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ジャズにハマってみたものの  アート・リンゼイ

ジャズにハマってみたものの 1番好きなミュージシャンは アート・リンゼイである
ジャズという文脈では ほとんど語られないであろう人物だろうが わたしは偶然 ジャズの文脈から 行き当たった
神戸三宮にあったジャズ専門店 JRレコーズ師匠で発掘したレコード
『ゴールデン・パロミノス』
ジャネットに馬が載っているやつ だったと思う
その中で 自慰でイキそうになる時のような声を出している 若い男(推定)がいて 何者や?と思ったのだ
わたしは 何者や?と思う人間に興味を持つ(誰でもそうか)ので パーソネルを見ると アート・リンゼイとある
それが 僕とアートの最初の出会いだった
最初 わたしは アート・リンゼイを ジョン・ゾーンのゾーンにいる人 という認識で捉えていた
しかし 色々な情報が入ってくる
彼の『DNA』というハードコアパンクバンドが ブライアン・イーノに見出されて 『NO NEW YORK』という伝説のコンピレーションアルバムに入っている
当時 フェイクジャズと話題になった ジョン・ルーリーの 『ラウンジ・リザース』というバンドで ギヒョンギヒョンギターをひいている
後任のマーク・リボーが 『おまえ アートのようにひけるか?』と言われたそうな
一般的には マークの方が 色々とテクニシャンなんだけどね
この話は マイク・スターンがマイルスに『おまえ ジミ・ヘンみたいにひけるか?』と言われたエピソードを思い出して 興味深い その時の マイク・スターンの答えは もちろん『弾けます』である
人はその人生の中で できなくとも できる と言わなければならない瞬間があるのだ
閑話休題
独特のノイズギターと切なく叫ぶ青汁ボーカル(個人の感想です)これが当時のわたしのアート認識だった
決定的だったのは 仕事で上京した際 偶然 御茶ノ水のディスク・ユニオンで見つけた 『グリース』という アート・リンゼイとピーター・シェラー(キーボード)の アンビシャス・ラバースというバンドのCD
ポップでアバンギャルドでノイジーでスイートでサウダージ なんのこっちゃあ
その日だけで3回聴き返した
数ヶ月後 大阪のクラブ・クアトロで ライブがある というので 恐る恐る行ってみた
まだ DNAの面影でとんがっている部分もあり ユーモアがあり アンコールも3回やってもらえ と それから1週間は 『俺 アート・リンゼイさえあればええわ』になったのだ
ライブは 主に CDアルバムのレパートリーで アルバムよりもノイジー アートのギヒョンギヒョンガッガッガッギターがたっぷり聴けて いつしかノイズで踊っている自分がいる
引っ込み思案で内向的なボクは これで殻が破れました(笑)
この時以来 新作が出る 聴く ライブに行く 1週間浸る
というローテーションが 最後に『ソルト』のライブに行くまで 計8回繰り返された
このローテーションが 続かなくなったのは CDというメディアが衰退したのと 自分を含む日本の経済が衰退したからだが 直近でいうと ブルーノートは敷居が高いわな
だが 自分の中では 金を払ってでも行きたいミュージシャンであることは間違いない

ところで 『アンビシャス・ラバース』のCDは ヴァージン(レーベル)からでた 
グリースというのは キリスト教で言う7つの大罪の1つで 以後 『ラスト』『エンビィ』と続き 7回楽しめるぞ と思っていたところで 音信不通になってしまった
スマホもPCも 普及していない時代である
『もしもしアート?今度いつ新作出すんだい?』と聞くわけにもいかんのだ
そして 次にアート・リンゼイと再会したのは 『グート』というレーベルから出たアルバムだった 確か題名は『曖昧な存在』だったかな?
グートは 坂本龍一のレーベルで 坂本龍一の談話を読むと YMOの活動で ニューヨークに行ったとき アート・リンゼイに会いに行った その時アートに『お前たちの音楽を聞くぐらいなら 地下鉄の音を聞いていた方がマシだ』と言われ 哀しい思いをした らしい
DNA時代の写真を見ると 言いそうな感じがする
それから何年かして もう一度オファーをしたら 気さくにOKしてくれたらしい
その時代のアートの顔は 確かにOKしてくれそうだ(笑)
そして グートから何枚かのアルバムを出している
のみならず アルバムの中の1曲 『ノメソタケ』という曲を ダウンタウンがカバーしている
わたしは この甘くたゆたうような曲が 大好きなのだが ダウンタウンがかなり一生懸命歌った結果のブチ壊し感が笑える
歌詞の出だしが
『ノメソタケ ミヤゲイシャ (意味は不明)』であり ダウンタウンのグートのユニット名が 『ゲイシャ・ガールズ』だったので ゲイシャつながりで坂本龍一が無理やり歌わせたらしい
贅沢な遊びである
ところで アンビシャス・ラバース時代のアルバムに対して 思っていた事があって その時代から ノイジーなファンクっぽい曲と 純粋ノイズに近い曲とあって その間に ややボサノバに近い あるいはボサノバの曲も入っていて もっとこの路線を前面に出した しかもノイジーな(どんなんや)のが聴きたい と思っていたが 後年 少しそれに近づいたような気がする
ド直球ではないけど
とはいえ 最近買った
『cuidado madame』
だが やはり一筋縄ではいかない
のどちんこに絡みつくようなサウンドで 良いのか悪いのか 惚れた弱みで 決して悪くはないが 評価し難い
でも嫌いではない
ま 好き かな


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