野生化した豚に追われ、の夢(2022.9.4)

 むかしむかしの、東洋のどこかの国。
 僕は貧民街に住む若者だった。
 仲間たちと一緒に、入り組んだ路地を走っていた。目指すのは、貧民街と富裕層の区画を隔てる塀だった。乗り越えて、その先で何か悪さをしようというのだ。
 別に急いで行かなければいけない訳ではないのだが、なぜ走っているかといえば、野生化した豚に追われているからだった。奴らは獰猛で、食べるためでもないのに、人を襲うことがあるのだ。今まさに、数匹の豚が目の色を変えて興奮しながら、僕たちを追いかけている。
 全速力でくねくねと曲がる路地を駆け抜け、目標の塀に辿り着き、仲間の肩に乗り、塀に登り、仲間を引き上げたところに、標的を見失った野豚たちが土煙を上げながら通り過ぎていった。間一髪だった。
 何かかっぱらってやろうと、富豪の屋敷をめがけて塀から飛び降りる。

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