ブラウンスイス牛の手当て
photo / genya yoshida : Yoshinobu Niiho
役目を終えたブラウンスイス牛「ハト」(←牛の名前)の肉は手強かった。
子を産み、乳を搾る。放牧地の坂を登り坂を降る。乳牛の経産牛を再肥育なしで、手をかけなければ、こんな肉質になるのか?
食用牛は自由気ままに育てているわけではない。和牛はサシが入るような設計をするからサシが入るのであって、自由気ままに育てたら偶然でもA5にはならない。
さて、この写真をアップで見ていただきたい。
さて、この肉質をアップで見ていただきたい。繊維が絡まっていくつものグループができあがっているのがわかります。このグループをひとつに統一させることができれば、そこそこ柔らかくて味わいある肉になるのですが、これが難しい。味わいを引き出しすぎても個性を殺すことになるし、僕の仕事が試される瞬間でもあります。
じつは、この状態で60%仕上がっています。1枚づつカットして販売するのであれば、もう少し手当てをしますが、シェフのところの冷蔵庫で、骨付きのままゆっくり使っていただければ、あとは冷蔵庫の住人がおいしくしてくれます。
間もなく、リブロース、サーロイン仕上がります。
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