NOTTURNO「国境の夜想曲」
2022.6.某日鑑賞
「国境の夜想曲」
監督:ジャンフランコロージ
不謹慎を承知で書いてしまうと、
もう本当に映像の美しさが一番印象に残って…
それはこの世界が美しいという姿。
地球の美しさと、
人が作った建造物の美しさにしても、
それは地球に人類という生き物が出来て文明を発達させた奇蹟を表す美しさで。
でもそんな稀有な星の上で、
賢い筈の人類が、
とてつもなく長い年月、戦いを終わらせられず、
市政の人々は傷付いて行くばかり。
かつて大帝国として栄えた地域と人々が
アイデンティティを根こそぎ削り取られ続けていること…
いつからずっと苦難が続いていて、
夜明けはどこにあるのかと…。
チラシにある様に、
朝は必ず来るけど、
地球には朝が来るけど。
苦難の中ではきっと、
美しい朝を眺めることは、
一層悲しさを募らせるのじゃないだろうか。
本当なら家族と一緒に笑顔で朝日を観たいと泣くんじゃないだろうか。
でもこの映画は、言葉も少ないし説明はなく、
この地域に生きる人々の
強さとか頼もしさとか、思慮深さとか、
本当にリスペクトが詰まっていて、
観てよかったとしみじみ思います。
しかし映像の、完璧な構図、どうやって?
という事が残った。
ドキュメンタリーはノンフィクションではない、
と仰っている方がいたけど、
確かにそうかも。
完全なるノンフィクションかどうかよりも、
現実を映画で広く伝えるために、
この完成度が役に立っているのだと勝手に思った。
どこかがつくられたものでも構わない。
ここに彼らが生きているっていう事がきっと大事なんだなと、
感じました。