期待とワクワクを込めて──「様似ポーク」プロジェクト始動!
「アポイ豚」が新たなブランド名「様似ポーク」として生まれ変わります!この取り組みには、豚肉を通じて様似町の知名度を高め、地域に貢献するという大きな目標が込められています。「アポイ豚」から「様似ポーク」への進化は、ただの名前変更ではなく、品質向上と地域活性化への本気の挑戦です。
愛農ナチュラルポークの販売を望む声が多いなか、現状をお伝えすると、年々飼育頭数が減少しており、ここ数年は生徒の給食や学校で加工品を作るのが精一杯なのです。ビジネスではなく、あくまでも授業(実習)の一環として飼っているので仕方ないのですが…
とは言え、多くの方から「あの味が忘れられない」との声をいただいています。なぜ愛農ナチュラルポークが人々を感動させるほど美味しいのか、明確な答えは分かりません。生徒の愛情が秘訣なのか、ビジネスを目的としていないからなのか。それとも僕の“手当て”によるものなのか…。ただひとつ確かなのは、肉屋としての技術がその美味しさを引き出しているということです。そうじゃなければ僕たちの存在意義もなくなってしまいます。
楠本(以下、了平)がサカエヤに入社したのは高校卒業してすぐの4月だった。今年で11年目、早いものだ。了平が愛農高校で学んでなければ、僕が「愛農ナチュラルポーク」や「ジビーフ」を扱うことはなかっただろう。
了平の同級生で愛農高校養豚部の部長を務めていたのが西川雄喜くん。ジビーフの生産者、駒谷牧場、西川奈緒子さんの長男だ。雄喜くんは高校卒業後、帯広畜産大学へ進み、今はジビーフと同じ放牧地で豚を育てている。様似町の貴重な遺産「アポイ岳」にちなんで“アポイ豚“と命名し、理想を追い求めながら養豚家として奮闘中だ。
これまでサカエヤが「アポイ豚」を扱うことはなかった。何度か試食したのだが、スタッフ全員が「まだサカエヤのお客様に紹介できる味ではない」と魅力を感じなかった。もちろん、“手当て“である程度美味しくすることはできる。しかし、そんな簡単なことではないのは僕が一番理解している。
数年の時を経て、肉質は変わったのか?と期待して再び口にしたが、変化は見られなかった。予想通りだ。このままでは、どこかで限界が来てしまうのではないか、そんな不安がよぎった。豚肉専用の脱水庫も完成したので、扱うなら今かな、と思い始めていた矢先のこと…
了平が意を決したように、
「雄喜と二人三脚で、本気で挑戦させてほしい。サカエヤで扱わせてほしい」と言ってきた。
2人が愛農高校を卒業して10年、まだまだ経験が足りないが、そこは僕が補うとして、生産者と販売者、そして料理人がワンチームとなり「本当に美味しい豚肉」を目指すプロジェクトの始まりです。
豚も牛と同様に、餌や血統、飼い方である程度の美味しさは設計できます。しかし、何千回何万回と言ってますが、味を決めるのは「手当てと保存」なのです。
整理すると、餌や血統含めた飼い方で美味しくなる土台を作るのが生産者の役割。手当てと保存で美味しくするのが肉屋の役割。それを皿の上で表現するのが料理人の役割です。
了平と雄喜くん、愛農高校の同級生コンビが挑む「豚肉プロジェクト」。その豚肉が愛農ポークと肩を並べる、それ以上のレベルに達したとき、いよいよ一般販売を開始します。どうぞご期待ください!