銭湯は最高の学びの場
最近は近所の子供を叱る大人が減っているように思う。僕が小学生の時なんかは良くそのへんのオヤジに怒られた。
自宅の目の前の道でキャッチボールしてたら「車通りが多くて危ないから学校のグラウンドでやりなさい!」とか、
友達と自転車で爆走して速さを競っていたら「ちゃんと一時停止は守りなさい!」などなど、
全く顔も知らないようなオヤジに良く怒られてた。
その当時はうるさいオヤジだなくらいに思っていたけれど、今思うと正しいことを言われていたなと思う。
今僕がその近所のオヤジ達の立場になったとしたならば、そのへんの子供達を本気で叱れるだろうか。
そんな事を考えさせられることが先日あった。
栃木県の那須にある古くからある大衆浴場に行った時の話だ。
その浴場は見るからに年期の入った木造の建物で、地域に根付いた浴場だろうとすぐにわかる。年齢層も50歳以上の高齢の方が大半で、入浴作法にもある程度の暗黙のルールがあるのだろうとすぐに思った。
僕は銭湯に週5で行くので、一般的な銭湯のルールはその辺の大人よりも知っているつもりだったが脱衣所から浴場に足を踏み入れた瞬間、その一歩目から固まってしまった。
シャワーなし、水風呂なし、サウナなし、あるのは桶とチョロチョロと流れてる水。そして、幅2メートルくらいの正方形の浴槽が6つ綺麗に並んでいる。
まるで江戸時代にタイムスリップしたような感覚になった。
その6つの浴槽はそれぞれ温度が分かれていて、手前から40、42、44、46、48、50と書かれている。奥にいくほど玄人のおっさん達がまるで修行僧のように地べたに座っている。
僕は実家のお風呂の設定温度が44℃なので、まずは、44℃の浴槽に入ってウォームアップしながら、「おし、絶対あの奥の浴槽に入って玄人たちに混ざろう!」と思った。
奥の48℃の浴槽の前まで歩き、その浴槽には先に2人が入っていた。覚悟を決めて入った。「あつい!!」そんな感情よりも、先に入っていた2人が僕が風呂に入ると同時に少し僕を睨みながら上がった。
僕はよく分からなかったが、5分間なんとか48℃の浴槽に入った後、周りのおっさん達の見よう見まねで地べたに座る。
すると隣のおっさんが「兄ちゃん、そりゃダメだ!そりゃ2人怒るわ!よ〜く見てみ。ほら、高温の浴槽には複数人で入る時は同時に入る。上がる時は同時に上がる。なんでかわかるか?高温だと波が立つと火傷するんじゃ。ほんならワシと一緒に入ってみるか?」
「兄ちゃん、どうじゃ?最初は熱いがじ〜〜としてると何も感じないじゃろ?そういうことじゃ。」
それでも、僕はかなりキツくなってきて浴槽の中で自分の心臓の音が聞こえる。もうダメだ!と思って立ち上がって浴槽からあがろうとするとオッサンも同時に上がってくれる。
「兄ちゃん、どうじゃ?気持ちいいじゃろ?ワシは5分入って15分地べたで休憩。これを5回繰り返すんじゃ。」
なんて親切なんだ。そしてめちゃくちゃ面倒見がいい。そしてめちゃくちゃ強者!
その後、3セットおっさんと一緒に風呂に入っては上がりを繰り返して、僕は身体を桶を使って水で流して脱衣所でくた〜としてると、さっきのおっさんも着替えながら「兄ちゃん。どうだ?気持ち良かったじゃろ?今度兄ちゃんが兄ちゃんよりも若い子がマナー知らんでここ来たら教えてやるんやで。ほなまたな〜。」
そう言っておっさんは帰っていった。カッコいい!
ふと思い出した。小学生の頃に銭湯で浴槽の中にタオルを入れて空気を入れて遊んだり、テルテル坊主みたいな形を作って遊んでいたら、おっさんにキツく怒られていたことを。
33歳になった自分に本気で怒ってもらったり、教えてもらうことはなかなか無い。
小学生の頃にはなかった感情だが、本当に有難いと感じた。
33歳のいわゆる中年になった僕は、自分は一端の大人になったと思っていたが、70、80のおっさんからしたらまだまだ子供なんだ。
そして、知らないそのへんの子供たちが危ない遊びやルールを守っていなかったら、愛を持ってしっかり叱りたいと思う。
改めて、そんなことを那須の山奥にある大衆浴場で考えさせられた。
銭湯は奥が深い。
そして人生もまた奥が深い。
もっとホットなアツアツな人生を送るために、攻めて攻めて、失敗しては地べたで休憩して、また攻めて、休憩して、一歩一歩確実に成長していこうと思う。
これからの人生で今日が一番若い。
やっちゃいましょう。
そういえば、飲食二店舗目の物件が決まりました!六月中旬から改装工事を開始します。
まだ業態は秘密ですが、楽しみにしておいてください。
ではまた。
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