
「ウォーハンマー40,000」の第1次ナラティヴレポート
以下の文章は全て個人的な見解です。権利者の方々による指摘や、個人的な気付きによって、予告なく変更・削除する可能性があります。
また、視界が狭い人間なので、色々とご指摘いただければ幸いです。

前提
クルセイド・キャンペーンとして、遊んでいるクルセイド・ゲームの2回目のレポート。(キャンペーンに結果が残るものとしては初)
パーリア星間戦役のルールに則る。
以下のナラティヴレポートの文章は、作中の人物による文章であり、筆者の思想を反映したものではない。
なるべく正確に書いているつもりではあるが、記憶が曖昧な箇所がある。あくまで、これらの『戦果』は、彼の主観であって、実際に発生した『ゲームの結果』と厳密に一致していない可能性がある。
(脚色などはしていないが、射撃対象などが微妙に異なっていた可能性があるとか、そういうレベルの誤りがある可能性がある)日程などの都合上、2×1000pt対1×2000ptの変則マッチとなっている。
よって、ルールや処理などを便宜調整している。
第1次ナラティヴレポート
精鋭部隊の強襲と寄せ集め部隊
クリムゾンフィストとの戦闘を終え、一息つく間もなく、その知らせは届いた。その内容に、まさかと目を疑う。
なんと、対ゼノの特殊部隊であるデスウォッチと、偽りの皇帝を守るための特殊部隊アデプトゥス・カストーデスの混合隊がこちらに向かっているというのだ。
その実体は明らかではないが、漏れ聞くところによると、デスウォッチは各チャプターから選りすぐりのベテランをかき集め、対ゼノに特化した特殊部隊である、との噂だ。帝国では禁忌とされるゼノの技術を使用することすら許され、自身の糧としているらしい。
アデプトゥス・カストーデスも極端に数が少なく、目撃情報もまた、数少ない。しかしながら、その強力無比な能力は伝わるに余りある。ただでさえ超人と呼ぶべき、我らスペースマリーンよりもさらに強力であり、また強靭な精神力も兼ね備えた精鋭であるらしい。
つまり、こちらに向かっているのは、究極的な精鋭部隊ということだ。
ネクロンが支配的なこの領域に、デスウォッチを投入するのは理に適っている。そして、彼らとネクロンが衝突すれば、彼らはその専門性をいかんなく発揮してしまうだろう。さらに、カストーデスというこの上ないサポートを受けた上で。
ふと漏れた呼吸は、自身の理性とは裏腹に震えていた。戦略的撤退が許されれば、どんなに楽なことか。
しかし、こちらが対応する他ない。選択肢がある、などという状況が如何に恵まれていることか。
とは言え、このまま衝突すれば、そもそも、部隊の規模が違い過ぎる。
なけなしの通信資源を使用し、緊急招集をかける。もはや贅沢は言っていられない。とにかく、対応できるだけの部隊を編成しなければならない。
そうやって、かき集めたのが、この部隊だ。


ディーモンエンジンとして<ヴェノムクロウラー>が、エリートとして<チョーズン><ヘルブルート>が増援に駆けつける。体の変異が進んだ<アカースドカルティスト>を闇の司祭である<ダークコミューン>が統制している。
加えて、サウザンドサンから<ルブリックマリーン>が参じ、大逆時代から残っている貴重な<ヴィンディケイター>も参加する。
『静寂』の影響が大きいこの地で、十分な戦力が集められたとは言えない。どうしても、まばらにならざるを得ない。
良く言えば、全面全力、十人十色。悪く言えば、バラバラで統一感がなく、寄せ集めであることが明らかな面々。ただし、その想いは同じだ。
偽りの皇帝に死を。
第1次作戦<圧倒的恐慌>
両軍(あるいは、3つの軍と呼ぶべきだろうか)が衝突するのは、『静寂』による影響力が特に強い場所だ。何もしていないのに、自然と恐怖心が沸きあがってくる。その恐怖を武器として戦うことすらある、我々でさえ。
エリートである敵軍とは異なり、寄せ集めの<カルティスト>などを有する我が軍は不利な場所とも感じられるかもしれないが、このような混沌な場所でこそ、王殺しが可能になる。
そう自らを奮い立たせ、戦場へと赴く。
戦略的な支配権を得るための場所は、特にその恐怖が高まりやすい。逆に言えば、強い意思を維持できれば、それ相当の恩恵があるだろう。
こちらの思惑としては、デスウォッチ・カストーデスのような強力な指揮官を有する軍の<王殺し>を達成し、敵を混乱せしめる。そして、その隙をかいくぐって、<最後の一兵まで>戦い尽くせばいい。そう考え、戦略的な基盤は<防御型>を選択した。
一方、あちらは攻防一体の<バランス型>。<優位>を取られるものの、こちらが先手を得ることができた。
戦場の配置としては、全体として前に出て、<ケイオス・ターミネイター>や<オブリタレイター>といったエリートは混沌の渦の中へと身を隠す。彼らには、ここぞと言う場所で姿を現してもらおう。



