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ジャズを聴き始めた頃 山下洋輔 坂田明

思い返してみると わたしは 2つのルートから ジャスに興味を持ち その後 のめり込んだ
1つは 小学生の頃から好きだった映画音楽
映画音楽は あらゆるジャンルの音楽のるつぼである
ひとりの作家であっても 1本の映画の中であっても 様々なジャンルの音楽をこなす
エルマー・バーンスタイン
『大脱走』『荒野の七人』そして『黄金の腕』ジャズ!
バーナード・ハーマン
『マーニー』『ハリーの災難』ヒッチコック映画の諸作 『シンドバッド7回目の航海』『華氏451度』SF 冒険映画の諸作
『タクシー・ドライバー』ジャズ!
ヘンリー・マンシーニ
『ティファニーで朝食を』ムーンリバーはジャズのスタンダード・ナンバー
『ピンク・パンサー』ジャズ!
『シャレード』ジャズ!!
TV番組だけど『ピーター・ガン』ジャズ!!!
とジャズに溢れているのだ
ついでに言うと 武満徹方向で 現代音楽方面にも 興味が向きそうになった(深入りはしなかったけど 今でも興味はある) 
とはいうものの これら映画音楽は ジャズとは言え ポップスである
アドリブで延々とソロを取ったり 演奏のたびに展開が違う というわけではない(ライブで そんなフォーマットで演奏されることがあっただろうけど)
やがてわたしは 映画の世界に マイルス・デイビスやMJQをはじめ 様々なジャズ・ミュージシャンが参入してきた時期があるのを知った

わたしが ジャズに興味を持ちはじめた 2つ目のルートは 筒井康隆である
筒井康隆のエッセイの中に 頻繁に登場する 山下洋輔なるミュージシャンに 当たり前のように興味を持った
最初に買ったのは
『アンブレラ・ダンス』
猫が傘をさして 空から降りてくるイラストのジャケットがかわいい
針を落としてみると(レコードなんでね)耳あたりの良いテーマが流れてくる
「意外と聴きやすいやん」
そう思った次の瞬間から カオスが始まる
カオスは延々と続くが その中から 明らかにテーマを欲求する兆しが現れる
しかし そこは まだまだまだまだ とかき消される 別の兆候も現れるが 時期尚早である というカオスによって それも有耶無耶になる
そうしたやり取りが繰り返され フラストレーションが最大になった時に テーマが立ち上がり 終わる
これは何か?
プロレスである
当時は アントニオ猪木とタイガー・ジェット・シンが 血で血を洗う抗争を繰り広げていた最中で わたしは 村松友視の『わたしプロレスの味方です』などの諸作に耽溺していた にわかプロレス者であった

その頃 山下洋輔トリオは 
中村誠一(Ts)
森山威男(Ds)
から 
坂田明  (As)
小山彰太 (Ds)
になっていた

坂田明は 工事現場によくいる リーダーではないが存在感のある 口数が少なく的確な叱責をするベテランの職人さん といった風情である
その後 わたしは坂田明にハマる
とりわけ坂田明トリオ
吉野弘志 (B)
藤井信雄 (Ds)
坂田明トリオの演奏は いきなりカオスに投げ込んで 最後にテーマが出てくる展開が多かったように思う
そして 曲がとても良いのだ
強靭だが 哀感に満ち シャイですらある
アルバート・アイラーの「ゴースト」に「赤とんぼ」をつなげる感性
ゴスペルブルース・スピリチュアルとアニミズム・スピリチュアルの幸運な結合

吉野弘志のライブを 新宿ピットインに観にいった時 ヘンリー・マンシーニから武満徹まで レパートリーになっていた
(ピアソラも演ってたかな? 記憶不確か)

坂田明の最近の活動を 見てみると
『ひまわり』ヘンリー・マンシーニ
『死んだ男の残したものは』武満徹
あっ!











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