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「みんな……今、行くよ……」のその日まで。

視聴期限が迫っているのを思い出して、ニコ生で舞台ヨルハを観ていた。もう1ヶ月近く経ったなんて信じられない。よくがんばって生きてる(自分でほめる)。

無観客で収録された舞台を観る機会なんて当然ながらなかったので、拍手のないカーテンコールがあんなに寂しいものだなんて初めて知った。
この事態が収まったあとも、社会は元に戻らないだろうといわれている。それでもいつかは、俳優さんたちにまた劇場でたくさんの拍手を浴びてほしい。

『舞台ヨルハVer1.3aa』は、2019年夏のVer1.3aをさらにブラッシュアップした公演だ。大筋はそのままだったが、細かい変更によって、よりわかりやすく、より胸を打たれる作品になっていた。

もともとは、アリスインプロジェクトというガールズ演劇の作品として上演されたヨルハ。ニーアオートマタの発売後は、男性キャストのみのスピンオフ『少年ヨルハVer1.0』という作品もつくられた(本編のほうの舞台ヨルハも、最新作は男性キャスト)。
昨年はその成功を受けてか、アリスインプロジェクトで長く続いている『アリスインデッドリー』シリーズの男性キャスト版公演(『アリスインデッドリー少年』)が初めて上演された。少年ヨルハのキャストが出演していたので興味をもち、初めてこのシリーズを観ることができたのだけれど、ものすごく泣いた。ちなみに『デッドリー少年』はDMMでレンタルでき、いつでも観られる。パニック映画がむちゃくちゃ苦手な私でも観られたので、ゾンビがダメな人でもきっと大丈夫。
一縷の望みも潰えそうな世界で、それぞれに思いを抱えたキャラクターたちが、誰かを守るために、あるいは自分の願うもののために命を落として退場していくという本筋は、デッドリーも変わらない。Ver1.3aaのパンフレットを開くまで知らなかったが、ヨルハの初演から音楽劇までのシナリオは、デッドリーと同じ脚本家の手によるそうだ。

ともすると自己犠牲の美しさを語るように見えてしまいがちだから、戦争なんかで人がバタバタ死ぬ話はあまり好きじゃない。でも、ヨルハもデッドリーもそうは感じなかった。それはたくさんの死が描かれながらも、死だけが特別に演出されてはいなかったからかもしれない。
死に際だけがかっこいいなんてことは、現実でも物語でもありえないのだ。どのキャラクターも「そのとき」が来るまで、それぞれその人らしく生きているからかっこいい。生き残った人たちは、去っていた人たちからなにかを受け取って、その後を生きていく。
どんな状況だろうと、生きていくとはそういうことなのだろう。そこには寂しさとともに、湧き上がるような希望がある。

ニコ生でVer1.3aaが公開されるとともに、Blu-ray化の発表もあった。ずっと楽しみにしていたので、発売が決まっただけですでにうれしい。
Ver1.3aaでの私のお気に入りは、終盤に晴れやかな笑顔を見せる司令官と、慟哭するワカバのシーン。手に入ったら、きっと何度も観てしまうだろうな。



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