「山ですき焼きはNG」父の教えを思い出した『山と食欲と私』
僕の父親は無類の山好きです。
山に囲まれて育ったこともあるのでしょうが、社会人になってからも週末を利用してひたすら山に登っていたとか。僕も「山と空の境目はいつ見ても美しい」と小さい頃から教え込まれましたから、よっぽどの山好きです。
かれこれ何十年も山に登っているので、僕を山に連れて行くときは色々な知識を授けてくれます。クマに遭遇したり、遭難しそうになったり、山の危険も散々経験したそうですから、とても役立つ情報ばかり……と言いたいところですが、一番記憶に残っているのはこんな教訓です。
「山ですき焼きはNG」
美味しいご飯は登山のたのしみ
以前、『山と食欲と私』というマンガを友人のにわさんに紹介してもらったことがあります。
僕はまだ読めていませんが、単独登山女子が山に登っては美味しそうな料理をするマンガだそうで。めちゃくちゃ簡単にまとめると、美味しいご飯って登山の楽しみのひとつだよねーって話です。
にわさんのマンガ紹介を聞いてくださる方はこちら↓
僕も小中学生の頃は「一夏一山」って謎の家族ルールがありまして、毎年どこかの山に登っていました。佐島ファミリーも、ガスバーナーと小さな鍋でお湯を沸かしてインスタントラーメンなんかを食べていた記憶があります。これがまた美味いんだ。
しかも火と鍋があるわけですから、凝った料理だって作ろうと思えば作れるのです。でも佐島の父が言うには、インスタント食品がベストらしい。普段は「化学薬品の塊」と言って食わせてくれないのに、山だとインスタント食品に甘くなりがちなのです。
「山ですき焼き」も絶対アリって思いますやん?
父も昔から登山時の食について淡白だったわけではありません。家にいると勝手にボルシチを作り始めるくらい、スイッチが入るとむしろ凝り性な人間です。昔は食材やら何やら持っていって、山の上で料理することもあったとか。
そんな父はとある年末、山中で年を越そうと考えました。山の上から初日の出を独り占めすべく、仲間も連れずに。
父の実家では大晦日の晩御飯はすき焼きと相場が決まっています。だから当時の父も、「山ですき焼き作ったろ」と意気込んで、鍋・そこそこ良い肉・野菜などを背負って登ったそうです。
すき焼き場として選んだのは山頂に行きやすい無人小屋。雪が少し降ってきたものの、山小屋には難なく辿り着けるとゴーストも囁いている。むしろ雪のおかげか人も少なく、父が理想とする「山とすき焼きと私」は完成に近づいていました。
父を襲った「空気、読めるよな?」
ところがどっこい、山小屋には別グループが。とはいえ3~4人の小さなグループで、こちらから話しかけなければ居ないも同然です。
気を取り直して、山小屋の調理スペースの端っこの方でこっそりすき焼きを調理し始める父。予想外だったのが、すき焼きの匂いがそのグループへと漂っていったことでした。
そのグループももちろん食事は持ってきてはいましたが、父ほど凝ったものではありません。すき焼きの匂いにつられ、グループの1人が父に話しかけます。
「美味しそうですね~~~~~~~~」
日本語は難しいもので、これは翻訳すると「空気、読めるよな?食わしてくれるよな?」と同義です。結局心優しい父は、肉の1/3ほどをそのグループに分けざるを得なくなりました。父、マジで可哀想。僕ならTwitterに晒されてでも肉を守ります。
この悲劇があったから……かは知りませんが、父は登山時にインスタント食品を重宝するようになりましたとさ。悲しいね。
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ってな具合で、マンガを軸にしょーもない話を綴ったり、ラジオで語ったりしています。
ラジオはSpotifyやApple Podcastなどなど色々なところで配信しています。ながら視聴オススメ!
なんか面白いマンガあったら教えてください。
それではまた!
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