私の世界が無くなる前に:2024.5.30
コラム:時代に添い寝する
人を励ます憲法
朝ドラ『虎に翼』(5/30)を観て思った、「憲法は人を励ます」。
主人公・寅子は戦争で多くのものを失い虚脱状態の中にいた。そんな彼女が1946年の秋、ふと目にした新聞の「日本国憲法」(それはその年の11月3日には公布されるのだが、)の条文、特に13条(幸福追求権)と14条(法の下の平等)を読み、前向きに生きる姿勢を取り戻す。さらに彼女は「家族会議」を招集し、母や義姉の幸福への思いを聞き、自らは再び法曹の道を歩むことを宣言する。また「男として一家の大黒柱たらんこと」を自己の義務のように思っていた弟に対し、そんなことにとらわれずに自分の希望する道へと歩めと励ます。それぞれが自らを由とする(自由な)生き方をしようと説く。その根拠として挙げられたのが新しく作られた「日本国憲法」の13条と14条の条文であった。当時、戦後の混乱が冷めやらぬ中で、憲法をこのように深く受け止めていた人がどれだけいたかは定かではないが、至極真っ当な見方であり、いまにも通じる視点だと思う。かつて日本国憲法に女性の人権を明確に記載することを求めた憲法起草者の一人であるベアテ・シロタ・ゴードンさんが、講演で話していたことを思い出した。今後ドラマでは「民法改正」などが取り上げられるようだが、楽しみに観ていきたい。そして、人々の自由・人権を制限する改憲に反対し、誰もが自由・平等・平和に生きられる社会を目指す「憲法を生かす道を歩む一員」であり続けたいと思う。