
ジャズにハマった頃 ビル・フリーゼル
今ひとつ ギターという楽器の全容を把握できていないわたしだが ビル・フリーゼルのギターは テクニックとか以前に 音色として捉えることができる
ポワーンとした浮遊感だ
それが場を和ませるのか というと 必ずしもそうではなく 時にはかき乱しにかかったり 異世界に引きずりこんだりする
扉のジャケットの写真は うちの次男の小さい頃に激似 というだけで採用したのだが 話を元に戻すと 激しく自己主張をしているわけでもないんだが 彼が入るだけで 浮遊感が何割か増しになる
しれ~っと 裏に手を回して 悪いことをしそうである
そんなビルの(気安いぞ)参加している 一番好きなアルバムは
ジョン・ゾーンの
『ニュース・フォー・ルル』
ジョン・ゾーン(サックス)
ビル・フリーゼル(ギター)
ジョン・ルイス(トロンボーン)
で ハード・バップを演りまくる という 痛快無比 波乱万丈 抱腹絶倒 奇々怪々の作品である
短い演奏が いっぱい詰まっている
ソニー・クラーク ハンク・モブレー フレディー・レッドといった ブルーノート・レーベルの常連の曲が多く取り上げられているので ブルーノート・レコードのダイジェストとしても使える
この編成を見て まず感じるのは
『大丈夫か?』
であろう
ジャケットのパーソネルだけを見て どんな音が飛び出すのか を立ちどころに予測するのは 少なくともわたしのような素人には困難だ
しかし 聴いてみると この編成が必然であるとすら感じるのである
様々なテクニックを駆使しながら 変声期前のフィンガー・ファイブのアキラくんのようなシャウトを繰り出すジョン・ゾーン
トロンボーン特有の牧歌的なサウンドながら テニスに例えるならば キツイ角度に強打してくるジョン・ゾーンのサックスサウンドをロブで さらにいやらしいところに打ち返すような ジョン・ルイス
そして ポワーンとしたサウンドで まあまあまあと 仲介に入ってたしなめるとみせかけて ポワーンと煽るビル・フリーゼル
この時期のジョン・ゾーンは いかにスピードを上げるか にこだわっていたと思う
そのひとつの答えが ビル・フリーゼルの無時間性 ではないだろうか
知らんけど
一度だけ ビル・フリーゼルというか ニュース・フォー・ルルのメンバーを ナマで観た
もう30数年前になる
神戸のニューオリエンタル劇場の杮落しのコンサートである
ジョン・ゾーン ビル・フリーゼル ジョン・ルイスに加えて 三宅榛名 高橋悠治 そして山塚アイ
頭がクラっと来そうなメンバーである
にも関わらず わたしは ニュース・フォー・ルルが生で聴けると期待した
しかし 残念ながら 記憶に残っているのは 山塚アイの叫び声と なぜか間に挟まれて上映された短編アニメ 『マジカル・ヒステリー・ツアー』(クボキリコ原作)である
いつの間にか ジョン・ゾーンの話に重心が移動してしまったので 元に戻す
『ディープ・デッド・ブルー』
エルビス・コステロとのデュオ
わたしは エルビス・コステロがどんなミュージシャンなのか よく知らず 今までどんな活動をしてきたかも知らないのだが 名前は知っている
アルバムは ジャズ寄りの選曲だと思うのだが 一番好きなのは GIGI(ジジ)
MGMミュージカルナンバーだ
それが即座に言えるのは わたしが
『ザッツ・エンタテインメント』のサントラ盤LPを持っていて その中に『愛しのジジ』というタイトルで収録されていたからだ