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第二種電気工事士の資格を取りました



資格取得を目指した最初のきっかけ

自宅の内装工事を行った際、コンセントやスイッチは対象外だったため、どうせなら交換したいと思い型番をしらべて必要個数を発注した。しかし部品が手元に届いていざ交換しようと思い、念のため調べたところ、交換には電気工事士の資格が必要とわかった。プロにお願いするとそれなりに費用が発生するため、とりあえず素人が交換可能なパネルだけはすべて交換したあと、軽い気持ちで第二種電気工事士の筆記試験のための問題集を買ってみた。

なんと1問もわからない

問題集の例題を見てみたが、なんと1問もわからない。そもそも用語が知らない単語ばかりで、問題の意味すらわからないものばかりだった。この資格を取るのはとても無理! しかし10数か所のスイッチやコンセントをプロに依頼して取り換えるとそれなりに費用がかかるのも頭が痛い。買ってしまった部品はまあ生ものではないので痛まないけれども、単に持っておくのもあまりにも残念。なんともならないのでしばらく封印することにした。

今年の2月

今年の2月11日、そのころすでに転職されていたが、自分の前の仕事でも大変お世話になり尊敬する会社の先輩Kさんが、facebook で第二種電気工事資格を取りたいと書いているのを発見した。5年前にしまい込んだ本を思い出し再び開いてみるも、当然ながらやっぱり全然わからない。しかし、さすが人望のあるKさんの記事にたくさんアドバイスがあり、どれも役に立つことばかり。そのなかでも特に、県がやっている講習があるというアドバイスが決め手となり、講習を受講して今年こそ受験しようと思い立った。

情報収集

神奈川県の スキルアップセミナー(在職者訓練) というものを発見した
0409 第⼆種電気⼯事⼠上期筆記試験対策講習
0413 第⼆種電気⼯事⼠上期技能試験対策演習講習
抽選に当たらなければ受講ができないが、当たれば民間よりも格安で受講できる。技能試験の講習を受けられれば、独学でやるよりは合格の可能性がかなり上がるだろうと思い、申し込みをした。電話で問い合わせると技能試験対策演習講習はやはり人気が高いらしく、申し込みをしても確実に受講できるものではないらしい。まあ、受講できなければ下期にまた申し込もうと考えた。

初めての安善駅

幸いにして筆記試験対策を東部総合職業技術校(かなテクカレッジ東部)というところで 04/21 - 06/19 週末の 6日間 0845 - 1600、お昼休みが 1時間、高校と同じような机と椅子で受講できることとなった。
場所は、鶴見線の安善駅から徒歩数分のところ。神奈川県には 60年近く済んでいるが、実は鶴見線に乗るのはほとんど初めて。鶴見駅が始発で、鉄道好きには有名な海芝浦駅や、機関銃のあとがいまだ残っていてTV撮影によく使われているという国道駅があることは知っていた。しかし鶴見線はほとんどが無人駅で終点が3つもあるという事は知らなかった。鶴見駅をでてしばらくすると、車窓からの風景は左右ともだだっぴろい工場ばかりで、線路のまわりには草が結構生えており、どの駅も秘境駅感たっぷりだった。安善駅前の周りはコンビニエンスストアなどはなく、持ち物にお弁当が必須と書いてあるくらいな場所だった。
事前に各自購入を指示されたテキストは、奇しくも5年前に買ったものの今年度版だった。それに加えて模範回答集を購入し授業に臨んだ(2冊合わせて 3700円くらい)。
暗記用の小冊子もついてきたが、自分はテキストの見開きの風景を画像のイメージで覚える方が得意なため、楽譜の暗譜と同じような要領でなんとか覚えていった。講師の先生は、「ここは全部おぼえてください」というアドバイスが多かったが、合間合間に話す実務の話が面白く、6日間真面目に受講したことで、自分一人でやるのとは違ってよかったと思う。また本番と同じように試験用紙が配られて過去問を何度かやったが、臨場感がありそれもよかったように思う。
自宅ではひたすら過去問を繰り返したので、5年前にはできると思えなかった問題も、6割は確実に解けるかな、という状態にはなったようだ。

筆記試験

國學院大學のたまプラーザキャンパスで2024年5月26日に学科試験を受けてきた。
問題は持ち帰れるので翌日発表された正解をもとに採点すると、どうやら2問ほど間違えたらしい。(18と43だったかな…) 5月23日には、技能試験の講習も受けられるという連絡をもらい、もうやるしかない状況となった

工具を買う

工具を買う際に自分なりの作戦を立てた

  1. 一つの作業を行うために、最低2つの工具を用意する(試験本番一週間前にVVFストリッパーが壊れた、という受験者の話を知って、試験中に壊れると、確かにどうにもならないと考えた)

