vol.067【採用】話題の「出戻り採用」とは?
会社の採用基準にマッチした人材を確実に採用する方法として、一度退職した社員を再雇用する「出戻り採用」が注目されています。今回は、出戻り採用の現状を紹介していきます。
実際にある中小企業の中でも一度退職を決断された社員が会社の魅力に気づき戻ってこられた例もあります。
1. 出戻り採用とは?
まず初めに、出戻り採用の定義から見ていきます。
出戻り採用とは、一度退職して他社で経験を積んだり、独立したりした人材を、再び元の会社が雇用することを指します。英語で卒業生や同窓生を意味するアルムナイ(alumni)から、アルムナイ採用ともいわれます。
近年注目を集めている「出戻り採用」には、定年退職した社員の再雇用は含まれません。
キャリアアップのために転職した人材や、子育てや介護などライフステージの変化からやむなく退職を選択した人材が、元の会社の魅力に気づき戻って働くことを指します。
2. 出戻り採用が注目される背景
少子高齢化に伴って労働人口が減少するなか、ほとんどの業界が構造的な人材不足に悩まされています。デジタル化を背景にビジネス環境も大きく変化し、人材に求める能力やスキルの水準も高まりました。その結果、多くの会社が人材採用に課題を抱えています。
働き方に関する個人の価値観も多様化し、一つの会社で定年まで働き続ける人は今では少数派です。経験を活かして積極的に転職を検討するキャリア設計が一般的になりました。
会社に不満があるなどの退職理由ではなく、キャリアアップのために円満に転職したような人材には、退職後も元の会社のメンバーと交流を続けるケースが見られます。
人材の流動性が高まる社会では、出戻り採用は会社が効率的に優秀な人材を確保する方法となります。
3. 日本における出戻り採用の実態
厚生労働省の2014年の調査によると、出戻り採用を制度として設けている会社は全体の16.7%でした(定年退職後の再雇用を除く)。会社の規模別に見ると、従業員数1,001人以上の会社が36.4%と最も多く、大企業で再雇用制度の導入が進んでいることがわかります。
一方で、エンジャパン(株)が2018年に実施したアンケート調査「出戻り社員(再雇用)について」(有効回答数661名)によると、出戻り社員を「再雇用したことがある」と回答した会社は、全体の72%となっています。また、再雇用した会社の約8割が「周りの社員の反応が良い」と回答しています。
【 本日のまとめ 】
採用難が深刻化し、若年・中堅層の働き方が多様化するなかで、出戻り採用は会社にマッチした優秀な人材を確実に採用する有効な手段です。「辞めた人間を再雇用するなんて…」といった否定的な考えは払拭しましょう。中小企業の人材不足を克服する処方箋の一つとして、出戻り採用を検討してみることをお勧めします。