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「ビュラン」って知ってますか?
◎銅版画の一番古い技法
銅版画の製版技術の中でも最も古いものに、「エングレーヴィング」という、直接銅の板を彫っていく技法が挙げられます。どれくらい古いかと言うと、15世紀前半からあります。日本だと室町時代。
私はその技法で必須の道具ビュランという刃に柄のついたマッシュルームのような直刻刀自体を技法名として呼んでいます。画像↓
◎ビュランと自分の出会い
銅版画に出会った初期からこの古典技法のことは知っていました。
シャープな表情が好きで、独学で使ってもきました。
しかし誰かにこの技法だけを集中的に習ったことはありませんでした。そんな中、最近ビュランとの距離がぐっと近くなる出来事がありました。
先日の「版画芸術」に掲載された私の記事を見た、とあるビュラン作家さんから会いたいとご連絡をいただきました。
彼の精緻で硬質な作品は、10代の頃独学で開いた技法書に載っていた図版で初めて拝見しました。その独特な緊張感が漂う作品に、技法を極めていった先に一朝一夕では到達し得ない確かな説得力に畏怖のようなものを感じたのを覚えています。思えばそういうのもあってとても自分ではとっつきにくい技法だと勝手に思い込みどこかで距離をとってしまったのかもしれません。
◎ビュラン指導
お声がけを大変光栄に思い、お宅にお邪魔すると、すぐに制作や作品発表について考えていることや具体的な技法のお話が飛び出し、メモが追いつかないほど教えてくださりました。
次回は研ぎ方、彫り方を直々に伝授してくれるとのこと。楽しみに帰路につきました。ビュラン作りと研ぎ方、彫り方を直々に伝授してくれるとのこと。楽しみに帰路につきました。