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「手当」について

僕は自分が扱っている肉以外は食べない。こんなことを言うと、なんて生意気な奴だ、とか、自惚れやがって、などと思われるかも知れない。でもね、外食する機会は多いのですが、やっぱり僕が手当した肉がおいしいんですよね。自信があるとかじゃなくて、自分が手当した肉の味に慣れているんだと思うのです。もちろん味覚の洗脳ではなく実際おいしいんですけどね。

真逆の話をしますね。世の中に流通している肉で不味い肉はほとんどないと思っています。どこで食べてもそこそこおいしい。ただ、僕の「ものさし」で測った場合、食肉を生業にしている以上、プライベートでの食事でも専門的な目で見てしまう。これは魚屋でも八百屋でも同じじゃないかな。そういう意味で、おいしいけどおいしくない、みなたいなことなんです。

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岩手県、中洞牧場さんから届いた仔牛ですが、塩して焼いただけですが、ヨーロッパの仔牛より味があっておいしい。

熟成だなんだと言ってますが、写真の仔牛のように肉がよければ余計なことをする必要はないんです。わかりやすく言えばA5の肉は素人が焼いてもおいしい。ただし、格付け除外の牛や赤身の占有率が高い肉はおいしくするために手当てが必要なんです。他にも、内臓は傷みやすいので、屠畜して半日以内に下処理をしないといけない。水洗いして汚れをとって一晩冷蔵庫で保管して、翌朝、ふたたび水洗いして処理をする。とにかくスピード勝負です。急げ急げで一分一秒でも早く処理して保存する。そうしないと商品にしたときに臭くてたまらない。内臓の臭みなんて処理のスピードである程度解消できるのですが、それをちんたらやってるから臭みが残るんです。

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秋田県産の黒毛経産和牛
40日間、香りをつけないやり方で熟成したのですが、食感もよく味も乗っていておいしかった。屠畜して10日目に試食した時は味もなく硬い肉だったが、手をかければかけるほどおいしくなってくれるから僕がやる熟成肉は経産牛が多い。熟成肉はシェフとの連携も重要なのです。

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近江牛のタンですが、屠畜して10日目です。タンの熟成はほとんどやらない。分厚い皮に覆われているので熟成させても牛肉ほど歩留まりも悪くなく、おそらく使い勝手は良いとは思う。しかし、僕の考えは屠畜から3日目あたりが一番おいしい。

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最近はモノクロームで人物を撮ることが多いのですが、食べ物はおいしくみえないですね。

ありがとうございます!