ディズニー映画全部見る8・メイクマインミュージック
メイク・マイン・ミュージック/Make Mine Music(1946・75分)
8作目も短編集。前2作のラテン・アメリカの旅、三人の騎士と異なり作中で統一されたテーマはありません。それぞれ独立した作品のオムニバスなところはファンタジアに近いかも。
人1人銃殺されちゃう展開があるからなのか、ディズニープラスにも収録されていないレア作品です。パブリックドメイン化してるので大抵の動画サイトで視聴できるんですけどね。ディズニーチャンネルでも過去には放送されています。
谷間の争い/The Martins and the Coys (7分)
谷間を挟んで2軒の家がありました。マーチン家とコーイー家。ある日、マーチン家のじいさんがコーイー家の鶏小屋に盗みに入ってさあ大変。両腕いっぱいの卵を盗んだじいさんは怒ったコーイー家の男たちがぶっ放した銃で死んでしまいます。以来、マーチン家とコーイー家はいがみ合い、銃撃戦を繰り返して両家の人間はどんどん死んでしまうのでした。
両家それぞれのたった一人の生き残りも相手を根絶やすべく銃を手に谷間を索敵するのですが、片や金髪マッチョ、片や金髪美女。二人は一目で恋に落ちてしまうのでした。雲の上で争いの行方を見守るご先祖様達は意気消沈。憎き一族の人間と結婚までしてしまうなんて!
しかしラブラブ新婚生活も長くは続きません。二人は夫婦喧嘩が絶えず、またも谷間の争いは繰り返されるのでした。これにはご先祖様達もにっこり。そんなしょうもないストーリーがカントリー調の音楽で展開されます。
青いさざなみ/Blue bayou (4分)
特に物語があるわけではない。月に照らされた美しい入り江を白鷺が舞う。ディズニーランドではカリブの海賊の隣にあるデートスポットとして有名なレストランレストラン、ブルー・バイユーはこの短編から名前をとっています。
みんなでジャズを!/All the Cats join in (5分)
ジャズクラブでのパーティーの様子を一本の鉛筆が描いていく。若い男女が集まったらパーティーでしょ!演奏はベニー・グッドマン楽団となかなか豪華。ちなみに原題にある猫ちゃんは最初の一瞬しか出てこない。約5分。
あなたなしでは/Without you (4分)
雨降りの窓。傍の机にはラブレター。外の風景を眺めながら恋しい相手を想い、男は歌う。あなたなしではいられない。絵具タッチのアニメが非常に美しいです。
猛打者ケイシー/Casey at the bat (9分)
野球実況風ミュージカル。試合は9回裏、0対2で負けている。逆転するにはチームのエース、猛打者ケイシーに繋げるしかない。しかし相手のピッチャーが優秀でなかなか打たせてもらえません。何とか2人ヒットを出し、ようやくケイシーの出番。皆の期待を背に打席に立ちます。
相手チームもまさかケイシーの出番が来るとは思っていなかったのでガクブル。キャッチャーはケーシー相手に球を絞れずサインを送れません。緊張したピッチャーは何の変哲もないストレートを投げてしまいます。そんな球、ケイシーには止まっているも同然。こんなの俺が打つ球じゃないと見送りしてしまいます。岩鬼かよ。
当然、球場からブーイングの嵐のケイシーですが意に介しません。まぁ待てホームランを打ってやるからと。しかし今度もケイシーは見送り。のんきに新聞なんか読んでます。もう後がないケイシー。今度こそ本気を出してバットを構えますが……何とケイシー打てなかったのです!舐めプの挙句に逆転の機会を逃したケイシーはチームメイトにもファンにも愛想を尽かされてひとりぼっちになってしまったのでした。プーさんを見習え。
ふたつのシルエット/Two silhouettes (4分)
実写とバレエの融合アニメ。幻想的なアニメーションを背景に男女のバレエダンサーが踊ります。特にストーリーは無い。
ピーターとおおかみ/Peter and the Wolf (15分)
プロコフィエフ作曲のクラシック曲にアニメーションをつけた作品。ちびっこ狩人ピーターが仲間の動物をお供に狼退治。ピーターと各動物を異なる楽器で表現しているのが面白いです。
