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ジャズを聴き始めた頃 コルトレーンについて

ジャズを聴き始めた頃 何から聴こうかと思い 大阪梅田の紀伊國屋に併設されていたレコード店であれこれと物色していた
学生の頃である
ジョン・コルトレーンのレコードが 矢鱈とあった
たくさんある という事は 相当な大御所なんだろう
名前もよく聞く
しかし 二千いくらかをはたいて買うには リスクが多すぎる
基本 レコードはジャケ買いすることが多かったのだが シンプルに 黒人のおっさんが サックスを吹いている 同じようなジャケットが多い
これでは サム・テイラーと 見分けがつかない
いきなり『雨の御堂筋』が朗々と流れてきても 気づかないかも知れない
コルトレーン こんな歌謡曲もやるんや みたいな(笑)
聞いてみたい気もするが アーチー・シェップの『人間の証明』もエルビン・ジョーンズの『花嫁人形』も ビリー・ハーパーの『ソーラン節』も いまいち 乗り切れんかったしなぁ
で 話が迷走してしまったが 
そんな事を思いながら 最初に手に入れたコルトレーンのレコードは ヨーロッパ(パリかどこか)のライブ盤だった
買ったのは 紀伊國屋ではなかったと思う
このレコードで わたしは エリック・ドルフィーと幸運な出会いをする

その後 ビレッジ・バンガードのライブを何枚か聞いた
『インプレッションズ』が印象的だった(笑)
間に挟まるバラード『ネイマ』がいい
コルトレーンは『バラード』が名盤として有名だが バラードばっかり並べられると 胃がもたれてしまう
『バラード』を最初に聞いた時は エルビン・ジョーンズのドラムさえ(だからか) 重く感じた

坂田明の コルトレーンの逸話が好きだ
コルトレーンが来日して東京公演を行った
1時間を越える熱演の後 それを聴きに行った坂田明は 握手してもらってサインをもらおうと楽屋に突撃する 警備員に止められながらも 楽屋で見た光景は 先程までのライブで 延々と吹きまくっていたコルトレーンが 頭にタオルを乗せて ここでもまだ サックスを吹きまくっていたという
いい話だ
坂田明の『二十人格』というレコードがある
その中に コルトレーンネタが いくつかある
場末のスナック 
常連の客らしい坂田明が カウンターの中のママに 少し はにかんだ口ぶりで 注文をする
「リクエストして いいかなぁ」
「コルトレーンの クルセママ」
 ここで吹いてしまうのだが さらに 曲の1小節をヤケクソな感じで歌い始め 後半は少し抑えて裏声も使って それが『ネイマ』の1節だとわかる
わたしは この1節を ジャズ史上最高の ネイマのカバーだと思う(笑)

コルトレーンの活動は いくつかの時期に分けられるし 時期によって スタイルも全く変わってしまっている
特に 後期は フリージャズに突入し ここは追いきれてない
マイルスのコンボにいた時も良いんだが インパルスに吹き込んだ 最強の五重奏と言われた時代が やはり好きだ

マッコイ・タイナー   (P)
エルビン・ジョーンズ  (Dr)
ジミー・ギャリソン   (B)
エリック・ドルフィー  (Fl As Bc)
そしてコルトレーン
最強!

阪急岡本駅の近くのレコード屋で 『至上の愛』を買った時に 店のおじさんが 『この辺になると コルトレーンは難解で ついていけない』と言った
今にしてみると どんどん先鋭化していった時期に 一種 宗教がかった スピリチュアルな1枚に 戸惑いを感じたのだろう
ア ラ〜ブシュプリ〜 ア ラ〜ブシュプリ〜と呪文のように繰り返す部分も含めて
しかし 後年 ブランフォード・マルサリスなんかも この曲を取り上げているが 決して難解なものではなく ただ スピリチュアルなものがやりたいと 当時のコルトレーンは思っただけだろう そんな気がする
問題作『アセンション』にしてみても
わしも オーネットのフリージャズみたいなんを やるもんね
と思ってやったと思う
『アセンション』は そこに集ったミュージシャン マリオン・ブラウンやジョン・チカイなど の演奏を追いかけて聴いてみると けっこう楽しめた
今 そんなことが出来る自信はないが 当時はわたしも若くて 体力もあり 好奇心が旺盛だった









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