  2. それぞれの工具に慣れてきたころに作業時間を測定して、作業の歩留まりの高い工具を選ぶ(昔はケーブルの被膜は電工ナイフで剝いでいたそうだが、いまは専用の工具が何種類かある)

  3. 試験会場の机がとても狭いらしいので、腰ベルトを購入し、工具の定位置を決めて取り出しに慣れておく(50cm x 40cmくらいの厚紙の上で練習した)

プラスドライバーは、2月の段階で別の先輩のTさんのアドバイスで平井工具のクッション電工ドライバーという名前のこれを購入した。400円だし、受験するのであればどのみち必要になると思い先行投資した。それに加えて「のの字」対策が必要なため、HOZANの合格のの字曲げツール プラスドライバー付きDK-205 を父の日の名目で買ってもらった。

マイナスドライバーは、いろいろなサイトで調べてベッセルのボールクリップドライバーを購入した。結果的にマイナスドライバーはほとんど使わなかったが、五徳ナイフのようなDK-200 合格マルチツールはかさばらないしその役目も果たすのと同時に、ボックスコネクタのロックナットの取り付けにも使えるという触れ込みだったので購入した。

締め付けは、ボックスコネクタのロックナットや絶縁ブッシングの締め付けなどがあり、上記のDK-200に加えて、たまたま以前購入して持っていたウォーターポンププライヤーバネ付を使うことにした。(当時は握るところが青色だったがいまは黄色になっているようだ)実際に後になって分かったが、ロックナットはDK-200で締め付けることができたので、この工具は練習でもほとんど使わなかった。DK-200はゴムブッシングを切れるという事だったが、素直にニッパーで十字に切れ込みを入れる人が多いようだ。ニッパーはこれを持っていたので使うことにした。

ケーブルの被膜対応は、VVFストリッパーという専用の工具と、それに直接つけられる合格ゲージというものを購入した。結果的にこの組み合わせで一番練習をして、試験本番でも乗り切った。この工具の代替品としては機械式ワイヤーストリッパー電工ナイフも購入した。自分でも保険のかけすぎと思ったが、気力的に何度も試験を受けられる気がしなかったのと、同じものをもう1つ用意するのもつまらなかったのでこうなった。この機械式ワイヤーストリッパーは非常によくできていて、セットして握りこむだけで見事に被膜をはぎ取ることができるし、実際の現場ではこういう工具を利用してどしどし量をこなしていくそうだが、試験対策としては、12mm か 20mmどちらかの長さで正確に被膜をはぎ取りたかったので、P-958 VVFストリッパーで乗り切ることにした。

圧着工具は握るところが黄色いものがJIS C9711 適合品だそうなので、あまり迷うことなくP-738にした。やってみてわかったが、サイズが中のリングスリーブで 2.0mm 4本を圧着するのは、自分はわりと握力もあり手も大きい方だが片手では無理だった。小のサイズのリングスリーブでも結局両手を使って圧着していたので、何本かのケーブルをずらさず圧着するのはなかなか難しかった。この工程が自分には一番難関で、しかもたいてい最後の方に行うため、ここが一番のポイントだなと思っていた。圧着の対策としてはいろいろなサイトで合格クリップが勧められてていたが、ケーブルを抑え込む力が足りなそうなのとかえって手間が増える気がしたのでこれは購入しなかった。

「のの字」対策として、まずは基本のペンチを購入した。10年くらいまえにネットでしらべて購入してその性能が気に入ったネジザウルスシリーズに、電気工事士試験対策向けのものが出ているのでそれを選択した。
※「のの字」対策とは、HOZANさんのここの下の方に動画の説明があります。
それに加えて、丸口ペンチを勧めている人がいたのでこちらも試しに購入した。そんなわけで「のの字」対策はペンチ、丸口ペンチ、P-958、DK-205の4種類の方法でできる工具がそろったので、作業の時間計測を行った。結果として、あくまでも自分の場合は、ペンチは一番歩留まりが悪く、丸口ペンチとP-958はほぼ互角、DK-205はスピードはP-958と同じくらいだったが、歩留まりはDK-205の方が高かったので本番もDK-205で行くことにした。歩留まりが互角なら、持ち直す手間がない P-958だけで大部分の工程をこなすのが試験対策としてはなるほどよいのだなということは実感した。

ケーブルの切断は、もちろんペンチやP-958でもできるのだが、専用の工具を褒めている人が多いため、ケーブルハンディカッターを購入した。第一種電気工事士には必要な工具だそうだが、さすがに3年間の実務をやる予定は無い。切断自体はP-958でももちろんできるし持ち替えも不要だし、ネジザウルスのペンチももちろん切れ味がよいが、この専用工具は切れ味が抜群に良くて使っていて楽しい。結果的にケーブルを切断する際はついこれを使ってしまうので試験でもそうした。

