
【#159_研究メモ】 組織開発における研究テーマの変遷:キーワード共起分析から見るトレンドの変化
Lis(2020)では、組織開発(Organization Development)とともに、どの様なキーワードが用いられているのかについても分析を行っています。
キーワードの共起分析を、2004~2012年前後と、2010年以降の論文とで、分けてグラフを見てみると、面白い特徴が見えてきます。



前回まとめた、組織開発に関する論文数のトレンドと見比べると、繋がりも見えてきます。
最近話題になっているトピックとして、持続可能性や、価値観が多様化する中での、ワークエンゲージメントなどに関連するポジティブ組織研究など、新しいトピックへの関心の高まりが見えてきます。Leadershipは、両期間においても存在感は比較的大きいですが、グラフを見る限りは、Leadership Developmentの文脈も加わりながら、ODを進められるLeadershipの開発への関心が高まっているのかなとも感じました。
Appreciative Inquiryは、手法の成立プロセスとして、質的な研究が土台になっているので、論文化しようと思った時の介入手法としては、鉄板なのかなと思います。日本の論文でも、Appreciative Inquiryを用いている論文が多かった印象です。
質的研究と、ケーススタディへの関心が高まっているというのも、いざ研究化しようと思うと、介入対象の人数規模的に、量的な手法の実践が難しい領域というのが大きい気もします。
本文の中では取り上げられていませんでしたが、2010年以降のマップで、Diversityや、Well-being、Job Satisfactionといった、キーワードが上がっているのも興味深いです。今後、OD研究の中でも、よりフォーカスされていくのではないかと思います。
後は、単に流行に乗るのではなく、逆張りで、上がってきていないキーワードを追って、既存研究の補完を目指すというのも大事な観点かなとも思います。
共起分析は、情報量が多いので、通期でみると、ふーん、という感じがしてしまいますが、10年単位くらいで切って、比較してみることで、よりトレンドの特徴が見えてきますね。勉強になりました!