【RIZIN48 15,000字語り】川尻達也「嫌な練習をしているかは試合を見ればわかる」
――ジャン斉藤です。今日のDropkick配信は川尻達也さんをお呼びしまして、RIZIN48の感想を中心におうかがいしたいなと思っております。
川尻 こんばんは。
――先に言っておきますけども今日は長くて90分で終わります。前回、終電で帰りたくない酔っぱらいみたいで酷かったので。
川尻 えっ、冗談じゃないですよ(笑)。とりあえず、てっぺん(0時)までやりますよ! みんなヒマでしょ?
――視聴者の皆さんは、家族を振り切って参加してますよ。
川尻 ボクもDropkickメルマガ会員の31人のうちの1人ですからね。古くからの会員ですよ。今日は何から話すんですか?
――川尻さんがSNSで避けているステロイドの話ですよ。じつはやってたんじゃないですか?
川尻 やっててあんな結果だったらやる意味ないでしょ(笑)。やっていたらUFCのチャンピオンになってますよ。昔の日本人格闘家はクリーンだったからUFCのチャンピオンになってないところもあるじゃないですか。
――まあ実際そうなんですよね。PRIDE、DREAM、UFCと戦って薬の力を実感するところはありました?
川尻 「まあ、そういうもんだよね」って思ってましたね。最初からクリーンな世界でやってると思ってないですから。だから、いまは羨ましいですよ。一般の人もステロイドのことを気にしてくれて。ボクらのときはそこまで考えて見てくれなかったじゃないですか。
――昔はドーピングを口にすると「負け犬の遠吠え」みたいに聞こえちゃう時代だったんですよね。
川尻 当時はそうでしたね。
――RIZINでも抜き打ち検査はやってほしいですか?
川尻 RIZINで?いやあー、やれるんだったらやってほしいですけど、やるとなったら大変ですよ。試合が決まったら自分で近くの医者で尿検査をやるくらいが現実じゃないですか。
――UFC時代の川尻さんのところにも抜き打ち検査はあったんですか?
川尻 何回も来ましたよ。JBスポーツにも来たし、茨城の家にも来たし。
――あんなド田舎に!
川尻 朝7時にピンポーンって検査員が来て、おしっこを取られて。検査員の方に「朝から大変ですね。どうやって来たんですか?」って聞いたら「前泊しました」って。
――前乗りしてた(笑)。
川尻 朝7時に茨城だとそうするしかないんでしょうね。でも、それを世界中でやってるとなると、めちゃくちゃお金がかかりますからねぇ。
――RIZINファイターは東京在住を条件にするしかない。RIZINは田舎者は上がれませんよ!まあ、そういう時代だったということで。いまはいまで大変だけど、羨ましいなと思いますね。
――そういう世界で戦いたかった?
川尻 いやあー、戦いたくないですね。
――なんでですか(笑)。
川尻 ドーピングのルールは整備されているけど、いまは強さだけじゃなくて、いろいろと数値化されてるじゃないですか。以前は入場式の声援とかでファン人気を測ってたじゃないですか。いまはXのフォロワー数、YouTubeの登録者数、試合の再生回数とか、すべて目に見えちゃってるから。いまのファイターは大変だよなあと思いますね。「こんだけでしか再生して回ってないから」って言われちゃったらね。ボクもDREAM時代にTBS「こんだけしか視聴率を獲れてないよ」と言われて傷つきましたよ(苦笑)。
――ハハハハハハ!
川尻 「川尻の試合で視聴率が落ちてるんだよ」って言われましたよ(笑)。いまはもうファンにもいろんな数字がわかっちゃうじゃないですか。あれ、怖いです。ファイターにとって地獄だと思いますよ。
――かつては視聴率という不毛な戦いを強いられてましたけど、いまでも数字の勝負は熾烈だってことですね。
川尻 そうそう。全部数値化されちゃってるからめっちゃ大変ですよね。
――変な話、ステロイドはやってみたかったですか?(笑)。
川尻 現役時代はないですけど、いまは興味ありますよ(笑)。タケさんも言ってたけど、いまは簡単に手に入りますよね。調べたら土浦の病院でテストステロンが打てるみたいで。この年齢になると男の更年期ってあるじゃないですか。「なんか調子悪いな」とか「やる気が起きないな」とかで打ってる人がいますから、ちょっと興味ありますよ。20代みたいに回復して練習できるのか、パンチ力が上がるのかを知りたいけど、まあ後遺症で苦しみたくない。
――そこが怖いですけど、町医者レベルでもできるってことですもんね。
川尻 そうなんですよね。塗り薬もあるみたいですから。まあそんだけ格闘技がメジャー化して稼げる世界になってきたから、やる選手もいるってことじゃないですか。前は稼げないからリスクのほうが高かったけど。あとなんでもアメリカで流行ったものが数年遅れで日本で流行るんじゃないかなと思いますね。
――ステロイドの後遺症の怖さもあったというか、扱い方がわからないから手を出さなかったところもありますよね。ほら、日本人はダイナマイト・キッドとジャック・ハンマーのボロボロになるイメージが刷り込まれてるから。
川尻 たしかに対処法なんか知らなかったですかね。やり方もわかんないし、薬の買い方もわかんなかったし、ケア剤とかも知らないし。やったら寿命が縮まって早死にするんじゃないかなって思ってましたよね。
――ドーピングの件で石渡(伸太郎)さんが平本(蓮)選手とつながりがあったということで「オマエも知っていただろ?白状しろ」みたいにバッシングを受けていて。以前にも似たような騒動があったなと思って振り返ったら、秋山成勲ヌルヌル騒動のときの川尻さんですよ。
川尻 ああ、「オマエには説明責任がある!」って炎上したやつですね。俺、あのときはさいたまスーパーアリーナでギルバート・メレンデスと殴り合ってたから、知らねーよ!って話なんですけど。
――川尻さんと秋山さんは同じチームではなくて、JBスポーツの山田(武士)トレーナーが仕切る合同練習「チーム黒船」に参加する間柄だったわけですよね。
川尻 そうですね。合同練習の中のメンバーで一緒の時間に練習したメンバー。所属一緒でもないし、プライベートもまったく知らないし、ボクは練習中、そんなに会話しないほうなんで。
――あの大晦日は川尻さんはPRIDE、秋山さんは大阪で桜庭さん。山田さんは先に試合が決まった秋山さんのセコンドについたんですよね。それでヌルヌル事件が起こって「チーム黒船?ということは川尻の仲間だなあ?」っていうことでブログが炎上したと(笑)。
川尻 そうなんですよ。バッシングが酷くてブログを閉鎖しましたから。
――あっ、閉鎖してたんですか!(笑)。
川尻 ボクの同級生から「もう見てらんない」って言われたので閉鎖しましたね。
――たしかにあのときのコメント欄はホントに酷かったですよね。
川尻 「ここだ!」というに一斉に責めてくる人たちの悪意がホントに怖いなって。
――正義を盾に無関係の人を追い詰めていく怖さですね。
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