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「コロンバス」

2022年11月某日

「コロンバス」
監督:コゴナダ
2017 アメリカ🇺🇸

アフター・ヤンがとても良かったという感想を
幾つか拝見するのだけど、
(好き嫌いも別れそうという事なのですが)
遠いし無理かな〜、行きたいな〜とか考えつつ、
U-NEXTでリストに入れていたこちらを観ました。

建築と、映画。
ただ美しいだけではきっとつまらない、
映像に、どんな風に物語が乗っかるのかと思ったら、
これは好きでした。
唸りました。

ネタバレになるかもですのでご注意下さい。

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映画の最初って、
何か重要なネタフリがあるかもと思って、
集中力〜!っと気合い入れてる時間、
ですが、
この映画はスラスラと、普通の会話が気持ちよく脳に入って来て、
リラックスしつつ、そこそこに会話に参加してる様な気持ちで見始めました。

最初の白人女性が教授を呼んだ声が「◯◯ニム」、
と韓国語の敬称に聞こえた自分にエッヘン!
となったのは余談w

その息子のジン、
英語の話し方や、なんとなくだけど韓国語も英語訛り風?
「韓国系アメリカ人」な雰囲気に萌え。(←ナニソレw)

好きです。英語ネイティブのアジア人。
なんかかっこいい。
私の周りにいるもっさりした英語喋れない男達と違う感じが萌え😋
(私も喋れないもっさりした女w)
絶対王者になる前のパトリックチャンとか大好きでした(余談が続くw)

「アジア人は英語が喋れないって思ってるのか?」
というニヒルな場面、痺れた。
真面目な話、アジア人へのヘイトクライムもあるし、
日常的に気分悪い事も多いだろう。
コリアンインニューヨーク…じゃないコロンバスか。
そういう影をそこはかとなく背負った雰囲気が、
彼がここにいる状況と相まって、
物語を引き締める存在。
コゴナダ監督も韓国系の方なんですね。

ラストサムライとか、チベットなんとかみたいに、
アジアに入って来て変化を起こす白人ストーリー、
と逆になってる作品、アジア人として嬉しい映画。まず。

あとどこのサイトにも書いてある小津安二郎リスペクトということ、
私は2作しか小津映画観ていなくて偉そうに言えないけど、

はたから見たら素晴らしい要素のある土地で、
ただ自分のホームとして生きているその土地の人物を描き、

その素朴な姿を、そこにある建築とランドスケープの中で最高の映像でとらえる。

何か壮大なテーマというより、
たった一人(や数人)の普通の生活者の小さな人生のひとコマを丁寧に描く。

その小さな人生こそが一番ドラマチックで奥深いというところ、
それに小津を感じました。

観光として建築を観に来る者と、
ガイドする土地の者、

観光で通りすがりに眺めて、
デザイナーの名前やうんちくを聞いてという、
それが「建築」なのだったら、
あまりにも無駄に巨大すぎる物体。

それに真っ直ぐな疑問を投げるジン。

建築は営みと共にあってこそ価値があるもの。
どんなに美しくとも、
土地の環境や生活を壊し、
偏った人だけが爆儲けしてやがて負の遺産になるのだとすると、
その大きさや硬さはあまりに暴力的だ。

建築は後戻り出来ない。

だから私は建築への尊敬と同時に
建築を憎む事もあり、
美しい建築を観るたびに、
ジレンマを感じます。
(ジレンマを感じない素晴らしい建築も勿論あります)

そんなようなことも、
それを愛した父親を持つジンの苦しそうな姿と共に
コゴナダ監督は表していたのではないか、
と勝手な妄想を暴走させました。

ヤングケアラー、
母娘の共依存、
それを剥がしてくれる、まるで足長おじさん。
子供は親を捨てていい。
親は自分の人生を這ってでも生きて。

ジンもファイティンだよ。

じんわりと素晴らしい映画でした。

#コロンバス#Columbus
#コゴナダ#Kogonada
#ジョンチョー#ヘイリールー
#映画#Movie#映画記録#映画鑑賞
#建築#architect

私が、自分の思い出と共に好きな建築は、
#丹下健三 の国立代々木体育館。

渋谷の公園通りの坂を登り切る頃に見えて来ます。
そろそろ信号、って頃に見上げると、
第一体育館と第二体育館の塔が、
空中で滑るような美しい線で結ばれていることに気付きます。

その空間が美しい。

立ち止まってそれに気付けば、
きっと向こうの空から丹下健三がニンマリしてる筈です。

もっとも、それを見た瞬間の自分の思い出と共にあるものなので、
忘れて下さい😵

※丹下健三で嫌いな建物もあります。
(書かんでいいのにw)

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