血液透析業務をする際に知っておきたい略語【続編】 

 透析業務ではさらに多くの略語が用いられます。本記事では、続編として日常業務で役立つ略語を追加で解説し、具体的な使用場面を示します。


1. 血液検査関連の略語

Alb(Albumin)
血清アルブミン値。栄養状態や炎症の指標。低値の場合は栄養改善指導や感染症の可能性を検討。患者の栄養状態評価時に使用。

CRP(C-Reactive Protein)
炎症反応の指標。透析患者の感染症や炎症を早期に発見するために利用。血液検査結果の確認時に使用。

Hb(Hemoglobin)
ヘモグロビン値。貧血の有無を評価する重要な指標。エリスロポエチン(EPO)の投与計画や鉄剤投与の基準として使用。

TSAT(Transferrin Saturation)
トランスフェリン飽和率。鉄の供給状態を示す指標。鉄剤補充や貧血治療の計画時に使用。

Ferritin(フェリチン)
体内鉄貯蔵量の指標。透析患者の鉄補充の適切性を評価する際に使用。


2. 治療計画と薬剤関連の略語

EPO(Erythropoietin)
エリスロポエチン。貧血治療に用いられる薬剤。患者のHb値を確認しながら投与計画を立てる際に使用。

ESA(Erythropoiesis-Stimulating Agent)
赤血球生成刺激薬の総称。エリスロポエチンやダルベポエチンを含む。貧血治療計画時に使用。

ACE-I(Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitor)
アンジオテンシン変換酵素阻害薬。高血圧や心不全治療に用いられる薬剤。患者の血圧管理時に使用。

ARB(Angiotensin II Receptor Blocker)
アンジオテンシンII受容体拮抗薬。ACE-Iと同様に高血圧管理に用いる薬剤。降圧薬調整時に使用。

Ca × P(Calcium-Phosphorus Product)
血清カルシウム値とリン値の積。高値の場合は血管石灰化リスクが高まるため、透析患者の栄養管理や薬剤調整時に使用。


3. 機器や装置関連の略語

QB(Blood Flow Rate)
血液流量。透析装置で設定される指標で、透析効率に影響する。装置設定や患者管理時に使用。

QD(Dialysate Flow Rate)
透析液流量。透析効率に直接関与するため、治療設定時に重要。

TMP(Transmembrane Pressure)
透析膜を介した圧力差。ダイアライザの状態や血液回路の異常をチェックする指標として使用。

AP(Arterial Pressure)
動脈側の圧力。穿刺部の血流状態や回路のトラブル確認時に使用。

VP(Venous Pressure)
静脈側の圧力。血液回路の閉塞や血液漏れを確認する指標。異常発生時の対応に重要。


4. 栄養管理と食事指導関連の略語

Na(Sodium)
血清ナトリウム値。水分管理や高血圧の原因を調べるために使用。食塩制限や透析液設定時に使用。

K(Potassium)
血清カリウム値。高値は心停止リスク、低値は筋力低下を引き起こすため注意が必要。食事指導や透析液調整時に使用。

P(Phosphorus)
血清リン値。高リン血症は骨・血管の合併症リスクを高めるため、食事制限やリン吸着剤の投与計画時に使用。

Ca(Calcium)
血清カルシウム値。低カルシウムは骨粗鬆症、高カルシウムは石灰化リスクを示すため、栄養管理時に使用。


5. 特殊な検査や治療関連の略語

AVF(Arteriovenous Fistula)
動静脈内シャント。透析治療における血管アクセス。穿刺部のトラブル確認時に使用。

AVG(Arteriovenous Graft)
動静脈グラフト。人工血管を用いたシャントで、シャントが作れない場合に使用。血管アクセス管理時に使用。

PTH(Parathyroid Hormone)
副甲状腺ホルモン。骨代謝やカルシウム・リンの管理に重要。骨疾患や副甲状腺過形成の評価時に使用。


まとめ

透析業務では、多くの略語が使用されるため、これらを理解し適切に活用することで、日々の業務効率を高め、患者ケアの質を向上させることができます。続編で紹介した用語も覚えながら、現場での実践を通じて徐々に馴染んでいきましょう。

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Yusuke
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