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霧島はるか
2021年2月27日 21:00
沈んでいく。堕ちていく。願い続けた。冷たい毛布の中、息をひそめて。目をつむった。それが僕が許される唯一の方法だと思った。あれだけ神様を嫌ったくせに、地獄だけは信じた。芥川に共感した。現実は無法則で理不尽な苦しみを僕に与える地獄だった。法則のある苦しみだけが存在する言い伝えの地獄を求めた。天国は嫌だった。知恵の実を食べる前の存在にだけはなりたくなかった。それは本心だろうか。完