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なぜお米の収穫時期には早いものと遅いものがあるのか?

お米の収穫時期は、田んぼによって異なります。早い時期に収穫される「早稲(わせ)」と、遅い時期に収穫される「晩稲(おくて)」という2つの種類があるのです。この違いは、実はお米の種類や用途、さらには気候などさまざまな要因によって決まります。今回は、なぜ収穫時期に差があるのか、特に酒米(さかまい)の収穫時期について詳しく解説します。


1. お米の品種による収穫時期の違い

お米にはさまざまな品種があり、それぞれに生育期間が異なります。一般的に、早稲は生育期間が短く、植え付けから収穫まで約90日から100日ほどです。一方で、晩稲は生育期間が長く、収穫まで120日から150日かかることもあります。

早稲は主に、夏の終わりから秋の初めにかけて収穫されるため、新米として早く市場に出回ります。これに対して、晩稲は秋の深まりとともに収穫され、主に寒冷地や寒さに強い品種として育てられています。

2. 酒米の収穫時期が遅い理由

酒米は、酒造りに使われる特別な品種のお米です。一般的な食用米と比べて粒が大きく、デンプン質が多いことが特徴です。酒米の収穫時期が遅い理由はいくつかありますが、主に以下の要因が挙げられます。

● 酒造りに適した成分を確保するため

酒米は、酒造りに必要な成分を豊富に含むように育てられます。特に重要なのはデンプンの含有量です。晩稲の酒米は、長い生育期間を経てデンプンをじっくりと蓄えることができるため、アルコール発酵に適したお米が得られます。これにより、酒造りにおいて発酵がスムーズに進み、風味豊かなお酒ができあがります。

● 気温と湿度の関係

酒米の収穫が遅いもう一つの理由は、収穫時期の気候にあります。お米は成長に多くの水を必要としますが、収穫前の数週間は天候が乾燥しているほうが良いとされています。晩稲の収穫時期である10月から11月頃は、気温が下がり、湿度も低くなるため、酒米の品質が安定しやすいです。この時期に収穫することで、お米が乾燥しやすく、収穫後の保管にも適しています。

3. 地域と栽培方法による違い

収穫時期の違いは、品種や用途だけでなく、栽培地域や方法にも影響を受けます。例えば、北海道のような寒冷地では、生育期間が短い早稲品種を中心に栽培されます。これは、冬の訪れが早いため、できるだけ早く収穫を終える必要があるからです。

一方で、酒米の産地として有名な兵庫県のような地域では、晩稲の品種が育てられます。こうした地域では、温暖な気候が続くため、ゆっくりとお米を成熟させ、酒造りに最適な成分を蓄えることができるのです。

4. 酒造りに最適な時期を考慮

酒造りは、冬の寒い時期に行われることが多いです。これは、低温で仕込みを行うことで、雑菌の繁殖を防ぎ、じっくりと発酵させるためです。晩稲の酒米は、10月から11月に収穫され、その後精米や洗米、蒸しなどの工程を経て、冬の仕込みに備えます。このタイミングが、酒造りに最も適しているのです。

5. まとめ

お米の収穫時期に早いものと遅いものがある理由は、品種や用途、気候、地域の条件によって異なります。特に酒米は、より良い酒造りのために遅い時期に収穫されることが多いです。これにより、酒米はアルコール発酵に適した成分を豊富に含み、風味豊かなお酒を作ることができます。お米の収穫時期の違いを知ることで、日本の農業の奥深さや、伝統的な酒造りの技術に対する理解が深まるのではないでしょうか。


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Yusuke
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