人の宿命と天空の動き
中国占星術では、星の動きだけでなく、人が置かれている範囲をも定義しています。宿命や運命よりも前に、まず人類が置かれている環境を観察して、その対象を絞り込んでいく事で、人類の宿命を浮かび上がらせるもの、と先達(私達の祖先)は考えました。
人間は大地の上に立っており、上を仰げば空と太陽があります。太陽は夜になると姿を消して、夜空には星が輝き、月が現れます。そして常に変動します。一方で、地上は山や川、荒野もあれば砂漠や海があり、春になれば樹木に花が咲き、寒くなれば樹々は枯れて、雨や雪が降ります。それらの景色も、同様に日々変化します。
これらの天地の動きは何の為にあるのか、その存在意義は謎のままです。
先達は、これらの事象について、人類が出現するずっと以前から、宇宙と大地が存在しており、これが人類に与えられた宿命であると解釈しました。生物に父母があるように、人類にもまた天地という父母があり、それを宿命として受け止めなければならないという考えです。天を父、大地を母に見立てた思想は、その後も儒教や仏教を通し、東洋人の思想の根本原則になりました。「母なる大地」という表現も、その思想から来ています。
人間の世界はこの与えられた宇宙の原則から逃れる事は出来ないし、神の世界もこの宇宙に存在していると考えました。
よって先達は、ある一定の法則に従って大自然を分類すれば、宿命の謎が解けるはずと考えました。その分類の順番は、最初は天空、次に地上、最後に空間です。
この前提から、東洋占術の研究が長い年月をかけて展開していくことになります。