、本当に良かった。
と喜んだのも束の間である。「元地球人」と言ったのは、地球ではない惑星にいるからというだけでなく、身体が変容してしまったからだ。大気の成分の何かが原因なのだろうか。
いまの、この姿を見た人が、我らのことを地球人、それどころか、ヒトであるとは判断しないだろう。
僕たちの外見は、植物そのものだった。高さ2メートルほどの樹木が動き回っているようにしか見えない。
しかし、手足は自由に動かせるし、走ることもできる。枝のような見た目の指も器用に物を掴める。
元の体と同様の機能に加えて、植物らしい特性も充分に発揮できるような、新しい格闘技も開発した。この惑星固有の知的生命体と闘うためである。
原住生命体は、変容後の我々と同じ植物型だった。襲撃は少人数で、銃火器はまだ発明されていないらしく、最も強力な武器が固い棒という程度の文明レベル。
初めは苦戦して怪我人も出たが、格闘技の修行が進んだ最近では難なく追い払えるようになった。いまや我々、この惑星で最強の集団かもしれない。
現地語を習得して、和平交渉を持ち掛けたいところだが。