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M&Aに巻き込まれたとき、売却対象となる会社の経営陣や現場社員はどんな葛藤を乗り越えていくのか?~『図解&ストーリー「子会社売却」の意思決定』からの学び

あっという間に時間が経ってしまったのですが、最初に勤めた会社でM&A/ コンサルティングについてご指導いただいた岡&カンパニー代表/ 明治大学グローバル・ビジネス研究科専任教授 岡 俊子さんから新著『図解&ストーリー「子会社売却」の意思決定』をご恵贈いただきました。
<https://onl.sc/dWzm4Bd>

本書では「とあるグループ企業が、業績好調な子会社を、カーブアウト型のM&Aで売却をする」というディールの検討を背景に物語が進行し、その中で、子会社の経営陣を中心に、 親会社の経営陣や社外取締役、現場メンバーの想いが語られます。

また、物語の合間合間に、各章で語られているM&Aの論点や実務の進め方についての解説があり、M&Aのディールを検討する際のプロセスや、カーブアウト型のM&Aの意義に関する理解も進みます。M&Aというと、親会社の立場から語られることが多いですが、“売却される子会社の経営陣からの語りが中心”というのも、M&Aを多面的に捉える上で、貴重な学びが多いです。
M&Aの書籍というと、堅い・難しい専門書が多いのですが、本書は、社内における経営陣の意思決定の様子や、ディールの一連のプロセスがストーリーとして進んでいくので、企業小説の面白さを感じながら、読み進めることができます。

岡さんの豊富なM&A支援や社外取締役のご経験から紡がれるストーリーは、リアリティが満載で学びが多いのはもちろん、M&Aについての検討を進める、登場人物に感情移入したり、ぐっとくる場面もありました。

ストーリー形式のお話なので、ネタバレになるのは避けますが、
・親会社・子会社の構造的な関係性に由来するコミュニケーションの難しさ
・ディールの検討を通じて、子会社の経営陣が自身の役割についてよりコミットメントを深めていく成長プロセス
・グループの中で両利き経営(既存事業の強化と新規事業の立ち上げ)を実行していく難しさ
・コーポレートガバナンスを強化する上で、社外取締役が果たす必要がある役割
等々について、特に学びが多かったです。

岡さんがエピローグで最後に、
「『売るまでが大変』な状況が緩和されると、対象会社の社員は、新たな親会社のものでDay1から、新たな気持ちで前向きに企業価値向上に向けて邁進できる。したがって『売るまでが大変』を解消することは、売り手の課題解消だけでなく、買い手のPMIのスタート台を高く設置できるというメリットがある」
と語られています。

PMI(Post Merger Integration)のプロセスをスムーズに進め、対象会社の社員が新しい体制を受け入れやすいような下地を作っていく上でも、対象会社の経営幹部や社員がどの様なメンタリティでディールに臨んでいるかについて、示唆が多いと感じます。M&Aを検討されている方だけでなく、すでに関与されている方が読まれても、現場の関係者ひとりひとりのスタンスや立ち振る舞いの背景にある想いについて理解が進むと思います。

続編も準備中とのことですので、ディールがどの様に進むのか、とっても楽しみです!

学び多き書籍をありがとうございました!!

追記
岡さんには、昨年、出版した『M&A後の組織・職場づくり入門 「人と組織」にフォーカスした企業合併をいかに進めるか』でも、「M&Aスペシャリストが語る統合プロセスの乗り越え方」と題して、PMIを進める上での重要なポイントについて対談形式で、お話いただいております。
<https://onl.sc/KcLaTbL>

こちらも、たくさんの学びが詰まった内容になっておりますので、お読みいただけますと、嬉しいです!

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