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ブリアンツァの挑戦

「ブリアンツァ」奥野シェフ特製の低糖質パンとその衣、自家製ソースと自家製ケチャップ、そして「サカエヤ」近江牛ヒレ肉にの、1日だけの出会い。さらにこのカツサンド全体で、ご飯茶碗4分の1程度の糖質しかないという。それこそが真の贅沢。これからの贅沢だろう。(タベアルキスト/マッキー牧元)

緊急事態宣言が解除されたはいいが、さてどうしたものか。いままで通りでいいのか。もちろんよくない。さらに徹底した衛生管理が問われるでしょうね。そしてなにより、コロナと付き合って生活していくことにシフトしなければいけない。

ところで、この2か月間、自宅でのんびり、なんてシェフはいなかったと思います。テイクアウトやデリバリーなど、生きていくために、店やスタッフ、家族を守るために、みんな必死ですからね。お金を借りることがこんなにも大変なのかと精神的に疲れたシェフも多かったことでしょう。僕なんか腱鞘炎がひどくて文字を書くのでさえ苦痛ですからね。住所や氏名を何枚もの紙に書く辛さときたら。しかも自分で書いた字が読めないときがあるから情けない。

ブリアンツァは、六本木ヒルズ店、六本木一丁目店、日本橋高島屋店は休業し、麻布十番店のみで時短営業を続けてきました。アフターコロナのキーワードを「健康」に設定し、まずとりかかったのが低糖質の食パンです。これがなかなかの優れもので、イタリア産の高栄養価小麦と国産の小麦を使用し、通常の食パンと比べて、糖質率47%減、食物繊維3.6倍なんです。無添加、低糖質なのに、驚くほどふわっとしているんです。体重管理、健康管理をしている人でも遠慮なく食べられます。となると朝はパン派の僕としては毎日でも食べたい。そして、できることならカツサンドをお願いしたい。ということで、実現したのがトップの写真です。

ブリアンツァでは、僕が手当した経産和牛や近江牛の小腸を使ったモルツェッロが人気ですが、ずーーーーーーっと気になっていることがありまして、低糖質の食パンや僕が手当した肉と一緒に「A5和牛のグリル」というメニューがあります。もうね、違和感しかないです。僕が扱っている牛はA5とは真逆だし、ましてや低糖質の食パンとは合わないでしょう。A5がどうこうじゃなくって、これからおっくん(奥野シェフの愛称)がやることと方向性が違うし、A5の肉は他の店に任せとこうよ。「健康」をワードにするなら、もっとストライクゾーンを狭くして、産地も生産者も手当てした人も、すべて名乗れて語れる食材を扱ってメニュー作ろうよ。

というようなことを言おうかな、でもなぁ、余計なおせっかいだしな、と思っていたのですが、先日、カツサンド食べながら奥野シェフと話していた時に、どちらともなくそんな話になって、A5和牛はオープン当初から使っていて思い入れもないとのこと。おそらく六本木ヒルズなのでA5だったのでしょう。それもわからなくもないですが、当時と今では奥野シェフが目指しているところも違ってきているし、そのあたりの流れはしっかりと考えていたらしいんですね。それでですよ。じゃー今後どうしていこうかという話になって・・・

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この肉スゴくないですか?!こんな肉見たことないでしょう。一般に流通してませんからね。でもね、このままだと硬くて食べれないんです。ゆっくり時間をかけて繊維を緩めていかないとね。手をかけてやれば30~40日後には驚くほどおいしくなってくれるのです。この肉は、岡山の吉田牧場さんで育った7歳の『ライチ』という名のブラウンスイス牛です。妊娠が困難になったため肉になってもらったのですが、なぜこの肉を使うのですか、と質問されて答えられなければ意味がないと思うのです。おいしいから、仕入れが安いから、A5だと分かりやすいから、ブームだから、それぞれに使う理由はあると思うのですが、生産者がいて、手当てする人がいて、料理する人がいる。そのすべてが一本の線でつながる食材こそ、僕は意味があると思っています。

いままでのブリアンツァはストライクゾーンの広い食材を使っていました。浅く広くです。僕が扱っている肉はストライクゾーンがかなり狭いです。だから、一般受けしない肉もあります。牛を育てるのと同じように、僕の考え方は肉も育てておいしくするものだと思っています。ブラウンスイス牛『ライチ』あと20~30日もすれば驚くほどおいしくなりますよ。ぜひ六本木ヒルズのブリアンツァでリクエストしてください。

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この肉も真っ赤でしょう。こちらはジビーフです。ブラウンスイス牛に比べて繊維が緩み始めているのが写真からも分かるかと思います。60%の仕上げでブリアンツァへ送りました。あとの40%はブリアンツァの冷蔵庫でじっくり仕上げてもらいます。ジビーフは明日からリクエストできるみたいです。


6月1日から六本木ヒルズのブリアンツァ、いよいよ営業再開です。メニューも一新して、おいしさに健康をプラスして大自然で育つ、ジビーフやブラウンスイス牛、阿蘇のあか牛、愛農ポーク、ほうき鶏、和牛経産、近江牛の内臓など、新しくなったブリアンツァへどうぞお出かけください。


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新保吉伸/Niiho Yoshinobu
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