開幕の爆発
先手が取れた以上、それをなるべく生かさなければならない。
早速、<フォージフィーンド>に調整を施し、その射撃精度を上げる。そして、前進し、デスウォッチの<アウトライダー>をその射程に捉えた。
フォージフィーンドの火力を上げる方法は様々だ。<暗黒の盟約>を結び、その恩寵を武器としてもよいし、単に出力を上げるのもよい。<暴発>の可能性は上がるが、そのプラズマの温度はさらに上がる。加えて、その身に宿したディーモンを暴走させる方法もある。
その中から、今回は<暗黒の盟約>とフル出力を選ぶ。少なくとも、相手の騎乗部隊を動く前に叩き潰しておきたい。
オレンジのプラズマが輝くを増し、地獄の炎が発射される。
と同時に、その輝きは露出している冷却器から漏れ、小さな爆発を生じさせていたのを私は見逃さなかった。<暴発>だ。私が直々に調整したにも関わらず、その爆発は少なくない損傷を<フォージフィーンド>に与える。

一方、それが影響したのが、戦果も想像よりも小さい。その炎は相手の部隊を焼き払うのに十分ではなく、1体だけ逃してしまう。
とはいえ、他には追加の攻撃を与える隙がない。前進せざるを得ない<アウトライダー>のような斥候隊を除けば、綺麗に廃墟の裏にその姿を隠してしまっているのだ。
仕方なく、こちらが前進しつつも相手を疑っているうちに、相手は一気に前進してきた。白や黒が基調の鎧に身を固めたカストーデスたちが前進。各地の拠点はデスウォッチが抑えに行く、という形のようだ。
廃墟から頭を出した<バリストゥス・ドレッドノート>が、その射撃に特化した装備を武器に、長距離砲撃を<フォージフィーンド>に浴びせる。
正直に言えば、油断していた。

<バリストゥス・ドレッドノート>は前回も接敵した経験がある。その手法の攻撃力は高いものの、弾数が少なく、あまり安定しない印象があった。
……あった。つまり、過去形だ。
その砲弾は、想像以上の精度で<フォージフィーンド>に突き刺さった。
まずい、と思う隙すらない。フル出力による排熱が上手くいかなかった<フォージフィーンド>に突き刺さった致命的な一撃は、その身を破壊するだけに留まらず、その身に残った残火を解放させることになった。
真っ赤に燃える、プラズマの爆炎が、目の前に広がった。
咄嗟に機械の触手で我が身を守るものの、その一部が吹き飛ばさせる。顔に僅かに残った皮膚が痛みを訴え、超高温によってプラズマ化したイオンの独特な臭いを検知する。
炎の光が収まった後、そこに残ったのは、大きなクレーターだった。いや、それだけだったらどんなに良かったことか。
その爆炎は私のみならず、歩調を揃えて前進しようとしていた部隊を直撃。<ルブリックマリーン>や<ヘルブルート>といった他の部隊まで大きな損傷を与えることになった。
いきなりの大きな損害に、私は頭を抱える他ない。なによりも、その<フォージフィーンド>を調整したものは私なのだ。本来なら始末書ものだ。次はもっと入念に調整しなければ……
不穏な幕開けとなってしまった。
恩寵の気紛れ
中央に向かった<ルブリックマリーン>は、その火炎放射によってカストーデスたちに損傷を与えるものの、致命的なものにはならない。むしろ、返しに接敵され、あっという間に壊滅してしまった。

武器への熟練度が違い過ぎる。まるで、型を演じているのかのような可憐な動きに巻き込まれ、同胞たちは塵へと返っていく。
<チョーズン>や<カルティスト>たちは、戦場端にある戦略目標へと向かっていくものの、デスウォッチの容赦のない射撃にさらされる。廃墟に隠されているとはいえ、その損傷は無視できるものではない。

