ポテンシャルを見つめ直し、圧倒的差別化のための道筋を作る/株式会社野田屋 野田さん
創業59年の老舗に新風を吹き込む若き3代目
2021年11月に野田屋に入社した野田さんは、創業者の孫という立場にあぐらをかくことなく、これまでの経歴で培ったノウハウを生かして次々に社内に新風を巻き起こしています。
改革者・野田さんに野田屋の現在と未来を語ってもらいました。
畑違いの経歴が可能性を生み出す秘訣
ー野田さんがこれまで歩んできた経歴を教えてください。
野田屋創業者の孫として生まれました。2013年にカセットこんろで知られている岩谷産業に入社しました。
東京にある首都圏支社というところに配属され、いわゆる産業ガスといわれる商品を扱っていました。
ー具体的にはどういう仕事だったのでしょうか。
取引先は主に半導体メーカーや自動車関連工場などのものづくりをする工場です。産業ガスというのは窒素や水素などのことで、一番イメージしやすいのは鉄の溶接をするときに横にあるボンベでしょうか。
こういう取引先に機械設備を提案しながら商品を販売する業務を行っていました。
ー機械設備の提案というのをわかりやすくご説明ください。
ロボット導入による省人化とか、設備更新によるランニングコストの削減など、合理化やコスト削減ですね。
あとは、外国企業との合併や買収といった事業にも関わりました。
国際的なM&Aにもチャレンジさせていただき、多くのことを吸収する大きな財産となりました。
企業の伸びしろに目を向ける
ー岩谷産業で活躍されたあとはどうされたのでしょうか
岩谷で得た経験や知識を生かして自分なりの活躍の場を広げたいと思い、株式会社プロレド・パートナーズに転職しました。いわゆるコンサルティング会社です。
そこのコンサルティング本部でマネージャーとしてメーカーやサービス業向けにエネルギーコストを削減するための提案や助言を行ってきました。
ーエネルギー関連のコンサルティングには岩谷産業で得たノウハウが役だったでしょうね
そのとおりですね。特にガスに関連したことは得意分野だったので、それらを生かしながらクライアント企業様に最も有効な刷新案を提案してきました。
自社を客観視できる目を持ち続けることの重要性
ーそして満を持してという感じで野田屋様に入社しました。
そんなに大げさなものではないのですが、企業コンサルタントの経験が野田屋の将来にきっと役立つだろうと信じて、入社しました。
ー野田屋様に入社するきっかけみたいなものがあったのでしょうか
祖父が作った会社ですので、幼いころから遊びに行くことは多かったですし、社内の雰囲気みたいなものにも親しんでいたと思います。
そんな中で、いつかは3代目になるのだろうな、と漠然と考えていましたので、特別なきっかけというのはありませんでしたが、「その時が来たな」という感じです。
ー野田屋様に入社して最初の印象はいかがでしたか
正直、これまで在籍してきた会社とは根本的に違っていたので衝撃を受けました。
あまりのギャップの大きさに本気で退職を考えたこともあったんですよ。(笑)
ーどんな点に衝撃を受けられたのでしょうか
数値管理や営業の戦略に関することなど、まだまだ伸び代があると感じました。
この会社の地力はすごいのかも知れない、と思ったのと同時に、ものすごい伸びしろを秘めているかもしれない、とも思いました。
ポテンシャルを掘り起こす
ー会社の潜在能力を引き出すために最初に手がけたことは何だったのでしょうか
まずは数値分析に取りかかりました。
お客様が店にいらっしゃって買ってくださる金額とルート配送・地方発送で得られる売り上げの比率すら明確ではなかったのですから、そこから手をつけていったわけです。店舗のレイアウトを変更し、配送時に効率よく商品をピッキングできるようにしました。
ー成果は上がりましたか
成果はすぐに上がりました。まずは作業が圧倒的に効率的になりました。また、営業に充分な時間を充てることができるようになり、売上が増加していきました。
ーでも改革は簡単ではなかったとお察ししますが…
改善方針などの資料を作っては社長の父親に提案していったのですが、そのたびにバチバチのバトルですよ(笑)。ただ、会社の未来、社員の生活が良くなることが明白なのにこのまま引けないと思い、戦いました。
会社は社長のワンマン経営といっていい状態でしたし、その考え方とか雰囲気が社内に浸透しきっていました。
もちろん社長には社長の考え方があって、これまでそれで実績を上げてきたんですから、簡単には新しい考え方を取り入れてはくれませんよね。
あとは、根気とエビデンスですよね。
ー改革によって結果が出始めると風向きも少しずつ変わったのではありませんか
たとえば、商品の配送は外部委託し、これまで1人1つだった京都エリアの営業区分を2エリア以上掛け持ちすることも認めてもらいました。これによって圧倒的に無駄が省け、営業活動の効率が上がったと思います。
京料理という文化を担って
ー今後の方向性を教えてください。
地方への営業方法も今よりももっと効率化できると考えています。少しずつですが着実に成果が出始めています。
また、今後は組織を含めた社内改革も必要になるでしょう。
なによりも人材の採用を見直していかなければならないと考えています。
ー野田さんが考える御社のストロングポイントを教えてください
野田屋は京料理を下支えしている存在だと自負しています。
やり方として、素材そのものを提供するという方式と、素材をニーズに合わせて加工し、製品化して提供するという2通りのやり方を続けてきました。
これが野田屋の強みですね。
素材の提供を通して料理を提供する側が抱えているニーズが見えてきます。必要に応じてこちらで効率よく、また味よく加工できるものを探っていく。
この相互作用で京料理という文化に対してさらに貢献できるものと考えています。
働くことが楽しい会社をつくる
ー逆に今後の課題はございますか
とにかく人材の確保が第一の課題ですね。
これまで野田屋を支えてきてくれた社員さんも50代、60代になってきました。
まだまだエネルギッシュに働いてくれていますし、かなり先まで大丈夫だとは思いますが、将来を見据えたときにはやはり若いパワーが必要だと考えます。社内の新陳代謝がスムーズに行えるような体制づくりをすることが活性化につながるのではないでしょうか。
ー野田屋で働くことに興味をもった人にひと言お願いします。
野田屋はがんばった分だけ結果につながる会社ですので、働くことが楽しいと思ってもらえるはずです。
今後は、昇級制度も見直して労働環境、労働条件も更に良くしていく予定です。
また、保育士の経験がある事務職員が在籍していて、この人を中心に子どもさんを預かる環境も整えていくことになっています。
女性の方も働きやすい会社になっていこうとしています。
京都の食文化に興味がある人はもちろん、料理や食べることに関心がある人には、一度、野田屋をのぞいてほしいですね。
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