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本当にやりたいことなのか?

約15年前、A4とかA5とか、チャンピオン牛とか、そういう牛が好きだった。いや、好きとは違うかな。肉は好きだけど、それほど深く考えていなかったかも知れない。街中でよく見かける普通の精肉店です。なにをもって普通と言うのか。滋賀で精肉店やっていれば、近江牛扱って、サシの多い肉に「この牛はええサシ入ってるなぁ」とか言いながら、まぁ、なんてことはないのが普通。他店と唯一違うところは、農協(JA)や食肉問屋から仕入れずに、自分でセリに行って仕入れていたことぐらい。一度だけ、農協に取引をお願いしたことがあるのですが、先に200万だったか300万だったか、預けてほしいと言われて、それが農協のルールだとしたら仕方がないと納得したのですが、同業の方に聞いたら、そんなの初めて聞いたと言われ、あぁ、、、信用されていないだけなのかと。実績のない店はそんなものでしょう。

さて、2001年に起こったBSEが起点となって、それまでなにも考えずにやってたことって、本当にやりたかったことなんだろうか。自分がお金だして、その肉を買うだろうか。仕事(お金を稼ぐため)と割り切ってやってるんじゃないだろうか。そんなことを考えさせられる転機になりました。

ある生産者がこんなことを言ってたのですが・・・

その生産者はA5発生率の高い近江牛を育てることで有名で、共進会(枝肉のコンテスト)でもチャンピオン牛を出す常連だ。その生産者は、普段は肉を食べないらしく、たまに食べるときは近所のスーパーで買うとのことだった。僕が、じゃー自分とこの牛は食べないのかと聞くと、あんなサシの多い肉、脂っこくて食べれへんやろ。と言い放った。さらに、近江牛はA3ぐらいが食べやすいとか平気で言うわけです。

いやぁー呆れました。っていうか、生産者ってそんなものなのかとガッカリしたものです。当時は、生産者が自分で出荷した牛の肉を食べるということは少なかったようです。というのも、農協が販売の窓口になっていたので、生産者がどこへ買われていったのか聞いても教えてくれないと聞いたことがあります。

でもね、もしかしたら僕も同じじゃないかなと思ったのです。いま扱ってる肉は本当に僕が命がけで取り組むのに値するものなのか。仕入れて売るだけの作業に、この先、人を感動させることはできるのだろうか。いろんなことを考えれば考えるほど、現状をすべてリセットしたくなったのです。結果的にBSEによってリセットせざるを得ない状況になってしまいましたが、いままた、コロナでひっくり返りそうな現状に、やりたいことができているのか?と自問自答する人も多いんじゃないかな。僕は、BSEのときのような迷いは何もなく、昨夜、滋賀でも緊急事態宣言がでましたが、この先どのような状況になっても僕はこのまま、ずっと変わらずです。

飲食店も苦境に立たされていますが、踏ん張って生き残ったとき、本当にやりたいことをリスタートさせる良いきっかけになるかも知れません。

ありがとうございます!