<アカースドカルティスト>は自陣に近い目標を抑えながら、<ヴェノムクロウラー>はこちらに向かってくる<アウトライダー>の生き残りに対応する。蜘蛛のような俊敏な動きは<アウトライダー>をからめとり、その砲弾と触手で止めを刺した。

<オブリタレイター>は敵討ちとばかりに<バリストゥス・ドレッドノート>を狙い、敵陣の裏へとワープする。その集中砲火は、<バリストゥス・ドレッドノート>に一定のダメージを与えるはずだった。

……はずだった。これも過去形だ。
そもそも、混沌の悪魔との契約も上手くいかず、その代償としてその身を削られ、その上で射撃が振るわない。相手は無傷とはいかないものの、十分なダメージを与えたとは言えない。突撃して、追加の攻撃を与えるものの、これも十分な戦果にはつながらなかった。
<ケイオス・ターミネイター>はその兵数がゆえに、後ろ手に回ることはできず、正面からデスウォッチの進軍を止める役目を負った。射撃により、一定の戦果を挙げるものの、その距離ゆえに突撃までは叶わない。<ポゼッスド><ディーモン・プリンス>と協力し、前線を押し上げようとする。彼らは十分な耐久力を持つ。次の機会にこそ、突撃できればよい。

<ケイオス・デモリッシャー>は上手い位置取りができず、十分な射撃が与えられない。メンテナンスが十分でないのか、十分な弾数を撃つことができず、<暗黒の盟約>すら、上手く結べず、代償を求められるほどだ。
というより、この場の『静寂』が強すぎるせいか、暗黒神の気紛れなのか、先ほどから求められる代償が大きすぎる。いくら自傷の可能性があるとは言え、それが普段からその身を奪い過ぎるものであれば、意味はない。大きな戦いであっても、その戦いを通して代償を求められることが1~2度しかない、ということもよくあることだ。
しかし、このたびの作戦は逆だ。むしろ、代償を求められることの方が大きい。そして、その代償も大きく、兵が欠けることすらあるほどだ。異常ともいえる状況で、どんどんと兵数が減っていく。
もちろん、相手も手をこまねいているわけではない。
デスウォッチの射撃は明確にこちらの戦力を削ぎ、カストーデスの白兵戦は<ルブリックマリーン>の2つの部隊を血祭に挙げた後、<フルブルート>まで破壊する。こちらもそれ相当の抵抗をしているが、部隊を壊滅させるには至らず、兵数を減らすのみだ。噂に聞くカストーデスの恐ろしさが身に染みる。攻撃が一級であるのみではなく、防御もまた一級だ。
<アウトライダー>の魂を喰らった<ヴェノムクロウラー>だったが、その力を活かす暇もなく、返しにデスウォッチたちの突撃にあう。その移動力を活かすことができない。
カストーデスやデスウォッチの<ターミネイター>たちも、テレポートを使用して、こちらの裏をかこうとする。<ディーモン・プリンス>はそのうちの<ターミネイター>に対応するため、前線を離脱。射撃と白兵を繰り返し、その数を減らしていく。
後退した<ディーモン・プリンス>の穴を埋めるように、弾幕をかいくぐって前進し、<ケイオス・ターミネイター>や<ポゼッスド>が突撃するはずだった。
……つまりはそういうことだ。


テレポートをした直後で、距離が離れていた先ほどは仕方がない。しかし、<ケイオス・ターミネイター>はそこから前進を経ての突撃であるし、<ポゼッスド>もその変異した肉体を活かしての速度を出しての突撃だ。
その両者が失敗に終わるとは。まさに目の先に敵がいるというのに!
流石に、こちらも指示を出し、もう一度突撃を試みるように言うが――

