血液透析の方法
慢性腎臓病(CKD)が進行し、腎機能が低下すると、血液透析が必要になることがあります。血液透析は、体外に取り出した血液を浄化し、再び体内に戻す治療法です。この記事では、血液透析の具体的な方法について説明します。
1. 血液透析の準備
血液透析を始めるには、まず血管にアクセスする必要があります。これを「バスキュラアクセス」と呼びます。一般的には、手首の血管で「内シャント」(シャント=短絡という意味)の手術を行います。この手術では、動脈と静脈をつなぎ、血流を増やすことで、透析中に必要な十分な血液を供給できるようにします。
2. シャントの作成
内シャントの手術は通常、手首の血管で行われます。動脈と静脈をつなぐことで、動脈から静脈に血液が流れ、静脈が拡張します。これにより、皮膚の表面にある静脈が太くなり、針を刺しやすくなります。シャントがうまく機能するようになるまでに、数週間から数ヶ月かかることがあります。
3. 透析の手順
透析を行う日は、透析センターに行き、以下の手順で治療が行われます。
穿刺:シャントが作成された部分に、針を2本刺します。一方の針は血液を体外に取り出すため(脱血針)、もう一方の針は浄化された血液を体内に戻すため(返血針)に使用されます。
血液回路への接続:針に接続されたチューブ(血液回路)を通じて、血液が透析機(ダイアライザー)に送られます。
ダイアライザーでの浄化:ダイアライザーは半透膜がストロー状に束ねられた構造を持っています。内側を血液が、外側を透析液が流れます。血液中の老廃物や余分な水分は半透膜を通して透析液に移動し、逆に透析液からは体に必要な物質が血液に補充されます。
血液の返却:浄化された血液は、返血針を通して体内に戻されます。これを毎分200ml程度の血流量で行うため、十分な血流を確保することが重要です。
4. ダイアライザーの働き
ダイアライザーは、血液透析の中枢となる装置です。半透膜を介して、血液中の老廃物や電解質(カリウム、リンなど)が透析液側に移動し、カルシウムや重炭酸イオンなどが血液側に補充されます。この過程により、血液が浄化されます。
5. 透析中の管理
透析中は、血圧や心拍数などのバイタルサインをモニタリングし、安全に治療が進むように管理されます。透析中に起こり得る合併症(低血圧、痙攣など)にも迅速に対応できるよう、医療スタッフが常に監視しています。
透析の効果と生活への影響
血液透析を受けることで、腎臓が正常に機能しているときと同様に、体内の老廃物や余分な水分を効率的に除去できます。しかし、透析治療には週に3回、1回につき3〜5時間かかるため、生活リズムに影響を及ぼすこともあります。また、食事制限や適切な体重管理が求められます。
終わりに
血液透析の方法を理解することで、CKD予備軍の皆さんも、いざという時に安心して治療を受けられるようになります。定期的な検査と医師との相談を通じて、自分の体をしっかりと管理し、最適な治療を受けることが大切です。透析が必要になった場合でも、適切な準備と知識を持つことで、生活の質を維持しながら治療を進めることができます。
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