足跡
雪上に残る誰かの行跡
申し訳程度の常夜灯が照らす
ぼんやり輝く純真無垢な
白に染められたその道に
彼らの生はためらうことなく
力強く残される
ふり返り見た僕の足跡は
あまりに浅く後ろめたく
所在なさげにゆらめいている
いやにぼやけた僕の影は
溶けだしにじんで染め上げる
僕の足跡(そくせき)に溶けだした僕の影は
犯した罪をまざまざと
白銀のキャンパスに描き出す
白にはじかれ黒にもなれず
中途半端な僕は立ち止まる
一歩踏み出すことがためらわれた
この美しい雪上の行跡の中に
僕の髪一つでさえ
残してはいけない気がした