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愛農ナチュラルポーク旨さの秘密とは

①愛農高校について

三重県の伊賀市に愛農高校(愛農学園農業高等学校)という私立の農業高校があります。有機農業を実践している高校でなのですが、中学生に戻れるなら僕は間違いなく愛農高校を選択しているでしょう。それほど魅力的な高校です。1年生のうちは作物、野菜、果樹、酪農、養鶏、養豚の6部門を平たく学び、2年生から部門を1つ選んで本格的な農業を学びます。

②いのちを学ぶ精神

いのちをはぐくみいのちをつなぐ。生きるとは食べること。
食べることはいのちをたいせつにつなぐこと。
いのちとはだれかのいのちで支えられるもの。

寮で暮らすたいせつなたいせつな仲間のいのち農場で働くみんなのいのち
農場から頂くたくさんのいのち、あなたのいのちもだれかのいのちを支えている。

ここにはたくさんのいのちが満ちている。ここにはたくさんのありがとう が満ちている。

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いまも愛農高校へ行くと、料理王国(2015年7月号)の記事が掲示板に貼られています。

この号は、「夏こそおいしい豚肉を」という特集で、愛農ナチュラルポーク(以下、愛農ポーク)だけで8ページも割いていただいたのです。このときに取材してくれたのが江六前さんでした。いま思えば無名の豚肉に8ページも割いていただいたなんて感謝してもしきれないです。

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③愛農ポークのおいしさを訪ねて

5年、いや6年前になるかな。メゼババの高山シェフ、ラッセの村山シェフ、タベアルキストのマッキー牧元さんたちと愛農高校を訪ねました。「旨さ(おいしさ)」を探りに・・

別日にもいろんな料理人をお連れしましたが、結局のところ旨さ(おいしさ)の理由なんてわからないんです。マッキー牧元さんが当時こんなことをおっしゃっていました。

そのときは何も感じることもなく、あぁ、高校生が一生懸命やってるな、という程度だったのですが、翌日、じわじわと、そう、じわじわと心に響いてきました。なんなんだろう、あの感じは。

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「食彩の王国」 2016年5月28日(土)放送
「愛農ポーク」を愛用しているイルジョットの高橋シェフが愛農高校を訪れ豚の飼育法を見学。そして感謝の意味を込めて生徒たちに愛農ポークを使ってアリスタを振舞った。

④人間と豚が一緒に育っている環境

愛農ポークがなぜ旨いのか。じつは、よくわからないんです。豚は普通の三元豚だし、餌だって特別なものじゃないですからね。もちろん、なんとなくこうかなというのはありますよ。でも、それは証明できるものでもないし、目に見えるものでもないですからね。だから聞かれても説明できないんです。科学じゃないですしね。

⑤豚は頭がいい動物

まず、豚がきれい好きというのは聞いたことがあると思うのですが、めちゃくちゃ頭いいんです。大便と小便を使い分けることができるぐらいですからね。なんでもチンパンジー、イルカ、カラスに次いで4番目に頭がいいそうです。もしかしたら人間がいちばん頭悪いのかも知れないですね。

豚は我々人間と違って、視覚、聴覚はあまり重要じゃないんです。豚の情報収集は、音とにおいなんです。愛農高校へ行くと、豚たちが鼻を持ち上げて空気のにおいを嗅いでいる姿を目にします。

このとき、目と耳は僕たち訪問者の方を向いてるんですが、同時に僕たちを観察しながらにおいを嗅ぎ取ってるんです。

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次に豚は牛と違って、うめき声、叫び声、うねり声、様々な声をだします。と畜場に連れて行くとトラックから降りてくれません。足を踏ん張って人間が2~3人がかりで押しても動かないんです。そして耳をつんざくような叫び声をあげます。これがたまらなくせつない。だから、と畜場へ連れて行きトラックから降ろすシーンだけは立ち合いたくないのです。

僕が考える旨い豚肉になるための飼育条件は、餌×水×空気×スペース×光=健康だと思っています。

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⑥愛農ポークはビジネスとはほど遠い実習の一環

2015年にさかのぼります。愛農ポークは商業ベースの豚ではなく、あくまでも農業高校生が実習の一環として育てています。

毎年テーマを設定して、1年間活動していくのですが、この年は「飼料米」がテーマでした。二種混合のトウモロコシを中心とした穀物飼料のうち、2014年2月から15%を飼料米に代えて飼育しました。ちなみの2014年のテーマは「放牧」でした。

このときの養豚部部長はジビーフの西川奈緒子さんの長男、喜雄君でした。彼は愛農高校を卒業後、帯広畜産大学へ進み、昨年からジビーフの里で豚を飼っています。愛農高校で培った精神が脈々と生き続けています。


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⑦愛農ポークの旨さの秘密とは

「愛農高校では、携帯電話やゲームの使用を禁止しています。同世代の高校生とはすこし違う環境にいるといえますね」と村上教頭

「テクノストレス」という言葉もあるように、現代人は情報に追いかけ回されている。豚に直接的に与えるストレスもそうだが、生産者の精神状態、つまり生産者が間接的にストレスを与えていることもあるのかもしれない。伊賀の山中では、車などの騒音なども一切聞こえない。

校内に入ってすぐに感じたことがる。それは、時間が静かにゆっくりと流れていること。この日は土曜日の夕方。授業を終えた生徒たちがバスケットボールで遊んだり、中庭で笑いながら談笑したりしている。

愛農ポークの旨さの秘密とは?
それは、現代に生きる私たちが忘れてしまった穏やかな日常風景の中で、人間と豚が一緒に育っていることなのかもしれない。
料理王国(2015年7月号)江六前一郎氏の取材記事から抜粋

昨年は約90頭の入荷がありましたが、今年は種付けがうまくいっていなくて大幅に出荷数が減ります。これもビジネスでやっていないので仕方がないといころです。今年の初入荷は、1月11日に2頭でした。水分が多く調整していたのですが、どうにかこうにか状態が良くなってきましたので、モモとバラのみになりますが、1月20日(月)13時に販売開始させていただきます。


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新保吉伸/Niiho Yoshinobu
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