まさかのこれも失敗。
この突撃には大きな価値があった。突撃を敢行することにより、白兵戦における<先手>が取れるというのはもちろんがあるが、同時に作戦目標に近づくことにより、その場での優勢を取り戻そうとしていた。
しかし、それが出来ない。
あまりにも大きな誤算だった。
壊滅的な結果
明らかに状況が悪い。
こちらが倒せている部隊は数少ない。<アウトライダー>ぐらいであり、カストーデスもその多くが健在だ。しかし、こちらはかなりの数が減らさせている。ディーモン・エンジンたちは残っていないし、<カルティスト>や<チョーズン>はその技量を発揮する間もなく全滅。すでに戦線を支えるだけの戦力が残っているとは言えない。
こうなってしまっては、できることは限られている。
戦力が一度大きく削られてしまえば、こちらの火力も落ちてしまう。火力が落ちてしまうということは、あちらの兵数を少なくすることもできない。すると、向こうだけが十全の火力でこちらを焼き払うことができる。
最初は小さな差であったとしても、それはどんどんと広がり続け、ある一線を超えてしまえば、奇跡でも起こらない限り、状況は固定化される。
その一線を超えてしまったように思う。
ならば、こちらが望むことは、この作戦の成功ではない。
少しでも多くの思惑を達成し、少しでも多く、敵の兵力を削ることだ。
そう意識を変え、攻撃を繰り出していく。
とは言え、今日は本当に暗黒神の機嫌が悪い。火力を少しでもあげようと<暗黒の盟約>を結ぼうものなら、流れるように失敗し、そのまま自傷に繋がってしまう。そして、火力は弱まり、というフィードバックが生まれる。
辛うじて、<ディーモン・プリンス>が<ターミネイター>を撃破したものの、他は十分と言える戦果は出すことはできない。

私は廃墟に隠れながら、歯噛みしていた。私に十分な力があれば。しかし、開幕の爆発によるダメージが大きく、そもそも、敵の戦力に比べ、十分な火力を持っているとは言えない。廃墟に身を隠し、最後まで生き残ることを目指すしかない。
それが、甘い考えであることは、今となっては明らかだ。
アデプトゥス・カストーデスたるものが、そんな思惑に気付かないはずがなかった。テレポートや俊敏な移動を繰り返したカストーデスたちは一気に廃墟の近くまで前進。そこからの距離をものともせず、一気に距離を詰めてきた。
考えてもみて欲しい。廃墟の裏。その端で身を潜め、戦場の状況を少しでも好転させようと考えを巡らせていると、物音が聞こえる。それに気付いた時には、すでに廃墟に突入してきた白や黒の鎧を来たの超人部隊が周囲を取り囲んでいる、という状況を。
死。それは明らかな死だった。
咄嗟、全身で防御の体勢を固める。震わせた槍の刃は確実に私の触手や鎧を切り裂き、一瞬で無力化した。せめてもの抵抗として構えた銃も、何の障害にならないというように、スクラップと化した。その様はまさに暴風。刃の台風と言うべきものだった。その吹き飛ばされた衝撃のまま、私は廃墟の天井に貼り付く。残された触手で、蜘蛛のように必死に天井へと貼り付き、頬や腕についた傷からは、血が滴り落ちる。
しかし、カストーデスはそれを気にも留めなかった。もはや私は、敵の一瞥すらも勝ち取れない存在へと堕ちたのだ……

突撃が失敗したということは、逆に突撃をされる、ということだ。ゼノ技術による装備を固めたデスウォッチたちの攻撃は想像以上に苛烈だ。<ヴェノムクロウラー>が落ちた後、<ケイオス・ターミネイター>や<ポゼッスド>といった突撃失敗組がその威力を喰らう。

そこからは、負け戦というより、壊滅戦に近かった。正確無比な射撃や、暴力的な白兵を前にして、一体、また一体と無力化されていく。

戦場に最後に残った<ケイオス・デモリッシャー>が爆発すらも許されずに機能不全となった時、そこはもはや、戦場ではなくなった。
敗走、敗軍、敗因
命からがら逃げだした仲間や、無力化され、放置されたビークルなどを回収してみると、意外と悪くはない。
あれほどの大敗を期したというのに、次の作戦に支障が出るほどの損傷を負ったのは、<オブリタレイター>のみだった。
あるいは、それこそが、敗因の一つであるのかもしれない。
要は、我々は初めから及び腰だったのだ。自身の状態や、中長期的な作戦の動向を気にしていて、本作戦に強く取り組む姿勢がなかった。
その臆病さを、暗黒神たちは咎めた。あの異常なまでの代償の支払いは、そういうことなのかもしれない。
最後の一兵は残るだろうという甘い思惑は意味をなさず、当たり前のように、有能な指揮官を少しでも減らそうという所にまで手が届くこともなかった。単に、こちらが消耗しただけになってしまった。
本作戦で得られたものは少なく、失ったものもある。長期的に見ても、この作戦の尽力は、大きな影響を及ぼすものではなかっただろう。端的に言えば、失敗であり、痛手だ。
しかし、我々の意図に関わらず、戦いは続く。
後悔をする間もなく、反省を促す余裕もない。我々はただ、大きな濁流に呑まれた一片に過ぎず、身を任すままに次の戦場へとたどり着く。