狩人に憧れるピーター少年はおもちゃの鉄砲をもって狼狩りに出かけました。お友達の小鳥も一緒、そこへアヒルと猫も合流します。雪深い森を進む1人と3匹。遂に狼に遭遇します。おもちゃの鉄砲で対抗できるわけもなく、ピーター一行は一目散に逃げだします。木の上に登って難を逃れるピーター達ですが、逃げ遅れたアヒルは狼に食べられてしまいました。悲しみに暮れるピーター、小鳥、猫を狼はまだ狙っています。
仲間を食われ、怒りに燃える小鳥が果敢にも狼に立ち向かいます。その隙にロープを狼の尻尾に結び付けることに成功したピーターと猫。追い詰められそうになるも見事、狼を封じる事に成功し、村まで凱旋します。
でも狼を捕らえたところで死んだ仲間が返ってくるわけじゃない。アヒルが食べられた現場で涙を流す小鳥の悲しげな鳴き声に釣られて、出てきたアヒルも涙を流す。アヒル生きてた。どうやら羽根を齧られるだけで済んだようです。友達が生きているとわかって大喜びの小鳥は早速、ピーターが狼を捕まえた事をアヒルに伝え、一緒にピーターの祝賀会に向かうのでした。めでたしめでたし。ちなみに原作だとアヒルは食われたままです。
君去りし後/After you've gone(3分)
悲しげなタイトルとは裏腹に楽しげな曲調。クラリネットやピアノ、ドラムなどの楽器達が踊ったりと大暴れ。特にストーリーは無いがとにかく愉快。
帽子のジョニーとアリスの恋/Johnnie Fedra and Alice Blue Bonnet(7分)
神アニメ。ディズニー短編アニメの中でもトップクラスの傑作。
中折れ帽のジョニーと青いボンネットのアリスはお店のショーウィンドーで出会いました。二人は互いに一目惚れ、すぐに恋人になります。しかし幸せも長くは続きません。二人はそれぞれ別の人間に買われてしまいます。
別れ際、アリスは永遠にあなたを待っていると歌います。ジョニーもアリスを諦めません。持ち主と出かけるたびにアリスの青い姿を探します。人混みで運良くアリスと再会できたジョニー。風に乗って持ち主の男の頭を離れるも、すぐに地面に落ちてしまいます。野良犬に嚙まれたり、また人に拾われたり、道路を転がったり……何とか元のお店に辿り着くも、すでに人手に渡ったアリスがいる筈もありません。
アリスとの再会を諦めかけた頃、ボロボロのジョニーを拾う奇特な人がいました。その人はジョニーに穴を開け、馬の頭へ。馬車用の馬を飾るためです。そしてもう1頭の馬の頭にはアリスが!二人は同じ持ち主の元で幸せに過ごすのでした。
くじらのウィリー/The Whale who wanted to sing at the Met(15分)
ある日、オペラを歌うくじらが現れました。街はその話題で持ちきり。新聞でその話題を目にした興行師は聖書のヨナからくじらはオペラ歌手を呑み込んでおり、歌手がその中で歌っているのだと考えます。派手に記者会見を打ち、興行師は歌うくじら探しへ。
くじらのウィリーはそうとは知らず、海の仲間たちに得意のオペラを聞かせます。呑み込まれたオペラ歌手なんていないのです。お友達のカモメが人間たちの噂をウィリーに伝えます。歌うクジラを探している人間がいるらしい。オペラ座デビューさせたいようだ。ウィリーは喜び勇んで自分を探す興行師に会いに行くのでした。
遂に出会った興行師とウィリー。興行師の思惑も知らず、ウィリーは自慢の美声を披露。ウィリーの夢はメトロポリタンのオペラ座で歌う事。トリスタンとイゾルデ、フィガロの結婚とどんどん名曲を歌い上げて自分をアピールします。しかし、興行師はウィリーに吞み込まれたオペラ歌手が歌っているのだと信じて疑いません。興行師はくじら用の銛をウィリーに打ち込み、哀れウィリーは死んでしまうのでした。
ウィリーがいなくなり、歌声が消えた寂しい海。しかし天から懐かしいウィリーの声が聞こえます。死んだくらいでは歌う事をやめなかったウィリー。天国でオペラ歌手になり、会場を満席にするのでした。
関連作品
・メロディタイム
メイク・マイン・ミュージックと同じく音楽がメインのオムニバス。次の次の記事で紹介します。
以上、メイク・マイン・ミュージックでした。次はファン・アンド・ファンシーフリーを紹介します!