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経産牛について①
最近、いろんなところで経産牛の話を振られることが多くなってきました。特にメディアのみなさん。ネタ切れなんでしょうかね。A5ばかりを持ち上げすぎたので、今度は真逆の牛にフォーカスしだしたとか。どちらにしても、良いのか悪いのかよくわかりませんが、先日、テレビ番組(来月放送らしいです)の打ち合わせを制作会社の方としたのですが、その方曰く、経産牛って、捨てられる運命にあった牛ですよね、とか、市場で買い叩かれて二足三文の牛なんですよね、とか、なんか残念な牛のような表現ばかりするわけです。
たしかに数年前までは、近江牛のセリでも安価で落札されることが多かったのは事実です。近江牛でもこのような状況でしたから、ホルスタインは捨てられていた運命だと言われても、表現はよくないですがまるっきり嘘ではないかも知れません。ロースやヒレはなんとか使えてもバラなんかは使えないですからね。ミンチにして加工品にするぐらいしか用途はないかも。へたすれば一頭買って売れる部位だけ少し高く値付けしてあとは破棄。全体のバランスで利益を出せばいいか、、、みたいな計算も成り立ちますからね。
改めて。
そもそも経産牛とは「お産を経た牛」のことです。一回でも子を産めば経産牛扱いですが、通常は5~6産、多くて10〜13産ぐらい産むかな。僕が手当てした経産牛で最長は18産でした。
種がつかなくなれば子は産めません。ペットのように死ぬまで一緒というわけにはいかないのです。餌代もかかかりますしね。肉になってもらうほかないのですが、肉牛としてはまともには売れないから「ババ牛」とか「廃用牛」と呼ばれて安価で取引されるのです。何産も子を産んだ後の痩せ細った体では評価が低くて当然です。だから商品として売れるように価値をつけるのです。それが再肥育ということになるのですが。
経産牛は再肥育しなければ真っ赤な肉です。しかし半年ぐらい再肥育した牛はサシが入ることもあります。え、これ経産牛!?と驚くことも少なくありません。和牛の血統と餌、そして生産者の技術がそうさせるのでしょうね。どちらにしても、変なブームにならないように願うばかりです。
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