手袋は、3Mのこれを購入して練習中からずっと使っていて充分慣れた。その後試験中に破れたら心配なので、ワークマンの 99円の匠の手を購入した。色も形もこちらの方が好みだったが、3Mで慣れたので試験もそれで乗り切った。

腰袋はE-Valueの安価なこれと専用のベルトのこれを購入した。自宅での練習は毎回腰につけて行った。結果的にほとんどの作業工程を P-958、プラスドライバー、ハンディカッターでこなし、圧着のP-738とのの字の DK-205、まれに DK-200 を使うくらいだったので、それらを優先して取り出しやすい位置に入れておいた。腰袋には購入したすべての工具がなんとか治まった。

ものさし は、母に以前購入してもらった30cmのステンレス定規、小学校のとき家庭科の授業でもらった裁縫道具箱に入っていた巻き尺、ユザワヤで購入した竹の定規が印刷されたマスキングテープを用意した。練習では定規を使っていたが、本番ではマスキングテープで試験問題を固定したり、ビニール袋を留めたりと重宝した。

4色ボールペン は、複線図を描くときに便利と知ったので、自宅にあった ビクーニャBX157 0.7mm を使うことにした。シャーペンで複線図を書き、黒、赤、まれに緑を上書きするスタイルで複線図を書くことにした。設置相の白線は、残された鉛筆書きの部分という事にした。青を白線として勧めているサイトもあったが、後から上書きするスタイルを選んだので、白線を上書きしないほうが一手間減らせるため青は使わなかった。

技能試験講習

06/16 - 07/07 の間の週末の 4日間、ふたたび東部総合職業技術校に通った。筆記とは違う講師の先生で、初日からどんどん作っていきましょう、という方針のもと、テキストに従って 13問を No.1 から順に作っていった。初日は午前中 2個、午後に 2個しか作れなかったので、正直この先が思いやられたが、作った後の自己点検後に手を挙げて先生に確認していただくスタイルで、これは大変ありがたかった。自宅での練習のかいもあり、2日目以降は 1日にで7,8問作れるようになり、4日間で結局 13問 x 2回 + No.6を模擬試験として作成できた。

複線図

試験問題は、単線図で出題され、プロはいちいち複線図を書き起こしていないといわれているが、本番で単線図だけだと確認時にかならず焦ると考え、安全を見て複線図は書くことにした。講習では特に書けとは言われなかったが、受講者は書いている人がほとんどだった。試験は40分のため、複線図を書く時間は5分、組み立てに25分、見直しが10分、という時間配分がどうしても必要で、そのため技能講習が始まってからは時間があれば、5分で複線図を書く練習をした。
そして、受験した人ならわかってくれる以下のような対応表は、部品を見たら数値が頭の中に出てくるくらいになった。
技能試験開始前に、12分ほどケーブルや部品がきちんとそろっているか確認する時間がある。その時に、コネクタやスイッチ、コンセントなどが 12mm なのか 10mmなのかを確認し、対応できるようにした。ランプレセプタブルは40mmだと正直ぎりぎりで、45mmの方がよいかもしれない。

複線図にケーブルの種類を書きだすとかえってわかりにくくなるので、単線図の方に、< >、[ ]、〇で囲う、□で囲う、ような目印をつけて、個人的によく間違えたパターンの、間違ったケーブルを間違った場所に使わないように特に気を付けた。リングスリーブかコネクタかの区別は、AとBのところを〇で囲うか□で囲うかを目印にした。ケーブルの切断の寸法は、上記の表はあるが、かなり機械的に 100mm足したり50mm足したりした。部品間や接続部の間の距離は多少長くなっても問題ないし、場合によっては半分近くの長さになってもぎりぎり合格できるらしいので、わたり線だけは忘れずに気を付けながら、余裕を持ったケーブルの裁断を心掛けた。YouTubeなどではきっちりと寸法通りに都度ケーブルを裁断して作っていく人もいて、それをまねしたこともあったが、スピードが稼げず自分には合わなかった。
以下に、自分で見直し用に描いた、13問の記入予定内容を並べてみた。単線図に何を書き足すか、複線図をどう描くかを何度も見直して、覚えるようにした。

