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英国王のスピーチ(The King's Speech)【ぐすたふ】のシネマ徒然草子.Chapter3

前回の投稿から間が空いてしまいました。
今回は、過去に見た映画の中で最近見返した1本。
新しい映画をどんどん見ていきたいという一方で、時々今まで見た作品を見返してみたくなっちゃったりするんですよね。

さてさて今回から各章のタイトルも少し変えてみたりなんかしてますが、いつもと同じく徒然していきます。

 ※記事の中にはネタバレも含まれますので、これから映画を見ようと思っている方は作品概要以降、ご自身の判断で読んでいただけますと幸いです

ー目次ー
 1.作品概要
 2.ぐすたふの「ここを見て!」
 3.ぐすたふのひとりごと


1.作品概要

 邦題:英国王のスピーチ(原題:The King's Speech)
 監督:トム・フーバー
 主演:コリン・ファース, ジェフリー・ラッシュ, ヘレナ・ボトム・カーター
 制作国、日本公開年:アメリカ、イギリス、オーストラリア、2011年

 ※画像は公式サイトより、お借りいたしました

 ストーリー概要:
 イギリスのヨーク公アルバート王子は、ひどい吃音症のため、人前で演説することをひどく苦手としていた。
 しかしながら皇族である彼にとって、演説やスピーチは避けられないものであり、その葛藤に苦しむ毎日であった。
 そんなある日、妻のエリザベスが探してきた言語聴覚士ライオネル・ローグと出会ったことをきっかけに、彼は自身の悩みであった吃音症そして自身のトラウマと向き合っていくこととなる。


2.ぐすたふの「ここを見て!」

 今回のおすすめシーンは、バーティ(ヨーク公アルバート王子の愛称です)がライオネルの息子のプラモデルで遊ぶシーン。

 ライオネルの息子が置いていったプラモデルを懐かしむように触るバーティ。
 そしてライオネルからプラモデルを組み立てても良いという許可をもらうと、
 断るでもなく、「息子は怒らないか?」と確認するのである。
 「怒らないよ」とライオネルが答えると、おもむろにプラモデルを組み立て始めるのであった。

 組み立てるんかい!組み立てちゃうんかい!そんなものには興味ないとかいって、断るんじゃないんかい!
 素直に作り始めちゃうなんて、可愛いな!

 と、それまで傲慢な印象が強かったバーティの可愛い一面が見られる、なんとも愛おしいシーンでした。


 しかしながら、このシーンではバーティの吃音症の原因とも思われる数多くの辛い過去が明らかになります。

 もしかすると、「プラモデルを組み立てるバーティ=子供時代のバーティ」を表現しているのかな、とも思います。
 プラモデルを通じて子供に戻ったバーティだからこそ、抱えてきた辛い過去を素直にライオネルに話すことができたのかもしれません。

大人になると、辛いことを素直に辛いということさえ、何かが邪魔をしますよね。
ましてや彼は皇族。
人の何倍も、「素直になること」を制限されてきたのです。

そんなバーティが素直になれた時間を映したシーン、とても心に残っています。
 


 3.ぐすたふのひとりごと

自分の最も苦手なことを人前でやらされるなんてこと、皆さんは経験があるでしょうか。
それって、ある種の拷問だと思います。

バーティの場合は、避けて通ることのできない「スピーチ」こそが、まさに自分の苦手とするものであるというなんとも厳しい現実。

しかし、彼はその事実に苦しむだけで終わるのではなく、周りに支えられ、何より自分自身の意思でその壁に向き合い、克服していこうと努力します。
時々、耐えかねて癇癪を起こすんですけどね。
彼の過去の話などを聞くと、そんな癇癪さえも許してあげよう、と思えてきます。


そんな彼が自身の壁と向き合えた一つの理由として、妻・エリザベスの存在が挙げられると思います。

映画の中ではそこまで深く描かれていませんが、彼女のあっけらかんとした態度の裏に隠されたバーティへの深い愛情と行動が、彼をこれまで幾度となく救ってきたのであろう、ということが随所で随所で伝わってきます。
妻として夫を常に支えるその姿、そして皇族としての貴賓は決して揺るがせないその毅然とした姿勢が、本当に美しく、魅力的だと思いました。
皇族ではないけれども、こんな優しく、強く、しなやかな女性になりたいものです。

自分の苦手なものに向き合う時、そばにいてくれる人の存在が力になることってありますよね。
この映画は、そんな目には見えない力も描いているように思います。

技術だけではなく、精神力だけではなく。
目には見えない力や支えがあってこそ、乗り越えられることがある。

人はその力を、「愛」と呼んでいるのでしょうか。


ちなみにこの映画の主人公・ヨーク公アルバート王子(=ジョージ6世)は、
現イギリス国王エリザベス女王のお父様でした。

歴史上の人物と考えると遠く感じてしまいますが、今の時代に生きている方のお父さんと考えると、なんか少し身近に感じます。
エリザベス女王とは、縁もゆかりもない、一庶民のぐすたふなのですが。