
群馬県民会館の存廃問題について
県民会館存続は県民の願い
群馬県民会館の存廃問題が再燃しています。
ことの始まりは2020年に「県有施設のあり方見直し委員会」が、対象10施設を公表し、県民会館がその筆頭に挙げられたこと。
大規模改修の着手直前で中止し(設計費2億円が無駄に)、突如廃止方針を示しました。
存続を求める市民団体は、短期間に2万人の署名を集め、提出。
県議会は「存続を求める県民世論の高まりに鑑み…幅広く県民の意見を取り入れて慎重に検討すること」を全会一致で決議しました。
これを受けて、大ホールのみの利用で3年間存続することが決定。
しかし、その後、県は市との協議が進まないまま、2025年4月以降の予約を一方的に停止してしまいました。

2024年10月、再び請願が県議会に提出され、「前橋市や文化芸術分野の専門家、利用者を含む多くの県民の意見を聞いて」の部分が全会一致で趣旨採択されました。
私も所属する総務企画常任委員会は2025年1月23日、全館くまなく視察調査しました。
バックヤードも詳しく説明していただき、改修すればまだまだ使えると実感しました。

県が2024年末に実施したWEBアンケートは、
▽大ホールの年間利用者数が1/4程度まで減少▽耐震性や老朽化で大規模改修を行わない限り利用継続できない
▽大規模改修に50億円以上の費用が必要
―などと、情報を付与した上で答えさせるという、極めて恣意的なものでした。
日本共産党県議団は、内容的にも方法的にも問題だとして、中止を要求しました。

ところが、このような〝誘導尋問〟でも、「必要」「どちらかといえば必要」あわせて、32.4%(中毛地域は41%)にのぼり、自由記述では、存続意見が167件、 廃止意見は151件と、知事の思惑とは裏腹に、「存続」が上回る結果となりました。
また、「上毛新聞」が2025年2月9日投開票の前橋市議選で候補者に実施したアンケートでは、「市が相応の支出をしても存続させるべき」との回答が22人で、「そう思わない」11人の倍になりました。
さらに、「守る会」などが取り組んだアンケートでは「存続」が60%にも達しています。
建築関係者、研究者などの動きも活発化しました。
2024年11月3日には、docomomo-Japan(日本の近代建築の再評価活動を行う団体)の有志が視察。
また、前橋工科大学准教授・学生らも視察しました。
日本建築学会は2025年2月15日、群馬県民会館の建築見学会を実施し、私も含めて約50人が参加しました。
前橋工科大の臼井敬太郎准教授と岡田新一設計事務所の柳瀬寛夫社長の解説を聞きながら館内をめぐりました。
これだけ石をふんだんに使った建築も珍しいそうです。
文化的歴史的価値は絶大です。

このように、岡田新一氏設計による県民会館の建築的価値や魅力について再発見しようという動きが強まっています。
〝文化の殿堂〟を改修・存続させるのか、それとも廃止・解体してしまうのか、まさに正念場を迎えています。