自宅での技能試験対策

ジェイメディアネット (電気工事士技能試験材料・器具・電線のばら売り)
というところで、練習用セットがレンタルできることを知り、準備万端シリーズという名前の以下のセットをレンタルした。6月10日に注文したが、もっと早く注文すればもう少し値段が安かったのだがまあ仕方ない。
令和6年度版 第二種電気工事士 技能試験練習材料
準備万端シリーズ レンタル練習材料セット 
3回練習分
なぜレンタルにしたかというと、最初コーナンや島忠に練習用ケーブルや部品を買いに行ったのだが、メーカによって微妙にサイズが違い、試験に使われているメーカがどれが多いのかさっぱりわからなかったからだ。ケーブルもメーカーによって剥きやすいもの、剥きにくいものがあるらしく、試験会場間でも違いがあるらしい。そのため、VVF1.6, VVF2.0,VVR1.6,VVR2.0を数mずつ購入して、技能試験講習が始まるまではケーブル剥き、のの字づくり、ランプレセプタブルや露出形コンセントの取り付けの練習などをした。
7月7日に技能試験講習が終わってから、7月20日技能試験前日まで、2週間あったので、平日は夕食後に1つ、週末に5,6個練習をして、最終的に ほぼ3回ずつ練習を行った。講習を入れるとどの予想問題も 5回は作ったことになる。技能試験の講習が終了後、自宅で何も練習していなかったら間違えなく合格できなかったと思うが、講習に加えてどれくらい練習すれば充分だったかはよくわからなかった。根拠のない感覚だが、おそらく技能試験直前まで継続して各問題をトータルで4回ずつつくれば手が覚えてくれる状態になる気がする。

技能試験当日

会場は戸塚駅からバスしかない。遅刻したくなかったので9時前のバスに乗ることにした。試験会場である明治学院大学 横浜キャンパスには十二分に早い時間についたが、少し早すぎて正門は入れたが建物の入り口はまだしまっていた。建物の中に入っても試験会場の教室にはまだ入れないので、1階のテーブルで13個の問題の回路図を一つずつ頭の中ですぐ描けるかのシミュレーションをやっていた。1110時には試験会場の出入りは禁止され、いよいよ部品の入った小さな箱が配られる。10分ほど部品の欠品、破損が無いかの確認の時間があるので、その時間に配線用遮断器は 10mm, スイッチ、コンセント、コネクタが 12mm であることをしっかり確認した。出題された問題は同時点灯のランプなどが無いシンプルな回路で、コネクタやケーブルの使う場所や長さを間違えなければまず間違えないだろうと思え、まずは一安心した。2芯のケーブルの片方を12mm、片方を20mmに剝くような問題ではなかったのと、リングスリーブ3か所、コネクタ3か所なのは少なくてありがたかった。

当日、試験用紙に何を描いたかをそのまま備忘録で載せてみます。
(2枚目の左上 2024-07-21 神奈川 No.4 は、試験後に書き足しました)
読めませんが、単線図に「わ黒 100」と書いてあるのは、わたり線 を 黒で 100mm を □で囲った 400mm から作り出す、というメモです。別な問題では、わたり線が、黒、赤、緑が必要になるものがあり、その場合は、わ3本 と書く予定でした。

問題と解答の公表

技能試験の問題と解答が試験の次の日発表される。正解作品例は当たり前だがやはりうまい。長さが問題通りですばらしい。たぶんこんな感じのものを当日作ったと思うが、実物はもう提出してしまったので確認のしようがないので祈るばかり。

結果発表

表現が微妙だが、自分の受験番号で検索すると、こういう表示になり合格したことが分かった!もう一度技能試験を受ける気力は無かったのでありがたかった。講師の先生方や貴重な情報をくださった皆様に感謝します!

申請準備

合格がわかったので申請に必要な神奈川県収入証紙を近所に購入しに行く。ここにこんな公益社団法人が昔からあったかな?と思ったら、一時的な仮庁舎のようでたまたま近所で楽だった。それにしても、県関係の証明書は必ず「売りさばき」という言葉が付いてくるが、いまだになじめない。次の日に自動証明写真機に 4x3の写真を撮りに行くが、いつのまにか 1000円になっていて驚いた。それにしてもあの狭い空間は真夏に入るものじゃないなとつくづく思うくらい暑かった。

試験結果通知書が届く

第二種電気工事士試験結果通知書が無事届く。 2024-08-23 発送だからスムースに届いたようだ。受験番号とは別に合格番号というのがあることがわかったが、きっとこの番号は管理用だろう。24K19??? だから、2024年に合格した 19000番台なのだろう。

申請しに行く

神奈川県電気工事工業組合《本部事務局》に直接提出しにいった。場所は横浜市大病院や横浜市南区役所の近くの川沿いの場所。受付用の机が1つあり、すぐ受け付けていただくことができた。内容を確認を目の前で行ってもらえるため、受理されたかどうか簡易書留で送るよりはずっと安心できる。
自分の前に一人、後に一人提出する人がいたので、意外に直接出しに来る人は多いようだ。
早ければ2週間くらいで届くそうだ。令和4年4月1日以降発行の電気工事士免状はプラスチックカードになっているそうなので、紙の免状はなさそうだ。

免状取得

簡易書留で届きました。思い立って半年でなんとか取得できました。
さて、これでスイッチやコンセントが取り換えられるが…。
いざ自分でやるとなるとどきどきしますね。

To Be Continued.

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