PLAN75
2022年6月某日鑑賞
「PLAN75」
監督:早川千絵
私自身が団塊ジュニアで、物凄く人数が多いので、
きっと今以上に介護の人材も足りないし、
国のお金も足りないだろうし。
その頃には自死が合法化されてて、
これ飲んでいいですよ〜っていう薬とか配られるんじゃん?
とブラックジョーク(半分本気)で笑った事がある。
その話だ。観なきゃ。
どこに帰結するのかが観たい、
これはきっと私の将来の姿だから。と思い観に行った。
しかし初っ端から、
想像を超えるリアルな経緯でそうなったという世の中で…
実在の凄惨な事件の犯人が主張した文脈や、
実在の政府の文脈(命と経済の天秤など)を想起させ、
予想をたてた以上に、
これはフィクションとは言えないなと…
そして、死にゆくものや死者の尊厳についても思うものがあった。
身内や近しいものの死に直面して気付く、最後の尊厳。
親を見送った時に気付いた。
人は生きていても死んでいても尊厳がある筈。
だから災害があれば最後の1人まで命懸けで捜索する。
コロナでバタバタと人が死に、
袋に入れられたまま去って行ったことや、
戦地で遺体が放置されている事を
現実に経験してしまっている今の世界は、
それについてもっと気付かないといけないと思った。
それが、磯村勇斗の役の、
ギリで芽生えた衝動を見て思ったこと…
そして、知ってしまった彼と
国家権力…あの後を想像して、
どう転んでも…と戦慄する…涙
余談だけど、
やっぱり映画館で観る映画はいい。
公開日だけど、ここいらみたいな田舎のシネコンはいつも通り空いてるだろうと思ったら、
結構ワラワラと混んでいて(ここにしては)
それが殆ど高齢者だった。
(サービスデーだったからも大きいと思う)
みんな役所広司の映画観るのかと思ったら、
こっち観るんだ…大丈夫かな…🥲
と心配しつつ。。
近所での井戸端会議のついでみたいに
自分の親族の愚痴を興奮して喋りまくるおばちゃんの声に予告をかき消されながらの待機…w
きっと75前後の団塊世代が多いだろうと思われる、
白髪の頭が並ぶのを後ろから眺めながらの鑑賞は、
なんとも言えない体験でした。
件のお喋りおばさんに、
開演直前、知らないお爺さんが「静かにしろよ」と言った。
「よく言った!」と皆んなが思ったのも束の間、
その爺さん「クソババア」と続けてしまった笑
(いやそれは余計なんよ…)(クソ田舎ぁ…)
と苦笑しながら映画が始まったのでした…
高齢化社会の混沌に
これから私も身体ごと突っ込んでいくんだな…
高齢者の皆さんもれなく、
倍賞千恵子のうら若き可愛かった姿を
思い出さない人はいなかったのでは。
そして目の前でこんなに老いている(自分と共に)
人生って…
鑑賞後は皆さんお静かでした…
私は、今地震や火事があったら、あなたを担いで逃げますよ、
と無駄な妄想をしてみたりして、
普段馴染もうとしていない、地域社会の一員にちょっとなれたような気がした時間でした…🤏
あ、さりげなく出ていた串田和美さん、
いいですねぇ。
素晴らしい監督ですね、これからも楽しみです。
あと景色の美しさについて。
鬱や病気の時に、世界だけはいつも、最高に美しかったです。
自分が美しくなく、最悪な時こそ世界は悲しくも美しい。
いつか自分の死に直面した時、太陽の光や影の美しさを眺めながら目を閉じたい。
だから事故や災害で死ぬのは嫌だな。
じゃあ選択して?…🥺🤔😮💨
死に目に会えなかった母の最期も、
きっと美しい光を見ていたのであって欲しい、
そう思う映像でした。
結局、選挙は行きましょうね、とにかく。
というところに帰結しました。
じゃないと、本当にこうなりますね。
当たり前に、ひとをひととして尊重できるような。
自分や家族の命の尊さと同じ様に、
他者の命も尊いと思っている人が、
政治をして欲しい、それだけなのに…